艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、24話が終わりました

フィリップの正体は予想通りでしたか⁇

今回のお話では、パパは多方面から悩みを聞く事になります

一体、誰からどんな悩みを聞くのか…

どんな対応をするのか…

それと、横須賀君の本名がポロッと出てきたりもします


25話 タマゴの悩み(1)

「さぁ、大空へただいまだ‼︎」

 

「ただいまだ〜‼︎」

 

先にれーべを乗せ、基地から飛び立つ

 

「空から海を見た事あるか⁉︎」

 

「ない‼︎凄いね‼︎」

 

「空から見るのもいいもんだ…」

 

基地の周りをグルリと一周した後、しばらく何もない海上で簡単なアクロバットを繰り返した

 

「どうだ⁇大丈夫か⁇」

 

「うんっ‼︎飛行機は凄いね‼︎」

 

「ふふっ…さぁ、次はまっくすだ」

 

「パパ…あのね⁇」

 

「ん⁇」

 

「ボクは、もっと強くなりたい」

 

「なれるさ。俺だってなれたんだ。お前にもなれる」

 

「そっか…そうだよね‼︎うんっ‼︎」

 

基地に着いて、れーべが付けていたゴーグルをまっくすに渡した

 

その時ふと見えたれーべの表情は、少し強くなっていた気がした

 

「乗ったか⁇」

 

「乗った」

 

「イカロス機、出る」

 

再び基地から飛び立つ

 

回るコースは、大体れーべと同じ

 

本当なら、二人同時に乗せてやりたい所だが、このコルセアは乗れて二人だ

 

「まっくす」

 

「ん」

 

相変わらず感情をあまり出さないな…

 

「ドイツはどうだ⁇」

 

「楽しくない」

 

「どうして⁇」

 

「プリンツがいじめてくる」

 

「そっか…まぁ、プリンツの件は俺から話を付けてやる」

 

「ほんと⁇」

 

「あぁ。プリンツは嫌な奴でも、提督は良い人だろ⁇」

 

提督と名前を出した瞬間、まっくすの表情が少し明るくなった

 

「パパに良く似てるわ。お菓子くれたり、一緒に遊んでくれたり…あ、遠征に失敗しても怒らないわ」

 

「そうか‼︎」

 

「でも、お菓子はプリンツに取られるし、一緒に遊んでてもすぐに提督を連れて行くし、遠征に失敗したら叩かれるの…」

 

プリンツの話題になると、顔が暗くなる

 

れーべとまっくすの話を聞けて良かった

 

 

 

「ご、極悪だな…」

 

「プリンツなんか、いなければいいのに…」

 

「ま、そんな事されてたらそう思うのが普通だ」

 

「私達、ずっとここにいちゃだめ⁇」

 

「いたいか⁇」

 

「えぇ」

 

「提督はどうする⁇お前達の帰りを待ってるぞ⁇」

 

「プリンツの所に帰れって言うの⁇」

 

「時期が来たらな」

 

「じゃあ、ここで私を降ろして」

 

まっくすは急に怒り始めた

 

キャノピーを自力で開けようとするが、ロックを掛けてあるため、開くはずがない

 

「死にたいか⁇」

 

「えぇ」

 

「なら、一緒に死ぬか‼︎」

 

「え⁉︎」

 

機体を上昇させ、基地がかなり小さくしか見えない所で、警告音がなった

 

《警告。安全圏から離れています》

 

「ま、遺言は残せないけど、仕方ないな…」

 

「…」

 

若干怯えてるまっくすを横目に、操縦桿から手を離し、一気にブレーキを掛けた

 

こんな事をすると、勿論機体は頭を下にして落下する

 

しかもかなりのスピードで

 

だが、海面まで時間はある

 

「落ちてる」

 

「俺もな、こんな世界はウンザリだ。丁度良かったよ…」

 

「…」

 

「ま、向こうに行けば何も考えなくていい」

 

海面まで後少し…

 

早く言ってくれ…

 

「と、止めて‼︎」

 

「もう無理だな」

 

「や、ヤダヤダ‼︎」

 

「生きたいか⁇」

 

「生きたい‼︎」

 

「よく言った」

 

最初から分かっていたかの様に、機体を立て直して、海面スレスレで通常飛行に戻った

 

「怖かったか⁇」

 

「えぇ…」

 

「あれが俺達、空の連中の”死”だ。案外怖いもんだろ⁇」


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