「ね、ヴィンセント⁇」
「なんだ⁇」
「ヴィンセントの趣味ってなに⁇」
「趣味か…」
「じょんすとん、おえかき」
ジョンストンはお絵かき
イントレピッドは料理
リチャードは女
ヴィンセントだけあまり素性が知られていない
「笑わないか⁇」
「笑わないわ‼︎」
「ははは」
分かっているかの様にジョンストンが口の周りにチョコレートを付けまくった顔で笑う
ヴィンセントはそれをチラリと見て微笑み、イントレピッドの方を向いた
「ヘアメイクが好きなんだ」
「あら‼︎意外ね⁉︎」
「じょんすとん、これしてもらう」
ジョンストンは毎日朝にヴィンセントにして貰うツインテールを両手で掲げて見せた
「言われてみればそうだわ‼︎ジョンストンのツインテールもだし、ヴィンセントもいつもキチンとしたオールバックだものね‼︎」
「いつかアイツも整えたいんだがなぁ…」
アイツとはリチャードの事
リチャードの髪は結構長く、ヘアスタイルはちょっと綺麗な海賊の様になっている
「ついんてにする」
「それはいいな‼︎」
「それいいんじゃない⁉︎」
ジョンストンの一言で、リチャードの髪型がツインテールに決まる
「昔はカッコ良かったわよね〜」
「ふ…今も、さ」
「あ〜…んんっ‼︎」
「「リチャード‼︎」」
いつの間にか執務室の入り口にもたれていたリチャードが居た
「今のセリフ、逆にしてくんない⁇」
リチャードは真顔で何を言ってくるのかと思いきや、今言ったセリフを逆にしてくれと注文して来た
しかも指のジェスチャー付きで
「む…昔はカッコ良かったよな⁇」
「ふふっ‼︎今も、よ‼︎」
「よ〜し‼︎これで満足だぁ‼︎じゃあねー‼︎バイビー‼︎」
リチャードはそのまま何処かに行った
本当にたまたま通り掛かっただけみたいだ
数秒間が空いた後、イントレピッドが話をしなおす
「それで、いつからヘアメイク好きになったの⁇」
「ガンビアと結婚してからだ。ガンビアは雨降るとゴワゴワになってな…」
「普段もモコモコだもんね…」
「がんびー、もこもこ」
「あれだけ毛が多いと、ヘアスタイルも色々試しやすいんだ。それで好きになった」
「女の子で今一番したいのは⁇」
「そうだな…この間はリシュリューをしたし…」
「リシュリュー⁉︎あのモデルさんでしょ⁉︎」
サラっと放ったヴィンセントの爆弾発言
「あぁ。ガールズ・フリート・ファッションだったかな…写真を撮る時に何人かヘアアシスタントが着いたんだ。その内の一人が私さ」
リシュリューはガールズ・フリート・ファッションに何度か出ている
その度に爆売れするので、売り切れが続出する人気モデルだ
「その棚にある」
「どれどれ〜…」
リシュリューが出ているのは、棚にあるのを見る限り二回
その内の後の方をイントレピッドが手に取り、中を開ける
「どこかな〜⁇」
「りしゅりゅー」
膝の上にジョンストンを置き、ヴィンセントがヘアメイクしたリシュリューを探す
「あっ‼︎あったわ‼︎」
リシュリューの髪型は、後ろで髪をまとめ、顎の下辺りで毛先がクルッと内側になっている普段のリシュリューとは違った可愛さがあるリシュリュー
「ふれっちゃ、やって」
「フレッチャーをか⁇」
「うん」
「フレッチャーも髪長いし、色々出来るかもよ⁇」
「明日の朝、ジョンストンが終わってからやって見ようか⁇フレッチャーが良ければ、だが」