艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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253話 ヴィンセントさんの華麗なる趣味(2)

「ね、ヴィンセント⁇」

 

「なんだ⁇」

 

「ヴィンセントの趣味ってなに⁇」

 

「趣味か…」

 

「じょんすとん、おえかき」

 

ジョンストンはお絵かき

 

イントレピッドは料理

 

リチャードは女

 

ヴィンセントだけあまり素性が知られていない

 

「笑わないか⁇」

 

「笑わないわ‼︎」

 

「ははは」

 

分かっているかの様にジョンストンが口の周りにチョコレートを付けまくった顔で笑う

 

ヴィンセントはそれをチラリと見て微笑み、イントレピッドの方を向いた

 

「ヘアメイクが好きなんだ」

 

「あら‼︎意外ね⁉︎」

 

「じょんすとん、これしてもらう」

 

ジョンストンは毎日朝にヴィンセントにして貰うツインテールを両手で掲げて見せた

 

「言われてみればそうだわ‼︎ジョンストンのツインテールもだし、ヴィンセントもいつもキチンとしたオールバックだものね‼︎」

 

「いつかアイツも整えたいんだがなぁ…」

 

アイツとはリチャードの事

 

リチャードの髪は結構長く、ヘアスタイルはちょっと綺麗な海賊の様になっている

 

「ついんてにする」

 

「それはいいな‼︎」

 

「それいいんじゃない⁉︎」

 

ジョンストンの一言で、リチャードの髪型がツインテールに決まる

 

「昔はカッコ良かったわよね〜」

 

「ふ…今も、さ」

 

「あ〜…んんっ‼︎」

 

「「リチャード‼︎」」

 

いつの間にか執務室の入り口にもたれていたリチャードが居た

 

「今のセリフ、逆にしてくんない⁇」

 

リチャードは真顔で何を言ってくるのかと思いきや、今言ったセリフを逆にしてくれと注文して来た

 

しかも指のジェスチャー付きで

 

「む…昔はカッコ良かったよな⁇」

 

「ふふっ‼︎今も、よ‼︎」

 

「よ〜し‼︎これで満足だぁ‼︎じゃあねー‼︎バイビー‼︎」

 

リチャードはそのまま何処かに行った

 

本当にたまたま通り掛かっただけみたいだ

 

数秒間が空いた後、イントレピッドが話をしなおす

 

「それで、いつからヘアメイク好きになったの⁇」

 

「ガンビアと結婚してからだ。ガンビアは雨降るとゴワゴワになってな…」

 

「普段もモコモコだもんね…」

 

「がんびー、もこもこ」

 

「あれだけ毛が多いと、ヘアスタイルも色々試しやすいんだ。それで好きになった」

 

「女の子で今一番したいのは⁇」

 

「そうだな…この間はリシュリューをしたし…」

 

「リシュリュー⁉︎あのモデルさんでしょ⁉︎」

 

サラっと放ったヴィンセントの爆弾発言

 

「あぁ。ガールズ・フリート・ファッションだったかな…写真を撮る時に何人かヘアアシスタントが着いたんだ。その内の一人が私さ」

 

リシュリューはガールズ・フリート・ファッションに何度か出ている

 

その度に爆売れするので、売り切れが続出する人気モデルだ

 

「その棚にある」

 

「どれどれ〜…」

 

リシュリューが出ているのは、棚にあるのを見る限り二回

 

その内の後の方をイントレピッドが手に取り、中を開ける

 

「どこかな〜⁇」

 

「りしゅりゅー」

 

膝の上にジョンストンを置き、ヴィンセントがヘアメイクしたリシュリューを探す

 

「あっ‼︎あったわ‼︎」

 

リシュリューの髪型は、後ろで髪をまとめ、顎の下辺りで毛先がクルッと内側になっている普段のリシュリューとは違った可愛さがあるリシュリュー

 

「ふれっちゃ、やって」

 

「フレッチャーをか⁇」

 

「うん」

 

「フレッチャーも髪長いし、色々出来るかもよ⁇」

 

「明日の朝、ジョンストンが終わってからやって見ようか⁇フレッチャーが良ければ、だが」


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