艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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横須賀繁華街の夏祭りも無事に終わり、新しいお話になります

今回のお話は、ずっと出そう出そうと迷っていた艦娘が出て来ます

横須賀の地下で眠りに就いていたとある艦娘…

果たして一体誰なのか…


251話 RED DOG(1)

朝方、急に目が覚めたので埠頭でタバコを吸っていた

 

「寒っ…」

 

ここ最近、秋風が吹き始めた

 

基地に居ても横須賀に居ても、薄着をしていれば風邪を引きそうだ

 

「おはよ‼︎」

 

「えいしゃんおはよ‼︎」

 

「おっ‼︎おはよう‼︎」

 

ひとみといよは平気そうだな

 

「あしゃおはんれすお〜って‼︎」

 

「もうそんな時間か⁉︎」

 

「いこ‼︎」

 

タバコを吸い終わり、二人を肩に乗せ、食堂に戻って来た

 

「おはようマーカス君。寒くない⁇」

 

「俺は大丈夫。今日、サラに呼ばれたから朝ごはんを食べたら出ます」

 

「気を付けてね⁇夕飯はどうする⁇」

 

「帰れると思う…ふぁ…」

 

「朝早くにたいほうも横須賀に行ったわ⁇」

 

「ジョンストン達と遊びに行ったのか⁇」

 

「乙女には内緒も多いのっ‼︎さっ、行ってらっしゃい‼︎」

 

「行って来ますっ‼︎」

 

とは言うが、急に目が覚めたのでまだ少し眠たい

 

しかし、サラが呼び出すとは珍しいな

 

いつもなら横須賀にいる時にご飯を作ってくれる位なのだが、今日は俺のタブレットに直接呼び出しが来た

 

恐らく内密な話なのだろう…

 

グリフォンに乗り、横須賀を目指す…

 

 

 

《サラが呼び出しするなんて珍しくない⁇》

 

きそも不安に思っているみたいだ

 

「親潮に聞いても特に変わった様子は無いらしい」

 

《ますます怪しいじゃん‼︎》

 

不安を抱えつつ、横須賀へと向かう…

 

 

 

 

「マーカスだ」

 

「きそ‼︎」

 

「来てくれたわ‼︎入って‼︎」

 

マークの研究室に入るとマークとサラ、オーヨド博士がいた

 

「や〜‼︎おかえり、レイ君っ‼︎」

 

相変わらずのオーヨド博士に、少しだけ笑みを送り、視線をマーク達に戻す

 

「俺に用とは⁇」

 

「実はだな…」

 

「サラからお話します。マー君、これを見て。オーヨド、お願い」

 

「オッケー‼︎」

 

真剣な表情になるマークをよそに、オーヨド博士がPCを弄ると、モニターに何処かのカプセルが映し出された

 

「…」

 

「横須賀の執務室がある建物の地下に眠っていたのよ」

 

「恐らく、何らかの形で放置されていた可能性が高いんだ」

 

「…まだ残ってくれてたのか」

 

「レイ⁇」

 

カプセルの映像が出た時から、俺の様子がおかしい事にきそが気付いた

 

「何か知っているなら聞かせてくれないか」

 

「…そいつは初期型のカプセルの改良型だ。今のカプセルの様に高性能じゃないが、艦娘を産み出せる様になったプロトタイプのカプセルだ」

 

自分が造った物なので、今目の前にある映像のカプセルがどのシリーズなのかは分かっていた

 

「初期型と現状のカプセルの間って訳ね⁇」

 

「そうだ。だが、こいつには癖がある。今のカプセルの様に、何もかもが人に近い艦娘を産み出せないんだ」

 

「例えば⁇」

 

「分かりやすく言えば、言語機能が著しく少ないとか、何かの機能が著しく損なわれる」

 

「それくらいならまだレイ君が何とかしてくれるんじゃないかね」

 

「オーヨド博士。そう言うならアンタも出来るはずだ」

 

「てへっ‼︎」

 

オーヨド博士はこのカプセルのシステムをある程度理解している

 

と、なると俺を呼び出した理由はカプセルを造った本人が手順や産み出せる子の特徴を知っているからだろう

 

「このカプセルはもう一つ大きな特徴がある」

 

「どんな特徴⁇」

 

「身体能力のどれかが非常に高くなる。それは産まれて来てくれるまで分からない。足が異常に速かったり、腕力が異常に強くなったり」

 

「仮に聞くが…このカプセルと同型機で建造された子は居るのか⁇」

 

「いる」

 

あまりにも率直な答えで、その場にいた俺以外の全員が驚いた

 

「代表的なのは照月、蒼龍、ひとみ、いよだ」

 

「言われてみれば特徴的な能力があるな…」

 

《必要とあらば、私がそこまでのルートをご案内致します》

 

「親潮か⁇」

 

オーヨド博士のPCから親潮の声がした

 

《盗み聞きは良い趣味とは言えませんね…申し訳ありません》

 

「気にするな。事態が事態だ。ルートの案内は出来るのか⁇」

 

《可能です。準備が出来次第、申して下さい》

 

「なら頼む。誰か着いて来てくれないか⁇不測の事態があると助けがいる」

 

「私が行こう」

 

「大淀さんも行きましょうかね‼︎」

 

「僕はサラと残るよ。ここに不測の事態があったら危ないからね」

 

きそは持っていた刀を俺に差し出してくれた

 

それを受け取り、きその頭をしっかりと撫でる

 

「頼んだぞっ‼︎」

 

「任せてっ‼︎」


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