艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、250話が終わりました

今回のお話は、横須賀繁華街で開かれる夏祭りのお話です

最初はマーカスとアレンの巡回ルートになります

駆逐艦に懐かれやすい彼等

夏祭りでもその力を発揮します


横須賀繁華街夏祭り・その1〜男二人の夏祭り〜

繁華街がいつも以上に騒がしくなって来た

 

「きやこた‼︎」

 

「きやかい‼︎」

 

両肩に乗せたひとみといよが屋台の文字を読んでいる

 

「随分久々にする気がするわね⁇」

 

「そうだな。ここ数年の夏は色々あったからな⁇」

 

ここ数年、海の家建設等、色々な出来事が夏にあった

 

「ひとみちゃん、いよちゃん。私とお祭り回ろっか‼︎」

 

「よこしゅかしゃんといく‼︎」

 

「えいしゃんおしごろ⁇」

 

「そっ。アレン達と見回りに行って来る」

 

横須賀に降ろして貰ったひとみといよはちゃんと横須賀と手を繋いだ

 

「じゃあ、また後でね⁇さっ‼︎何しよっか‼︎」

 

横須賀とひとみといよが屋台が連なる繁華街に入って行った

 

「レイ‼︎」

 

「おっ‼︎来た来た‼︎」

 

アレンが来た所で見回り開始‼︎

 

とはいえ、見回りとは名ばかりの屋台巡り

 

「おっ‼︎早速ご登場だな‼︎」

 

「摩耶‼︎」

 

相変わらず摩耶は屋台にいる

 

「弁当屋はどうした⁇」

 

「今日は休みさ‼︎見回りだろ⁇ほら、これ持ってけ‼︎」

 

「おっ‼︎サンキュー‼︎」

 

「ありがとな‼︎」

 

摩耶からラムネを買い、それを飲みながら屋台を回る

 

「今日は新しい奴はあるのか⁇」

 

「ガリバルディ辺りが怪しいな…何かやりそうじゃないか⁇」

 

「確かに…」

 

ラムネを飲みながらも俺達は歩みは進める

 

「はんっ‼︎私の方が大っきいわね‼︎」

 

「なっ‼︎わたしの方が大っきいわよ‼︎」

 

「喧嘩しないで〜」

 

金魚すくいの所で誰かが喧嘩している

 

「おっ‼︎霞と満潮は金魚すくいか‼︎」

 

「どれどれ…」

 

喧嘩していたのは霞と満潮

 

二人共アレンの前に金魚の入ったポリ袋を突き出している

 

この二人は相変わらず喧嘩友達だが、いつも取っ組み合いの喧嘩までは行かず、何故かいつも一緒にいる

 

そして、金魚すくいの屋台には見慣れない女性がいた

 

「君は見慣れないな⁇」

 

「天龍ちゃんが時々お世話になってま〜す」

 

ほんわかした話し方をする女性

 

霞と満潮を見る目もニコニコ笑顔だ

 

「龍田‼︎自己紹介になってないぞ‼︎」

 

「あ〜、ごめんなさ〜い。龍田で〜す」

 

「俺の妹だ‼︎宜しくな‼︎」

 

「宜しくな‼︎」

 

「妹だって」

 

霞は俺の嗜好を知っている為、此方を向いてニヤついた

 

「大尉、妹フェチなの⁉︎キッショ‼︎」

 

満潮の言葉で、俺の顔がそちらに向く

 

「な、なんだと⁉︎満潮‼︎ちょっと来なさい‼︎いいか⁉︎妹ってのはだな‼︎」

 

「あーもー‼︎話長そうだからいい‼︎じゃあね‼︎霞‼︎行くわよ‼︎」

 

「ちょっと‼︎あぁもう…み、見回り頑張んなさいよ‼︎」

 

「待ちやがれ‼︎キッショとはなんだキッショとは‼︎」

 

「わーったわーった‼︎レイ‼︎」

 

アレンに羽交締めにされ、致し方なく動きを止めた

 

「口噛み酒の狐ヤロー‼︎」

 

それを聞いたアレンは俺から腕を離し、手をパキパキ鳴らし始めた

 

「しゃ‼︎あのクソガキドーナツをシバきに行くかぁ‼︎」

 

「レイさんとアレンさんなのです‼︎」

 

「さっきはありがとう‼︎」

 

浴衣に着替えた雷電姉妹が前から来た

 

「おっ‼︎随分美人さんになったな⁇」

 

「電はいつだって美人さんなのです‼︎」

 

「イク先生に着替えさせて貰ったの‼︎」

 

目の前で嬉しそうにクルクル回る二人を見て、俺もアレンも顔が綻ぶ

 

「会場に異常はないか⁇」

 

「異常ないのです‼︎」

 

「強いて言うならまた太鼓櫓があったわ‼︎」

 

「…破壊しなければ」

 

「…あれはヤバいな」

 

「隊長さんとエドガーさんがそこにいたし、結構人も集まってたわ‼︎」

 

「レイ。貴重な情報を提供してくれた子に褒賞を」

 

「んっ‼︎貴官は勇敢にも敵地に侵入し情報を持ち帰った。ここにその栄誉を讃えよう」

 

俺とアレンは千円ずつ財布から取り出し、雷電姉妹に渡した

 

「ありがとなのです‼︎」

 

「ありがとう‼︎電、チョコバナナ食べましょ‼︎」

 

雷電姉妹は横須賀の駆逐の中でも良く動く

 

そして俺達に良く懐いてくれている

 

なので、こうした情報を得られるのも早い

 

「いらっしゃいいらっしゃい‼︎くじ引きやって行かないかい‼︎」

 

「ガリバルディ‼︎」

 

やっぱりガリバルディがいた

 

「おっ‼︎マーカスさんと狐の旦那‼︎」

 

「俺のあだ名はそれかよ…」

 

ここ最近、アレン=狐の旦那とのあだ名が広まって来た

 

「俺のあだ名はなんだ⁉︎」

 

「マーカスさんだろ⁇」

 

「ないのか‼︎」

 

「ないな‼︎」

 

どれだけガリバルディに言っても俺のあだ名は出て来ず、大体皆が言っている

 

レイさん

 

マーカスさん

 

で終わった

 

「よしアレン。くじ引きをしてやろう」

 

「いいだろう。一等はなんだ‼︎」

 

「マーカスさんと狐の旦那なら子供向けの奴じゃ割に合わないな…よし‼︎あたし達が書いた謎の設計図でどうだ‼︎」

 

ガリバルディが一等の景品を変えて来た

 

「出た‼︎謎の設計図‼︎」

 

あれは不思議な設計図が多い

 

役に立たない物から、物凄く便利な物までピンからキリだが、ガリバルディが持っているのは便利な物だろう

 

「いいだろう…受けて立ってやる‼︎」

 

「ダーリン‼︎ナニしてるノー‼︎」

 

タイミング良くジャーヴィスが来た

 

「ジャーヴィス‼︎やってみるか⁇」

 

「クジビキすル‼︎」

 

「ほらっ‼︎好きなの引きな‼︎」

 

ガリバルディがガシャガシャする箱の中の前にジャーヴィスを抱き上げ、手を入れさせた

 

「俺の分と二枚引いてくれ」

 

「はい‼︎」

 

クジを持ったジャーヴィスを降ろし、中を開ける

 

「1が2コ‼︎」

 

「しゃ‼︎」

 

ジャーヴィスはくじ引きの中に二枚しかない一等を二つ共引いた

 

ジャーヴィスは何故か運系のゲームに強い

 

そう言えば、母さんも何だかんだトランプとかが強い

 

ジャーヴィスにも運の良さが遺伝したのか⁇

 

「ほらよ‼︎君は〜…こっちだな‼︎」

 

「Thank you〜‼︎あは‼︎」

 

俺は目当ての謎の設計図

 

ジャーヴィスはテディベアを貰った

 

「狐の旦那はどうする⁇」

 

「一等はもうないのか⁇」

 

「ないな‼︎」

 

「やめとく‼︎」

 

「あはは‼︎だろうな‼︎まぁ、あるっちゃああるけど、後は子供用ばっかだ」

 

残りは子供が好きそうなオモチャばかりだ

 

一回200円でやりやすいし、駆逐艦の子たちが寄るだろうな

 

「また見回りついでに前を通る。詐欺すんなよ‼︎」

 

「了解了解‼︎見回り頑張ってな〜‼︎」

 

ガリバルディに見送られ、見回りを続ける

 

「ジャーヴィス‼︎」

 

「あ‼︎ママ‼︎」

 

前から母さんとアークが来た

 

「行って来いっ」

 

「ダーリン、アリガト‼︎」

 

ジャーヴィスはテディベアを母さんとアークに見せている

 

「マーカス、ありがとう。ジャーヴィスに買ってくれたのね⁇」

 

「ジャーヴィスがくじ引きで当てたんだ。な⁇」

 

「ウン‼︎イットーなんだヨ‼︎」

 

「そう‼︎良かったわね⁇」

 

「マーカス様。反対側からウィリアム殿が見回りをしていた。恐らく合流するだろうとの事だ」

 

「ありがとう」

 

「後でアークにも何か買ってくれ‼︎」

 

「盆踊り終わったら声掛けてくれ」

 

そう言うとアークの顔が明るくなった

 

今の三人で回るのも楽しそうだが、また少し微笑んだ

 

「分かった‼︎ふふっ…」

 

「マーカス⁇また後でね⁇」

 

「楽しんでくれよ⁇」

 

母さんは笑顔を見せ、俺達が来た道を行った

 

「キャプテン達が向こうから来るらしいな⁇」

 

ここで俺達二人の顔がニヤつく

 

「…たかるか⁇」

 

「…たかろう‼︎」

 

向こうから隊長達が来るのを待ちながら、俺達は見回りを続ける…


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