艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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たいほうとマーカスがじゃがいもスマッシュしている裏で、基地では何をしているのかな⁇


247話 雄鶏とシマエナガのザリガニ釣り‼︎

一方、その頃隊長達は…

 

「ひとみ、いよ、どこ行くんだ⁇」

 

ひとみといよは揃ってバケツと、スルメを先に付けた紐を準備して外に出ようとしていた

 

「ざいがについにいく‼︎」

 

「れかいやつ‼︎」

 

「ウィリアム。たまには遊んであげたら⁇」

 

「そうだなっ…私も一緒に行っていいか⁇」

 

隊長は新聞紙をたたみ、ひとみといよの前に来た

 

「うんっ‼︎」

 

「ざいがにとお‼︎」

 

貴子さんの提案で、隊長とひとみといよが一緒に遊ぶ事になる

 

「あら⁇珍しい組み合わせね⁇」

 

執務から戻って来たスパイトが三人を見て言った

 

あの三人の組み合わせは珍しい

 

「ひとみちゃんといよちゃんと一緒にザリガニ採りに行くんだって‼︎」

 

「ザリガニ…ここにザリガニなんているかしら⁇」

 

スパイトが口元に手を当てて考える

 

そう、ここは離島

 

ザリガニがいるのか怪しい

 

「言われてみれば…」

 

続いて貴子さんも考える

 

「横須賀の周りなら分かるけれど…何採るのかしら…」

 

貴子さんもスパイトも、三人が何を採って来るのか考え続ける…

 

 

 

 

「ここでざいがにとう」

 

ひとみといよが行き着いた先は、工廠の裏

 

「あいっ‼︎」

 

隊長にスルメ付きの紐を渡し、一足先にひとみといよがコンクリートに沿ってスルメを垂らした

 

「ザリガニは川じゃないのか⁇」

 

続いて隊長も垂らすが、勿論隊長はザリガニが淡水生物なのを知っている

 

「ここれれかいのとう」

 

「でかいざいがに」

 

ひとみといよは陰で少しヒンヤリとしたコンクリートにうつ伏せになりながら紐が反応するのを待つ

 

隊長も屈んでジッとしながら、二人の言うザリガニが掛かるのを待つ

 

「こ〜へん」

 

「ちぉっとかついれあす」

 

立ち上がったひとみといよは紐を引き上げ、軽く運動をした後、腕を回しながら海に飛び込もうとした

 

「喝入れるのか⁇」

 

「たかこしゃんすまっしぅすう‼︎」

 

「すあっしぅ‼︎」

 

「近くだけだぞ⁇」

 

「あかった‼︎」

 

「いてきあす‼︎」

 

二人は意気揚々と海へ潜る…

 

隊長は様子を見ながら、内ポケットからタバコを取り出し火を点けた

 

「段々レイに似て来た、でしょ⁇」

 

「叢雲か」

 

隊長の横に座った叢雲に気付き、タバコの火を消そうとした

 

「消さなくていいわ。私が勝手に来たのよ」

 

タバコを咥え直した隊長は、叢雲が言った答えを返した

 

「確かにレイに似て来たなっ。やる事なす事、ちょっとずつ、な⁇」

 

「そういえばっ⁉︎また昇進しなかったらしいわねっ‼︎」

 

叢雲はコンクリートに寝そべりながら話を続ける

 

「何か考えがあるんだろうが、教えてくれないんだ。レイはレイなりの考えがあるだろうから、私は何も言わないさ」

 

「レイの事だから、きっと何か考えてあんのよ」

 

「本当は昇進して欲しいんだがなぁ〜…」

 

「おとなちくちお‼︎」

 

「ちめうぞ‼︎」

 

しんみりとした話をしていると、すぐ近くの海面でひとみといよがバシャバシャし始めた

 

「来たわね」

 

「何持ってるんだ⁉︎」

 

「でかいざいがにとえた‼︎」

 

「さんつとえた‼︎」

 

ひとみの右手、いよの両手に握られていたのはそれはそれは大きなザリガニ…ではなく

 

「伊勢エビじゃない‼︎よく採れたわね⁉︎」

 

「こえ、ざいがにちがう⁇」

 

「これは伊勢エビだ。ザリガニよりおっきくて美味しいんだぞ⁇」

 

「たかこしゃんに、かああえにちてもあいましぉ‼︎」

 

「あばえたばつれす」

 

食料が採れたら、とりあえず貴子さんの所へ持って行く

 

貴子さんに食べられるかどうかを聞いて、食べられるなら貴子さんに渡し、食べられないなら海へ返す

 

そうして、また海へ潜るを繰り返す

 

「ひとみ、いよ」

 

「あいっ」

 

「ん⁇」

 

「お刺身好きか⁇」

 

「しゅき‼︎」

 

「おしゃしみたべたい‼︎」

 

隊長は魚関連を捌くプロフェッショナル

 

刺身や海鮮丼なんかは特に美味しい

 

「たかこしゃんにあたちてくう‼︎」

 

「あってて‼︎」

 

ひとみといよは走って貴子さんに伊勢エビを渡しに行った

 

「またレイが教えたんじゃないの⁇」

 

「これはザリガニの進化した奴だ、ってか⁇」

 

「まっ。レイらしいわねっ」

 

「あたちてきた‼︎」

 

「ちぉっとまっててくらしゃい‼︎」

 

「また行くの…か…」

 

隊長が返事をする前にひとみといよは再び海に潜る

 

「何するのかしら…」

 

「分からん…」

 

叢雲と一緒にひとみといよを待つ

 

すると数十秒後、二人の足元にサザエが投げ込まれた

 

「お…」

 

次はアワビ

 

「へぇ…」

 

次はウニ二つ

 

その後もサザエやアワビ、そしてそこそこの量のウニが二人の足元に投げ込まれた

 

「こんなもんれすか‼︎」

 

「もっとたべあすか‼︎」

 

「これ位にしといてやろうか‼︎獲り過ぎは良くないからな‼︎」

 

「あかった‼︎」

 

「おいちぉ…」

 

ひとみといよが海から上がって来た

 

「何持ってるの⁇」

 

叢雲の視線の先には、二人の手に持たれたウニ

 

「おやつ‼︎」

 

「おりゃ‼︎」

 

ひとみといよはウニを石で叩き割り、中身を食べた

 

「ん〜‼︎おいち〜‼︎」

 

「うにさいこ〜‼︎」

 

それはそれは実に美味そうにウニを食べるひとみといよ

 

その後、四人でサザエ達をバケツに入れ、貴子さんの所に持って行く

 

「あらっ‼︎今日は海鮮ね⁉︎ウィリアム、任せたわ‼︎」

 

「任せろ‼︎」

 

この日、久々に隊長が厨房に立ち、夕ご飯は隊長の海鮮料理のパレードになる事が決まった


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