艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

84 / 1086
24話 二つのタマゴ(4)

「他にもした事無いの⁇」

 

「…敵の国の国会議事堂に爆弾を落とした」

 

「やるわね」

 

「あ、あれはちょっと反省してるかな〜⁇」

 

「ふふっ。貴方らしいわ」

 

ローマが楽しそうに笑う

 

他人から見たら最悪の行為をしても、私のどんな思い出話をしても、ローマはいつも聞いてくれる

 

そして、最後は笑ってくれる

 

「あがった〜‼︎」

 

「暖かかった‼︎」

 

「ポカポカする」

 

「さぁ、ろーまよ‼︎ばとんたっちだ‼︎」

 

湯気が出ている四人が帰って来た

 

「パパ‼︎頭拭いて‼︎」

 

「ん、よしよし」

 

れーべからタオルを受け取り、頭を拭く

 

たいほうの髪と違い、白くて綺麗な髪だ

 

それにフワフワしている

 

「提督はパパだって、たいほうが言ってた‼︎」

 

「後、武蔵は嫁だって」

 

「ん。全部間違ってない‼︎私はパパだ‼︎」

 

「パパ‼︎」

 

「パパ」

 

二人して私に抱き着いて来た

 

「どうやら、懐いてくれたみたいだな」

 

「良かった…どうなるかと」

 

「武蔵から聞いた。パパは叩かないって」

 

「君達を叩いてどうする⁇」

 

「プリンツは気持ち良いって…」

 

そう言うとれーべはシュンとしてしまった

 

「よし‼︎君達はここに居る時は、プリンツの事を忘れる‼︎俺は忘れる位に最高の思い出を作ってやろう‼︎」

 

「思い出⁇」

 

「そうだ。でも、今日はごはんを食べておやすみだ」

 

「今日は日本とドイツの合同料理です」

 

はまかぜが机の上にどんどん料理を置いて行く

 

「やったぁ〜‼︎」

 

「さ、食べよう」

 

「いただきます‼︎」

 

れーべとまっくすは、やはり慣れ親しんだソーセージから行くか

 

たいほうは…ソーセージか

 

「提督、食べないのか⁇」

 

「ん⁇みんなで食べればいい。俺はこれだけでいい」

 

「今から飛ぶのね」

 

「そっ」

 

夜飛ぶのは好きだ

 

何にもない

 

青から黒に変わり、太陽の代わりに月と星が出る

 

しばらくするとれーべとまっくすが食べ終わり、すぐに眠ってしまった

 

「チビ達は私が寝かせておく」

 

「行ってくる」

 

格納庫に向かうと、数人の妖精が酒を飲んでいた

 

”うわ、なんやこれ‼︎すごい泡や‼︎”

 

「ビールって言うんだ」

 

”提督や‼︎提督のビールはそこにあるで‼︎”

 

「今日はいい」

 

”美味しいのにな‼︎飲んでまうで⁉︎”

 

「…好きにしろ。ちょっと出るからな」

 

”なんや調整か⁇”

 

「まぁな。明日、あの駆逐の子達を乗せてやりたいんだ。じゃあな‼︎」

 

”いってら〜‼︎整備は起こしといたろ‼︎”

 

親指を立て、基地から離陸する

 

基地から離れ、しばらくは旋回したり、エンジンの調子等、機体の具合を見た

 

「レーダー…エンジン…良好だな。こちらイカロス、応答せよ」

 

間髪入れずに妖精の声が聞こえた

 

《なんや‼︎》

 

「無線も良好だな。ありがとう」

 

《どうや。星は綺麗か⁇》

 

「まぁな…回転率を下げる」

 

少しだけ、プロペラの回転が弱まり、機体のスピードが落ちる

 

私は機体のハッチを開け、上半身を外に出した

 

《何してるんや⁇》

 

「…ふぅ」

 

尚且つ、ゴーグルも外す

 

《機体から出たら死ぬで⁉︎》

 

「だから回転率を下げたんだよ」

 

《あんなんしてる人、初めて見たわ…》

 

《ほんまに死神やん》

 

妖精達には、私が死神に見えるらしい

 

まぁ、常人では無理だろうな

 

「これが星か…」

 

いつも見てはいるが、空中で、しかも生で見るのは初めてだ

 

いつもは空中でも、ガラス越しだったからな…

 

さぁ、帰ろう

 

足で操縦するのはしんどい

 

操縦席に座り、ハッチを閉め、ゴーグルを掛ける

 

「イカロス、帰投する」

 

基地に帰ると、ローマが起きていた


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。