艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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244話 トランジスタグラマーママです(4)

「息子共々申し訳ございません…」

 

「助かったよ…」

 

親子二人が深々と頭を下げた

 

「気にするな。問題はこいつだ‼︎」

 

《女教師〜》

 

スクリーンに映し出された少女と、園崎を指差す

 

「何なんだこいつは‼︎強すぎるだろ‼︎」

 

「名前は分かりました」

 

ヴィンセントが名前を覚えて帰って来てくれた

 

「言ってくれ‼︎」

 

「名は”フレッチャー”。視覚催眠ではなく”香り”による催眠です」

 

「凄い良い匂いがするんだ。それに酔わされた」

 

PCに分かった情報を打ち出して行く…

 

フレッチャー

 

香りによる催眠により、欲望を解放した状態になる

 

たったこれだけだが、十二分に進歩した

 

「創造主様。この親潮が全員救出して参ります」

 

「勝算でもあるのか⁇あるなら俺達が…」

 

「一時的に嗅覚を遮断すれば良い話です。この場でこれが出来るのは親潮だけ…創造主様、私にお任せ頂けませんか」

 

親潮ならではのやり方だ

 

それに、親潮の目は本気だ

 

ここは賭けてもよさそうだ

 

「…分かったっ‼︎親潮に賭ける‼︎」

 

「親潮、参ります‼︎」

 

フレッチャーは洗脳した男達を引き連れ、繁華街の中心まで来ている

 

頼んだぞ親潮…

 

 

 

 

《フレッチャー‼︎待ちなさい‼︎》

 

親潮が繁華街まで来た

 

会議室の全員がスクリーンを見つめる…

 

《私がママです》

 

《親潮の母は別にいます。今すぐその方達を離しなさい‼︎》

 

《この子達は私の可愛い息子です。貴方も私の可愛い娘です》

 

《畏まりました。では…問答無用です‼︎》

 

親潮が先制攻撃に出た‼︎

 

《ママ‼︎僕ボクシング出来るよ‼︎》

 

《ママを助けてくれるのね⁇後でお菓子を買ってあげましょうね》

 

園崎が立ちはだかり、親潮の攻撃の手が止まる

 

《貴方に手を出したくありません‼︎そこをどいて下さい、園崎さん‼︎》

 

《シッ‼︎》

 

親潮の制止虚しく、園崎のパンチが親潮に襲い掛かる

 

《仕方ありません…》

 

親潮はそのままの状態で園崎のパンチを避け、腕を取った

 

そして、何故か顔を近付けた

 

《園崎さん。それ以上すると、親潮がヤマシロさんより先にファーストキスを貰いますよ》

 

《それは…》

 

《嫌なら手伝って下さい》

 

《は、はひ…》

 

瞬殺で園崎の洗脳状態が解けた‼︎

 

「よし‼︎」

 

「頑張れ親潮ちゃん‼︎」

 

無力な男衆がスクリーン越しの親潮を応援する

 

丸で映画の一幕を見ているかのように会議室は盛り上がっていた

 

《親潮さん。ここは自分に任せて下さい》

 

《お願い致します。親潮はフレッチャーを‼︎》

 

園崎一人で、リチャード、ラバウルさん、健吾、隊長を相手

 

恐らく園崎に勝ち目はない

 

《健吾、ウィリアム。この辺りで良いでしょう》

 

《いやぁ〜、演技も疲れますねぇ》

 

《しばらくは笑い話だなっ…》

 

《えっ…》

 

既に洗脳から解けていた、ラバウルさん、健吾、隊長

 

《香取先生のアカデミーで習ったのですよ》

 

《お茶の子さいさいです‼︎》

 

《私達を洗脳するなんざ、百年早いな》

 

「アレン…」

 

アレンをジト目で見た

 

何故香取先生のアカデミー出身のアレンはバリバリ効いたのか…

 

「俺の好みが違う時点で察しろよ‼︎」

 

「言っただけさっ」

 

アレンの好みはダイナマイトボディではなく、ちょっと強気な女性

 

愛宕とネルソンは確かにダイナマイトボディだが、その点を踏まえると理解出来る

 

《おしり〜》

 

《中将。少しだけ失礼します…》

 

《おしりりりりっ‼︎》

 

ラバウルさんがテーザー銃を放ち、親父は倒れた

 

《何か凄い良い夢見てた気がする…》

 

《後で映像見たらひっくり返りますよっ…》

 

《帰りましょう。フレッチャーは親潮に任せましょう》

 

洗脳された男衆は全員解放出来た

 

問題はフレッチャーだ…

 

 

 

 

《創造主様》

 

「親潮‼︎大丈夫か⁉︎」

 

親潮がいるのは、少し小高くなっている海と繁華街を見渡せる場所

 

そこなら人も居らず、一対一で戦える

 

《創造主様〜》

 

「親潮…」

 

親潮まで洗脳されたか…

 

こうなりゃ一人位俺が何とか…

 

《何てっ‼︎驚きました⁇》

 

「バカッ‼︎ビックリさせるな‼︎」

 

どうやら親潮は俺を驚かせたかっただけみたいだ…

 

《妹に手を出すのは許さないわ》

 

《ヒュプノス‼︎》

 

親潮の背後で、舌を出して目を回しているフレッチャーの首根っこを掴んだイクが見えた

 

話口調からすると今はヒュプノスだ

 

《その子、お父様の娘なんでしょう⁇》

 

ヒュプノスは一瞬だけ親潮を見て、手が塞がっているので顎で親潮を指した

 

《そうだ。お前も親潮も、俺の娘だ》

 

そう返すと、ヒュプノスは一瞬穏やかな顔を見せてくれた

 

《なら、私は妹を護っただけ…後の処理はお父様に任せるわ》

 

「後で一緒にアイス食べよう‼︎な、ヒュプノス⁉︎だから親潮とそこで待っててくれ‼︎」

 

次いつか目覚めるか分からないヒュプノスとコミュニケーションを取る絶好のチャンスだ

 

《楽しみにしてるわ》

 

「隊長。後は自分達にお任せ下さい‼︎」

 

「デートの約束は大切と娘さんも仰っていましたよ⁇」

 

そう言ったのは涼平と高垣

 

最近ゴトランドと繋がって上手く行っているらしい

 

「誰が言ってたんだ⁇」

 

「ひとみちゃんといよちゃんです。二人のおかげでゴトランドと繋がれたんです」

 

「ひとみといよがか…」

 

「ですのでっ‼︎行ってください‼︎」

 

「すまん。任せた‼︎」

 

会議室を出て、親潮とヒュプノスの元に走る


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