艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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題名が変わりましたが、コロちゃんのお話の最後です


243話 周りはみんなお姉ちゃん

その場にいた大体の奴が貴子さんに注目する

 

確かに貫禄は年上の貫禄だが、実は俺とアレンと大して変わらない

 

一つ二つ上か下かなだけだが、そんな事、俺達の中では些細な事なので気にしない

 

「おばさんじゃないの…」

 

「オネーチャン⁇」

 

「そっ‼︎」

 

「タカコオネーチャン」

 

「いい子ねっ‼︎」

 

誰もが相手をして、誰もがパワー負けする貴子さん

 

その強さにコロちゃんも落ちた

 

「さっ‼︎ついでにみんなでご飯にしましょう‼︎」

 

貴子さんの提案で、ラバウルで食事を取る事になった

 

 

 

 

キッチンには、貴子さん、愛宕、ネルソンの良妻三人

 

揚げ物、甘めの味付けのオカズ、デザートが出来上がって行く

 

「皆、すまなかった…」

 

申し訳なさそうにネルソンが頭を下げた

 

「私もちょっと手荒な真似したから…ねっ⁈」

 

「タカコオネーチャン、Super Fighter‼︎」

 

コロちゃんは口周りにいっぱいコロッケの衣を付けながら、アレンの膝の上にいる

 

本当は甘えん坊のコロちゃん

 

今回の一件は、子供ながらのイタズラなのもあったのだが、コロちゃんにはちゃんとした理由があった

 

その理由は、一人しか知らない…

 

 

 

 

みんなで食堂に行く時、コロちゃんは貴子さんに抱っこされていた

 

「アノネ…」

 

「ん⁇どうしたの⁇」

 

「Secret、してくれる⁇」

 

「んっ、いいよっ‼︎」

 

コロちゃんは更に貴子さんに寄った

 

「…MamaノMilk…Coloradoノダケナノ。PapaはColoradoからMamaトルノ…」

 

コロちゃんはネルソンを独り占めしたかっだけだった

 

コロちゃんにとって、ネルソン以外の他の連中は邪魔で仕方ない

 

動きを封じるトラップを張っていたのはその為だった

 

「そっかそっか…パパは嫌い⁇」

 

「ン〜ン、Papaスキ。デモ、Mamaハモットスキ」

 

「コロちゃんは偉いわ⁇」

 

コロちゃんを抱っこしたまま、貴子さんは食堂に入った

 

「アレン‼︎」

 

アレンに気付いたネルソンが、一瞬で女の顔になる

 

「日進も大丈夫か⁉︎」

 

「…」

 

「…」

 

貴子さんもコロちゃんも、ネルソンをジーッと見る

 

「ありがとう、タカコサン‼︎コロチャン、Come on‼︎」

 

ネルソンは女の顔ではなく、母親の顔でコロちゃんの前に来て手を広げた

 

「さっ、コロちゃん⁇」

 

「Mama‼︎」

 

コロちゃんはすぐにネルソンに飛び付いた

 

大丈夫よ、コロちゃん

 

貴方のお母さんは、ちゃんと貴方を愛してくれてるわ…

 

 

 

 

その日の晩…

 

「え〜と…つまり、だ…」

 

「そういう事だオトン」

 

食堂でコーヒーを飲みながら、グラーフの前で頭を抱える

 

「ほぼ最年少か、俺」

 

「そう」

 

「大人メンバーで最年少か」

 

「そう」

 

グラーフは淡々と答えを返しつつ、コーヒーを飲む

 

ここでは年齢は別に大した意味を成さないのだが、大人メンバーでほぼ最年少と言われると何か思う所がある

 

…中盤位とは思ってたんだが

 

「え〜と、だ」

 

「何やってんのよ」

 

風呂上がりのローマが来た

 

「ローマお姉ちゃんな訳だ」

 

「そう」

 

「‼︎」

 

一瞬でローマの顔が真っ赤になる

 

「貴子さんは」

 

「貴子お姉ちゃん」

 

「ふふっ‼︎」

 

貴子さんは嬉しそうな顔をしながらお皿を拭いている

 

「私は何だ‼︎」

 

子供達と遊んでいたアークが、ワクワクしながらこっちに来た

 

「アークお姉ちゃん」

 

「もう一回言ってくれ‼︎」

 

「アークお姉ちゃん」

 

「むっひょひょ‼︎録音してやったぞ‼︎目覚ましにしてやる‼︎」

 

「やめろ‼︎何て事すんだ‼︎」

 

《アークお姉ちゃん》

 

アークが録音した俺の声を目の前で再生する

 

「うっ…」

 

《アークお姉ちゃん、アークお姉ちゃん、アークお姉ちゃん》

 

アークは真顔で録音を再生しまくる

 

「分かった分かった‼︎やっていいからやめろ‼︎」

 

「むっふふふ…」

 

「ノイローゼになりそうだ…」

 

更に頭を抱え、コーヒーを啜る

 

「私は何だ」

 

目の前を見ると、目を逸らしたグラーフがいる

 

「グラーフはグラーフだ」

 

「私は何だオトン」

 

あ。これ言わないと終わらない奴だ

 

だが、ここは折れないでおこう

 

「グラーフ」

 

「ジェミニお姉ちゃんとか言ってたのを横須賀中に言いふらすぞ」

 

「それはやめろ‼︎」

 

さらっと怖い事を言い出したグラーフに心が折れた

 

「私は何だ」

 

「…グラーフお姉ちゃん」

 

「んふ〜…」

 

ニヤけ顔で御満悦グラーフお姉ちゃん

 

「クソッ‼︎言われてみれば俺は横須賀より年下だ‼︎」

 

これは八方塞がりだ‼︎

 

「レイはその分妹みたいな子が多いだろ⁇」

 

隊長の一言で少し救われた

 

「よしっ。やる気出て来た‼︎」

 

「もう一回言って」

 

「おやすみ、グラーフお姉ちゃん‼︎」

 

「おやすみ」

 

こうして、波乱の一日が終わりを迎えた…


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