艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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243話 トラップガール(2)

「外見は変わってないな…」

 

《気を付けて下さい。至る所にトラップが仕掛けられています》

 

「と、トラップ…」

 

一見何だか分からないが、クイーンが言うには至る所にトラップが仕掛けられているらしい

 

「迂闊に歩けなくて…」

 

「アレン達はどうした⁇」

 

「至る所に隠れてるわ‼︎」

 

《生体反応がある場所をタブレットに送ります》

 

タブレットを出し、クイーンから送られて来た場所を見る

 

確かに至る所に隠れている

 

その中で一つ、ちょこまか動き回る反応が一つ

 

この反応が恐らく犯人だ

 

「まずは全員の安全の確…」

 

「アハッ‼︎ミ〜ツケタッ‼︎」

 

「ヒィッ‼︎」

 

「わっ、私達は表にいます‼︎後は宜しくね‼︎」

 

誰かの声がした途端、暁とおおいが表に逃げた

 

「見付かったっ‼︎」

 

「「健吾‼︎」」

 

二階から健吾の声が聞こえ、バタバタと二つの足音が聞こえて来た

 

「ま、待って‼︎話せば分かるよ‼︎ねっ⁉︎」

 

階段の上で健吾が身振り手振りで誰かに自分が無抵抗なことを示している

 

健吾の背後には下り階段がある

 

「ウシロムイテ‼︎」

 

「わ、分かった…」

 

「ね、ねぇ…嫌な予感が…」

 

きそが走ろうと身構える中、健吾はゆっくりと下り階段の方を向いた

 

「ホレェ‼︎」

 

ドンッ‼︎

 

「うわぁぁぁあ‼︎やっぱりぃぃぃい‼︎」

 

誰かの足が健吾の背中を蹴り飛ばした途端、健吾が階段の上から落ちて来た‼︎

 

「「健吾‼︎」」

 

俺と隊長が健吾に向かって走る‼︎

 

「どわぁぁぁぁぁあ‼︎」

 

「よいしょっ‼︎」

 

隊長が健吾を受け止めてくれた

 

俺は悲鳴と共に居なくなった

 

「た、助かりました…ありがとうございます…ふぅ…」

 

「レイ⁇」

 

「レイさん⁉︎」

 

「上だよ‼︎」

 

きそが指差す方向には、逆さ吊りになった俺がいた

 

「ぐぉお…」

 

「な、何やってるんだ⁇」

 

「ブービートラップにハマった…きそ、ちょっと背後向いてくれ」

 

「蹴らない⁇」

 

「蹴らない‼︎」

 

「んっ‼︎」

 

きその背中の63cm自己修復機能付刀剣を抜き、天井から吊り下げられたワイヤーを斬った

 

ドサァ‼︎

 

「グヘッ‼︎」

 

思いっきり床に落ちた

 

痛い…

 

初っ端このレベルか…

 

「大丈夫っすか⁉︎」

 

「気にすんなっ…最近縛られまくってる気がするから慣れて来たっ‼︎きそ、ありがとな⁇」

 

「どういたしましてっ‼︎」

 

きそは刀剣を背中の鞘に仕舞い、俺の手を取って立たせてくれた

 

「健吾は大丈夫か⁇」

 

「はい。ですが、あの子は大分危険です。既に大和とあみさん、愛宕と日進…それと、アイちゃんが人質として捕まりました」

 

「大和とアイちゃんもか…」

 

女神の鉄槌持ち二人がアウトとなれば、かなり手厳しい

 

大和かアイちゃんが叫んでくれれば、トラップの幾つかは解除出来ると考えていたのがダメになった

 

「アイちゃんとどっちが危険だ⁇」

 

「段違いであの子かと。アイちゃんは暴れん坊でも甘えん坊だったので…しかも頭の回る子で、自分達には手の打ちようが…」

 

「強そうな奴から捕まえてるもんな…」

 

健吾の話によると、大和とアイちゃんの捕まえ方が手の込んだやり方らしい

 

座っている所を背後から襲い掛かり、コブを作ったタオルを口に巻き付け、後手で縛り上げた後、何処かに連れて行かれたらしい

 

「何か…だな⁇」

 

「あはは…ですよね…」

 

「バレたら赤っ恥だな…」

 

そこにいた男三人が下を向き、イケナイ感情を隠す

 

「なるほどなるほど…」

 

きそはジト目になっている

 

「とにかく、今は残りの連中を探そう」

 

「ですね。安全な場所に移動させないと」

 

「階段にはトラップはなさそうだな…タブレットにも表示されてない」

 

「二階から行こう」

 

健吾が落ちて来た為、階段にトラップはなさそうだと踏んだ

 

四人は階段を登り始めた

 

「ニッシシシ‼︎」

 

「「「「あっ‼︎」」」」

 

階段の上に犯人がいた‼︎

 

金髪のショートボブの一部分をカチューシャのように三つ編みにした、ちょっとツリ目気味な小さな女の子が歯を見せて笑っている

 

「アガリタイ⁇」

 

「上がりたい‼︎」

 

「ザンネ〜ン‼︎ドンッ‼︎」

 

女の子が右足で床を叩いた

 

それと同時に階段が滑り台になる

 

「「「ぐわぁぁぁあ‼︎」」」

 

「危なっ‼︎」

 

男三人が団子になって落ちる中、きそだけは手すりに掴まって難を逃れた

 

「アハッ‼︎オモシロイヒト‼︎Bye-bye〜‼︎」

 

女の子はスタコラサッサと二階の廊下に逃げて行った

 

「こ、こら待てーっ‼︎」

 

「きそ‼︎追うな‼︎」

 

「トラップまだあるかな⁉︎」

 

「絶対ある‼︎」

 

「分かった‼︎ちょっと待ってて‼︎階段だけでも解除するね‼︎うんしょ…」

 

きそは手すりに登って四つん這いでヨジヨジ階段の上を目指し、何とか着いた

 

「よっと‼︎」

 

きそが床を足を叩くと、階段が元に戻った

 

「登って来て‼︎」

 

今度は安全に階段を登り上げた

 

《パパさん。スキャンにも映らないトラップがあるようです》

 

「相当上手いぞ…」

 

「流石はアレンの子供です…」

 

「やっぱりな…」

 

「やっぱりね…」

 

犯人はやっぱりアレンの子供

 

三日でこれだけ動き回って、これだけトラップを仕掛ける子だ

 

確実にアレンの血を引いている

 

顔もアレンに似ていたしな…

 

「名前は何て言うんだ⁇」

 

「”コロラド”です。みんな”コロちゃん”って呼んでます」

 

「コロちゃん…」

 

残っているのは

 

ラバウルさん

 

アレン

 

ネルソン

 

この三人だ…


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