艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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239話 ジョンストンの抱き方(2)

昼飯が終わり、俺とアレンは学校の見回りに

 

サラとイントレピッドはパイロット達の夕飯の仕込みに

 

ひとみといよ、そしてジョンストンは横須賀の執務室に来た

 

今度は清霜も輪に入り、四人共床を向いて何かしている

 

「ひとみ、いよ、清霜、今日は何するの⁇」

 

「おえかき‼︎」

 

「とりしゃんかくの‼︎」

 

「き〜ちゃんは飛行機‼︎」

 

ひとみ、いよ、清霜をそれぞれの背後から描き掛けの絵を眺め、最後にジョンストンに声を掛けた

 

「ジョンストンは何するの⁇」

 

「おえかき」

 

横須賀は椅子に戻り、親潮と一緒にそんな四人をチラチラ見ながら航空機や艦船の出入りをレーダーで見る

 

《こちらダイダロス。これより出港します》

 

「了解ダイダロス。良い航海を」

 

《ダイダロス、抜錨》

 

今の時間帯の出港予定の最後、ダイダロスが出て少し落ち着きを見せた執務室

 

「航空機はどう⁇」

 

「ケプリ機、イカロス機、サイクロップス機が基地上空及び周辺を哨戒中です」

 

「なぁに⁉︎今日の哨戒当番そんなに最強なの⁉︎」

 

自分で立てた当番だが、まさかこんなに最強の組み合わせが揃うとは思ってもいなかった

 

横須賀は窓際に立ち、上空を見上げる

 

ラバウルさんの搭乗するT-50が旋回するのが見えた

 

「T-50は名前を変えたようです」

 

「Su-57よね…それの前のモデルに、私乗ってたのよ⁇」

 

「Su-37、でしたよね⁇」

 

親潮は机の上の黒いSu-37の模型に目を向ける

 

現存するのは博物館にあるグラーフの電子支援特化型しか残っていないが、それでも横須賀の頭に残る思い入れの強い機体…

 

「そっ。良い機体よ⁇」

 

横須賀も机に置いてある、黒いSu-37の模型を眺めた

 

「おやつたえよ‼︎」

 

ひとみの声で時計を見た

 

時刻は午後3時

 

おやつの時間だ

 

「今日は貴子さんに何入れて貰ったの⁇」

 

「あにかあ〜⁇」

 

ひとみといよは、ヒヨコ巾着をガサゴソし、中からラップに包まれた小さなドーナツが出て来た

 

オヤツ入れになったヒヨコ巾着は、ひとみといよが横須賀や何処かに出掛ける時に貴子さんが中身を内緒で持たせてくれる

 

手作りのオヤツの場合もあれば、既製品のお菓子も入っている

 

「ジョンストンはオヤツあるの⁇」

 

「ある」

 

ジョンストンもリュックからお菓子を取り出す

 

「くっきー」

 

ジョンストンのリュックから数枚のクッキーが出て来た

 

「ひとみはまひん‼︎」

 

「いよもまひん‼︎」

 

ひとみといよはそれぞる二個ずつのマフィン

 

「き〜ちゃんはチョコレート‼︎」

 

それぞれがお菓子を取り出し、それぞれ食べ始める

 

「私達も休憩しましょう‼︎」

 

「そうねっ‼︎」

 

横須賀と親潮は、四人を眺めながらミルクティーとシューアイスを頬張る…

 

 

 

 

夕方…

 

「よこしゅかしゃん、ばんごはん⁇」

 

「そうね〜、ひとみといよは貴子さんのご飯ね⁇」

 

「きょ〜あ、かえ〜あいす‼︎」

 

「ふくじんづけ‼︎」

 

やはりいよのチョイスは渋い

 

「ジョンストンはなにかな⁇」

 

「いんとれのすてーき」

 

「そっかそっか‼︎」

 

ジョンストンは横須賀の目を見てちゃんと言っているので、流しで答えている訳ではない

 

「ヴィンセントと一緒に食べるの⁇」

 

「うん。キャロルもいっしょ」

 

ジョンストンはウサギのキャロルを横須賀の前に出した

 

ジョンストン達と話していると、執務室のドアがノックされた

 

「待たせたな」

 

「びんせんと。わ」

 

横須賀達の前でも、ヴィンセントはジョンストンの首の後ろを掴んで抱き上げた

 

しかもジョンストンはちゃんと手を広げていた

 

眺めている限り、嫌いとかではなく、ただ抱き上げ方が分からないだけ…が正しい様子

 

「いんとれのすてーき」

 

「ステーキは何のお肉か覚えたか⁇」

 

「うし」

 

「よしよし‼︎偉いぞ‼︎」

 

ヴィンセントに褒められ撫でられ、ジョンストンも御満悦

 

問題は抱き上げ方だが、横須賀は各人にやり方があるので言わない事にした

 

と、言うか、横須賀の娘で抱っこをせびるのはひとみといよ位だが、その二人は手を繋ぐか勝手に登ってくる

 

器用というか、何と言うか…

 

ただ一つだけ言えるのは、ひとみといよが来てから、自分に懐いてくれてから、基地の子供達が好いてくれるようになった

 

未だに雷電姉妹は懐いてくれないけれど…ね⁇


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