艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、236話が終わりました

今回のお話は、誰かが試作機を造った所から始まります

果たして何の機体なのか…

そして、パイロットは誰なのか…


237話 龍が愛した騎士(1)

「出来たかも‼︎」

 

横須賀の工廠の片隅で、内緒でずっと造っていた試作機が出来上がった

 

それを造り上げたのは秋津洲

 

明るめの橙色のその機体は、レシプロ機

 

本来なら爆撃機として生まれるはずだった機体を、秋津洲は再びこの世に生を受けさせた

 

「んっふっふ…みんな秋津洲を見直すかも‼︎」

 

 

 

 

次の日…

 

俺と隊長がサンダースの演習終わりに埠頭でタバコを吸っていた時、その機体はお目見えした

 

「レイ。あれは何だ⁇」

 

「さぁ…カラーリング的に試作機っぽいな…」

 

明るめの橙色をしたレシプロ機が表に出て来た

 

「レイさん‼︎ウィリアムさん‼︎」

 

秋津洲が来た

 

「あれ乗る人を探してるかも‼︎」

 

「お前が乗りゃあいいだろ⁉︎」

 

「二式大艇を操縦出来るならあれ位朝飯前だろう⁇」

 

「いやぁ〜、大型は運転出来るけど、小型は無理かも。加速の具合とか全然違って…」

 

「なるほどな…確かに操縦の感覚は違う」

 

「分かった。俺が行こう」

 

「お願いするかも‼︎」

 

「どれっ。様子を見てやろう」

 

秋津洲に着いて行き、工廠の近くに来た

 

「あぁ‼︎来た来た秋津洲さん‼︎」

 

工廠の前には明石がおり、サンダースの連中と話していた

 

「パイロット見つかったかも‼︎」

 

「うぇ⁉︎私も見つけたんですけど⁉︎」

 

「おぉ。南山か‼︎」

 

「爆撃機じゃないか‼︎」

 

秋津洲が造り上げたのは南山

 

当時造り上げたは良いが、数機しか完成しなかった非常に珍しい機体だ

 

「何で知ってるかもぉ〜」

 

俺達が南山をキョロキョロ見てると、すぐに秋津洲が反応した

 

「資料とか山程見たからな」

 

「昔の機体でもある程度は分かるさ」

 

「はぇ〜…」

 

「明石。乗る奴は誰だ⁇」

 

「あ、はい‼︎サンダース隊の方をお一人試験飛行に‼︎」

 

「何だと⁉︎」

 

てっきり親父か誰かと思っていたが、まさかサンダースから引っ張るとは…

 

「自分ですよ、隊長」

 

「おぉ…」

 

サンダース隊4人目の隊員、森嶋

 

涼平

 

園崎

 

高垣

 

に続く、サンダース隊で名を明かした人物でもある

 

皆苗字だが、涼平は涼平で定着しているので、横須賀さえ涼平と呼んでいる

 

一応言っておくが、涼平の苗字は綾辻だ

 

サンダース隊の残りはあと一人

 

結婚して妻がいるアイツを残すのみだ

 

アイツの名が明らかになるのはもう少し先として…

 

森嶋は普段、他のメンバー4人の電子支援に回る事が多い

 

そう。サンダース隊に充てられた震電はそれぞれ少しずつ性能が違う

 

涼平は対空ロケット4発

 

園崎は対地爆弾2発

 

高垣は主翼下ハードポイント機銃左右一門ずつの計二門

 

森嶋は電子支援装備が機体に内蔵されている

 

俺達で言うとグラーフが非常に近い役割だ

 

だが、当の本人は自身の重要さに気付いていないのか、時たま前に出過ぎる事があるのが玉にきずだ

 

「飛ばせれるか⁇」

 

俺は腰に手を当てて

 

森嶋はヘルメットを脇に抱きながら南山を見上げる

 

「えぇ。マニュアルは読みました‼︎」

 

「煙が出ますって書いてあったか⁇」

 

隊長もジト目で森嶋に視線を送る

 

「書いてなかったです‼︎」

 

「よし、チェンジだ‼︎親父辺りを呼んで来る‼︎」

 

「隊長。自分、別の機体も慣れておきたいんです」

 

「ダメだダメだダメだ‼︎」

 

「ならんならんならん‼︎」

 

俺も隊長もブンブン首を横に振る

 

「どうしても行くのか、森嶋」

 

「やらせて下さい‼︎」

 

隊長が説得しても、森嶋の決意は固い

 

「時間がないのでいつものアレで決めます」

 

「分かりました‼︎」

 

俺、隊長、森嶋の三人が輪になる

 

「恨みっこなしだぞ⁇」

 

「行くぞっ‼︎」

 

「「「せーのっ‼︎」」」


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