艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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親潮の焼肉の焼き方

そしてジェミニの好きな事とは…⁇


236話 ミラクル☆オヤシオ(4)

下に降りると、タブレットに連絡が入った

 

 

 

ぜみに> 本屋のビルの隣。そこの最上階の1つ下よ。全員連れて来て

 

リヒター> 分かった

 

 

 

「あのビルらしい」

 

ほとんどが本屋になっているビルの隣に、飲食専門のビルが出来た

 

今はまだ数は少ないが、言っている間にテナントが入るだろう

 

またエレベーターで上まで上がる…

 

「スゲぇ…」

 

「わぁ…」

 

「おぉ〜‼︎」

 

「おぉ‼︎」

 

エレベーターに乗った全員が声を上げた

 

エレベーターの中は強化ガラスなっており、上に上がるに連れて都市型居住区が眼下に来た

 

エレベーターのガラスの向こうに、夜景が広がっている

 

「アタイ達も空から見っけど、これは別だな‼︎」

 

朝霜の言葉に、三人共頷いた

 

もう少し見ていたい気もしたが、目的の階層に着いた

 

「かむかむ…おっ、あったこれか」

 

「いらっしゃい‼︎やっと来てくれた‼︎」

 

橙色の髪をした少女が出迎えてくれた

 

「来た来た‼︎こっちよ‼︎」

 

横須賀にも出迎えられ、俺達は焼肉”かむかむ”に入った

 

「いらっしゃいませ‼︎店長の”陽炎”です‼︎」

 

先程の橙色の髪の子がメニューを持って来てくれた

 

「陽炎…」

 

「ここの店も退役した子が働いてるのよ⁇」

 

「なるほどな」

 

「当店はオーダー制の食べ放題となってますので、お気軽にご注文下さい‼︎」

 

「じゃあこの縦一列全部と、ライスを人数分。それと、この店で一番高い肉を頂戴」

 

「はいっ‼︎かしこまりました‼︎」

 

オーダーを聞き、陽炎は厨房に入って行く

 

「かむかむねぇ…」

 

何かに気付いた横須賀は頬杖をついてニヤつく

 

「お肉をちゃんと、かむかむ‼︎して食べて下さい‼︎と言う意味では⁇」

 

親潮のかむかむの仕草が可愛くて、男三人がほっこりする中、横須賀はまだニヤついている

 

「かむかむ、陽炎…ふふっ…」

 

その二つを言われ、俺だけが気付いた

 

「隊長辺りしか分からんネタを親潮に放り込んでやるな」

 

「ふふっ。はいはいっ‼︎」

 

「何でしょうか…」

 

「ジェミニのしょーもない思い出し笑いさっ」

 

「お待ちどうさま」

 

今度は薄紫色の髪の子が来た

 

「おっ‼︎来た来た‼︎」

 

机に置かれて行く、生肉が乗った皿の数々

 

「涼月はどうした⁇」

 

前の席には横須賀、親潮、朝霜

 

涼月がいない

 

「そこに居るわ⁇」

 

「マーカスさんっ…‼︎」

 

隣の席に涼月がいた

 

「本当にそっちでいいの⁇」

 

「涼月は沢山食べますからっ…‼︎皆さんにご迷惑にならないようにっ…‼︎」

 

「分かったわ。その代わり、沢山食べるのよ⁇」

 

「はいっ…‼︎」

 

涼月はあっちで良いみたいだ

 

「レイ。焼いて頂戴」

 

「へ〜へ〜」

 

「創造主様。親潮にも教えて下さい‼︎」

 

「んっ‼︎いいぞ‼︎」

 

親潮にお肉の焼き方を教える

 

「まず、生肉は別のお箸かトングで掴む」

 

「これですね」

 

俺も親潮も専用のトングを持つ

 

「一枚一枚丁寧に網の上に置く」

 

「ぺちょ」

 

効果音付きで、親潮はお肉を網の上に置く

 

「少ししたら裏返して、逆側も焼く」

 

「よいしょっ」

 

少しこんがりと焼けて来た

 

ジェミニも朝霜も焼かれて行く肉に目が行っている

 

「それを2回ほど繰り返したら、両面に焼き色が付いたら、お箸を持ちかえて誰かに渡すか、取ってもらうんだ」

 

「では…アレン様と柏木様から‼︎」

 

「頂きまぁ〜す‼︎」

 

「頂きますっ‼︎」

 

親潮はアレンと健吾に焼いた肉を渡し、また次の肉を焼き始めた

 

「最後に、自分の分はある程度自分の皿に貯めておく。じゃないとジェミニが全部食う」

 

「親潮のは取らないわ⁇」

 

この時点で親潮”のは”と来た

 

「俺のは‼︎」

 

「アンタのは取るわよ。取らない方が悪いのよ‼︎」

 

「頂きぃ‼︎」

 

言い争っている内に脇から朝霜が肉を取って行った‼︎

 

結局、俺だけ焼く係になり、ほとんど食えずに五人が食べる様子を眺めていた

 

「遅いですよっ…‼︎」

 

「し、不知火に落ち度は無かったはず…そんな馬鹿な…」

 

左を向くと、涼月が不知火と言う店員を圧倒している

 

焼くスピードより、涼月が食べるスピードの方が圧倒的に早い

 

「不知火に落ち度は無かった…無かったんだ‼︎」

 

「あまり涼月を失望させないで下さいっ…‼︎さぁ、ボヤく暇があれば焼いて下さいっ…‼︎」

 

「くっ…はい…」

 

不知火は落ち度は無かったと言い続けるが、涼月は真顔で肉を食べて行く

 

「美味そうに食うな、涼月⁇」

 

「はいっ…‼︎とってもっ…‼︎」

 

不知火には真顔だが、俺には笑顔を送る涼月

 

…若干照月に似て来た気もする

 

一時間後…

 

「あ〜…食った食った…」

 

「お腹いっぱいだなっ‼︎」

 

「…」

 

それぞれが満腹になる中、横須賀が机に肘をつき、それを頭に置きながら手帳に何か書いている




陽炎…焼肉かむかむ店主

都市型居住区のビルの中にある、焼肉”かむかむ”の店主

結構安いのに、高品質の国産牛を食べられる

来店した客に対し「やっと来た‼︎」というのが口癖

不知火を唯一制御出来る貴重な退役艦娘




不知火…おちど

焼肉”かむかむ”副店主

仕事は出来るし焼肉も上手に焼ける

しかし、過重労働になったり切羽詰まるとおちどしか言わなくなる

涼月の焼肉を焼いていた際に、おちおちどどちお等と口走っていたのはその為

その時はグレープジュースを飲めば回復する


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