艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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232話 恋する青い鳥(4)

夕方…

 

「あっ‼︎いたいた‼︎お待たせ‼︎」

 

高垣はゴトランドに言われた通り、ゴトゴト弁当の前の広場に来ていた

 

「あの、その…さっきは…ごめん」

 

「カロリーゼロって何よ」

 

「教えてもらったんだ。ゴトランドのお弁当は美味しいからカロリーゼロ‼︎って」

 

「へぇ〜、嬉しい事言ってくれるじゃん」

 

「でだ。その…」

 

「はいっ」

 

ゴトランドの手には、ペットボトルのお茶

 

それを高垣の手に置いた

 

「へっ⁇」

 

「んな訳ないよ。でもっ、それを言ってくれた人にはお茶をサービスしてるの」

 

「今までこれ貰った人は⁇」

 

「ん〜…」

 

ゴトランドは口元に手を当て、軽く上を向きながら考えた

 

そして、何かに気付いたフリをして笑う

 

「ふふっ、教えないっ‼︎」

 

「あれですか。個人情報って奴ですか」

 

「そっちの方が面白いでしょ⁇あっ、じゃあ条件をあげる。他にゴトに言う事ない⁇言ったら教えてあげるよ⁇」

 

ゴトランドは悪戯に微笑み、高垣の目を見た

 

「か、火曜日‼︎火曜日非番なんです‼︎」

 

「ゴトも火曜日はお休みだよ」

 

ゴトランドは「しめた‼︎」と思った

 

予想とは少しだけズレたが、デートのお誘いに間違いなかった

 

「映画にでも行きませんか」

 

「いいよっ。その代わり、お互いワリカンだからね⁇いい⁇」

 

「分かりました」

 

「んっ、ならOK‼︎楽しみにしてるわ⁇」

 

そう言い残し、ゴトランドはいつも通り遊戯場に縄跳びをしに向かおうとした

 

「あ、あの‼︎」

 

「ん⁇」

 

首だけ軽く振り返り、高垣の方を見る

 

「明日の朝も行っていいですか」

 

「恥ずかしいから来ないでって言ったら⁇」

 

「それでも行きます」

 

「ふふっ。ゴトはそんな事言わないよ。いつでも来てね⁇」

 

ゴトランドは可愛く手を振り、高垣と別れた

 

 

 

 

「ど、どうしよ…コクられちゃった…」

 

高垣と居た時は平然を装っていたが、いざ離れてから角に入ると恥ずかしさが込み上げて来た

 

「みちぁいまちたお〜…」

 

「おちぁあげた⁇」

 

「き、君達‼︎」

 

ゴトランドが赤面してうずくまっていると、両脇からひとみといよが出て来た

 

「あ、あれで良かったのかなぁ…」

 

「がっき〜、ごとあんどしゅきしゅきらもん‼︎」

 

「ちぁんとれきてた‼︎」

 

「そ、そっか…ふふ…」

 

この三人だけは知っている

 

ゴトランドと高垣の間を上手く繋げたのは、ひとみといよのおかげだと

 

実はあの”カロリーゼロ‼︎”

 

ひとみといよがゴトランドの為に考え出した高垣ひっつけ作戦だったのだ

 

高垣がゴトランドに意味不明に、ゴトランドのお弁当は美味しいからカロリーゼロ‼︎等と言えば、ゴトランド本人はちょっと嬉しいし、そのタイミングでお話も出来るだろうと考えた

 

そう。ゴトランドの方が高垣を好きなのである

 

「今からゴト、ユーギジョーで運動するけど、君達二人に何かお礼しないとね」

 

「ざあざあのざあのとこいこ‼︎」

 

「ふうたかしゃんかも‼︎」

 

「どっちかなぁ〜⁇」

 

ゴトランドはひとみといよ、両方と手を繋ぎ、遊戯場へと入って行った

 

 

 

その日の夕方…

 

遊戯場のザラキッチンで、チンのハンバーガーを食べ、オレンジジュースを飲むひとみといよ

 

その横でニコニコしながらゴトランドが二人を見ている微笑ましい光景を、遊戯場にいた人達が目の当たりにしていた…


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