艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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232話 恋する青い鳥(3)

「わぁぁぁぁぁあ‼︎」

 

高垣、ゴトランドに見惚れて足を踏み外す

 

海面近くになり、流石の高垣も目を閉じようとした

 

パシャ

 

パチャ

 

「ぎゃぁぁぁあ‼︎」

 

急にひとみといよが浮上して来たので、更に悲鳴を上げる

 

「びっくいちまちたか⁉︎」

 

「びびびびっくりした…」

 

心臓バクバクの高垣に対し、ひとみといよは海面から顔を出し、ケラケラ笑っている

 

「あ‼︎おとあんろ‼︎」

 

「勇気あるんだねーっ‼︎」

 

「ははは…」

 

上下逆目線でゴトランドを見て、少しだけホッとする

 

…ゴトランドに魅入って足を踏み外したなんて言えない

 

「安全装置投げるから、ヒトミとイヨを上げられるかー⁉︎」

 

「分かりましたー‼︎」

 

安全装置が投げられ、海面に落ち、ひとみといよはすぐにそれを取りに行った

 

高垣はバンジーの紐を緩めてもらい、ひとみといよに近付き、持って来た安全装置を二人の腰に巻いた

 

「これでよしっ‼︎」

 

「がっき〜あげて‼︎」

 

「らっこ‼︎」

 

「よっこらっ…」

 

「あげてくらしゃ〜い‼︎」

 

ひとみといよを抱き上げ、いよの合図で引き上げられる

 

「かおい〜ぜおいった⁇」

 

「まっ、まだですっ」

 

「なんかくえうかも‼︎」

 

「何か貰えるんですかっ⁇」

 

ひとみといよは高垣に抱っこされながら、ゴトランドにカロリーゼロ‼︎を言えと言っている

 

二人の言い方からすれば、それを言えば何か貰えるみたいだ

 

「お疲れさん‼︎」

 

リチャードに安全装置を外して貰い、高垣はひとみといよの安全装置を外す

 

「がっき〜あいがと‼︎」

 

「たすかいあした‼︎」

 

「いえいえ」

 

「頑張ったね‼︎ゴト、ちょっと惚れちゃった‼︎」

 

「おっと…ヒトミ、イヨ。イントレピッドの作ったオヤツ食べに行こっか‼︎」

 

「おやつあにかあ〜‼︎」

 

「くっち〜‼︎かぷけ〜き‼︎」

 

リチャードの機転により、ゴトランドと高垣がその場に残る

 

「あ、あの、その…」

 

「何⁇どうしたの⁇」

 

ゴトランドの軽い上目遣いに、高垣は生唾を飲む

 

「早く言わないと、ゴトは短気ですよ⁇」

 

目を見られながら軽く微笑むゴトランドを見て、高垣の鼓動は早くなる

 

目を見ている限り、ゴトランドは何を言われるか察している様子

 

しかも満更でもない

 

「か…」

 

「か⁇」

 

ゴトランドは思った

 

”か”で始まると言う事は…

 

1.彼女になって下さい‼︎

2.彼氏とかいるんですか⁇

3.火曜日、空いてますか⁇

 

大体この辺りだと予測した

 

返す答えもちゃんと決まっていた

 

1.お友達からなら、ゴトで良ければ‼︎

2.君がなるんじゃないの⁇

3.よく定休日知ってるね。どっか行く⁇

 

この3つだ

 

しかし、高垣の口から出たのは…

 

「カロリーゼロって何ですか‼︎」

 

「君がなるんじゃ…へ⁉︎」

 

焦って2番の答えを返したが、問われたのは斜め上の事案

 

「あ、後でゴトのお店の前の広場に来たら教えてあげるよ…ねっ⁇」

 

ゴトランドは目が泳ぎ、軽くしどろもどろになりながらも一応の答えは返した

 

「じ、じゃあゴト、お店があるから‼︎待ち合わせは夕方にしましょう‼︎」

 

「わ、分かりました…」

 

照れ隠しなのか、ちょっとキレているのか分からないゴトランドは、そのまま小走りでイントレピッドDauから降りて行った

 

「今のはプロポーズだろ⁉︎」

 

「いや、まぁ…」

 

軽く距離は離れた場所で作業していたヴィンセントにも今の状況は伝わり、”あの”ヴィンセントに突っ込まれた

 

高垣は自分を笑うしかなく、頭を掻きながら笑っていた…


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