艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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229話 君と過ごした街(5)

「パワーウィンドウだっ‼︎」

 

「どうやって外見るんだ⁇」

 

「その点はご心配無く」

 

パワーウィンドウが閉められて間髪入れずに内側にパノラマが展開される

 

映し出された映像は勿論外側の景色

 

これならばパワーウィンドウを展開しても平気だ

 

「パノラマ投射は外の小型カメラが逐一流している。それと、パワーウィンドウには防弾加工が施してある。戦闘になればコイツを展開して戦う」

 

「どんどん最新化して行くな…」

 

リチャードに葉巻を渡され、最初で最期の操舵室での喫煙を始める

 

「パワーウィンドウが開いたらどうするよ」

 

「おちょくってオサラバだな」

 

互いに目を合わさず、前だけを見る

 

「よ〜し、やりますか‼︎」

 

リチャードがスイッチを切り、徐々にパワーウィンドウが開いて行く…

 

「やぁ‼︎どうも‼︎」

 

「中将さんだよ‼︎」

 

外では職員達が歓声を送っているのが見え、二人は葉巻片手に高みの見物

 

「あいつら笑ってやがるぜ‼︎」

 

「今からビックリするだろうな⁉︎バイバ〜イ‼︎」

 

「「ピーーース‼︎」」

 

二人の掛け声と共に、イントレピッドDauが出港する

 

《お前ら‼︎そこで葉巻を吹かすな‼︎》

 

「バレた‼︎五分で逃げ切れるか⁉︎」

 

「任せろ‼︎」

 

レクターの怒号と同時に、イントレピッドDauは横須賀に向けて”逃げ出した”

 

 

 

「あのガキ共は…」

 

言葉ではブチ切れてはいるが、レクターの表情は落ち着いていた

 

「アドミラルレクター。イントレピッドDauは無事、横須賀に向けて出港しました」

 

「そうか。ヴィンセント、聞こえるか」

 

《聞こえます。アドミラルレクター》

 

「イントレピッドDauを任せた」

 

《了解です、アドミラルレクター》

 

「それとな。あまりそこで吸うなよ⁇」

 

《…畏まりました》

 

ヴィンセントのクスリと笑う声と共に、ちゃんと返事が返って来たのを聞き、レクターは無線を切った

 

「後はヴィンセントなら大丈夫じゃろ」

 

基地から去るイントレピッドDauを眺め、レクターは微笑んでいた…

 

 

 

 

「アイツはどこ行ったんだ」

 

出港してからすぐ、リチャードは何処かに行って帰って来ない

 

「進路異常無し。マーク、エンジンはどうだ⁇」

 

《問題ない。ご機嫌に吹かしてる》

 

このまま航海していれば問題無く横須賀に着く

 

折角なので新機能のリクライニングを使い、一息入れる

 

「おいリチャード‼︎売店でエロ本見つけて来た‼︎」

 

帰って来たリチャードは腕に大量のエロ本を抱えて戻って来た

 

「はぁ…あのマヌケは‼︎」

 

リクライニングを戻し、リチャードが来た方を見る

 

既に地図を置く机にエロ本を並べている

 

「ほれ」

 

「要らん‼︎直して来…」

 

”ツインテール特集‼︎可愛いのは髪型だけじゃない‼︎ウブなあの子のピチピチボディ‼︎”

 

表紙を見て、生唾を飲むヴィンセント

 

「どれっ」

 

散々言っていた割に、すぐに雑誌の中身を見始めた

 

「むほほ‼︎これはこれは‼︎」

 

「うはは‼︎こりゃたまらん‼︎」

 

「やっぱりツインテールは良いなぁ‼︎お前何読んでるんだ⁇」

 

珍しく感情を露わにしながら独り言をブツブツ言いながら読むヴィンセントの横で、リチャードも何かの雑誌を読んでいた

 

「ガールズ・フリート・ファッションさ」

 

「珍しいな⁇」

 

今月号はリットリオが表紙

 

そこはやはりイタリア艦娘

 

リシュリューの大人の魅力とはまた違う、少しカントリーなファッションを着こなしている

 

「俺レベル立ち絵で余裕よ‼︎」

 

「頼むからそれ以上手出すなよ⁇」

 

「俺の嫁はスパイト一人さ…瑞鶴には何度も助けて貰ってるんだ。俺も、マーカスも。その礼さっ」

 

一瞬で真面目な顔になるリチャードを見て、ヴィンセントは胸を撫で下ろした

 

「この子ガンビアに似てるな‼︎」

 

「ツインテールこそ正義だ」

 

バカを言う二人を、イントレピッドに抱かれたジョンストンの二人が入口で見ていた

 

「見習っちゃダメよ〜」

 

二人に気付かれないように、イントレピッドとジョンストンはそっとその場を離れた

 

「ついんてる」

 

「私がしたげるわ‼︎」

 

 

 

 

横須賀にイントレピッドDauが帰って来た

 

「新しい生活になるな」

 

「だな。お前とまた戦える事を光栄に思う」

 

「こっちもだっ」

 

固い握手を交わす、艦長とパイロット

 

これからヴィンセントは横須賀と大湊を行き来する事になる

 

「びんせんと」

 

「ここが横須賀だっ」

 

ジョンストンと共に、そして家族や仲間と共に、また新しい生活が始まる…

 

 

 

駆逐艦”ジョンストン”が横須賀に配属されました‼︎




ジョンストン…ヴィンセントの養女

サンフランシスコで路頭に迷っていたのをヴィンセントが保護した女の子

長い間ほったらかしにされてたせいか、色々世話をしてくれるヴィンセントに非常に懐く

普段は横須賀のパイロット寮、もしくはガンビアやアレンの家族と一緒にいる姿が目撃されている




ヴィンセントがツインテールフェチだという事が判明

もしかしてヴィンセントは、リチャードと瑞鶴の逢い引きに嫉妬しているのかもしれません 笑笑

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