艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

734 / 1086
222話 Unsung Love(2)

「これなんだがな。アレンから預かっていた物だ」

 

ネルソンがネックレスを外す

 

ネックレスの先端は谷間へ向かっており、USBはネルソンの谷間にスッポリ隠れていた

 

昨日、レイの前で胸を隠したのはこの為である

 

「護ってくれてたのか…」

 

「うぬ。余は約束を守る」

 

アレンがUSBに手を伸ばす

 

…が、途中で止めてしまう

 

「そのデザイン、好きか⁇」

 

USBはそれとバレない様に凝った加工が施されていた

 

アレンらしく、女の子受けする様な可愛らしいデザインだ

 

ネルソンが「これはネックレスだ‼︎」と言っても、何らおかしくない

 

ネルソンがあれを付けたまま入浴している所を見ると、恐らく防水も施されている

 

「うぬ‼︎余はアレンのアクセサリーが好きだ‼︎」

 

「やるよ」

 

「しかしこれは…」

 

「持っていてくれ。冷たくしたお詫びだ」

 

「ん…」

 

ネルソンはネックレスを付け直した

 

「こうするしかなかったんだ…許してくれなんて言わない」

 

「怒ってなどいない。アレン、余はアレンの事を知りたい。何でも対話は大事だ。違うか⁇」

 

「その通りだ」

 

「一度だけ聞こう。どうして余に何も言わずに別れを突き付けた‼︎」

 

アレンはすぐに答えを返した

 

「あの日死んでいたかも知れない男に付きまとわれるのは嫌だろ⁇」

 

結構真面目に答えたアレンだが、ネルソンの目は点になっていた

 

「…それだけか⁉︎」

 

「それだけだ」

 

「正気か⁉︎」

 

「正気だ」

 

「はっはっはっは‼︎…」

 

立ち止まったネルソンは高笑いをした後、アレンに思い切り抱き着いた

 

「こんな色男、余の方から手放す訳がなかろう」

 

「俺の思い違いか⁇」

 

「全てアレンの思い違いだっ」

 

その言葉を聞き、アレンもネルソンをキツく抱き締めた

 

長い長い抱擁

 

ネルソンにとっては、長年待ち侘びた瞬間

 

アレンにとっては、償いの瞬間

 

アレンにとっての”あの日”が、ようやく終わりを迎えた…

 

 

 

 

「次は離さんからな。良いな、アレン」

 

「うん…そう言えばネルソン。何処に配属になった⁇」

 

「知らんっ‼︎」

 

ネルソンは堂々と仁王立ちで胸を張る

 

「ネルソンに気があれば、横須賀かラバウルに来るか⁇」

 

「うぬ‼︎そうさせて貰おう‼︎カヌーも散々漕いだしなっ‼︎」

 

その日、アレンが横須賀に相談に来たのは言うまでもない…

 

 

 

 

 

数日後…

 

「余がネルソンだ‼︎これから宜しくなっ‼︎」

 

「やったねうしぉん‼︎」

 

「やった‼︎やった‼︎やったねうしぉん‼︎」

 

横須賀に遊びに行っていたひとみといよが、ネルソンの改めた挨拶を受けていた

 

「ネルソン。ひとみといよ連れて朝飯行くぞ」

 

「うぬ‼︎ヒトミ、イヨ、オスシーは好きか⁇」

 

「おしゅし〜しゅき‼︎」

 

「いよもいく‼︎」

 

「よし、行くぞ‼︎」

 

ネルソンの肩に、二人が乗る

 

ネルソンは肩に乗せた二人と手を繋ぎ、落ちない様にしている

 

その左手の薬指には、アレンがずっと渡さずにいた”二つ目の指環”が光っていた…




ネルソン…カヌーのネーチャン

遠路遥々イギリスからカヌーでやって来た凄い人

色々事情はあるが、スパイトの妹

ジャーヴィスのお祝いに来たのもあるが、恋人であるアレンに逢いに来た

結構高貴に見えるが、実は一途で乙女な女の子

子供が好きで、大雑把な料理は出来る

愛宕に劣らずオッパイがデカい。凄いね

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。