艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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219話 新種のシスター(2)

「この子は”シスター・マリッジ”貴方達が出てから来てくれた子よ⁇」

 

「本当の名は”岸波”と申します」

 

教会に引き摺り込まれた俺達は、シスター達がいつも何かを食べたり、大体シスター・ヌードルがサボってマカロン食ってる部屋に来ていた

 

この新種のシスターの名は、シスター・マリッジ。またの名を岸波

 

「シスター・マリッジ…」

 

「ヴィンセントは元気⁇」

 

「あ、ま、まぁ…」

 

「そう」

 

意味深な事を言い、シスター・マリッジはお茶を飲む

 

「知り合いか⁇」

 

「えぇ」

 

「マーカス君と違って、ここの教会の熱心な信者でもあるわよ⁇」

 

「へ〜へ〜そうですかそうですか‼︎」

 

微笑むシスター・グリーンに言われるが、神を信じる気はこれっぽっちも無い

 

「言ってたら来たでし」

 

マカロンで口元をコナコナにしたまま、シスター・ヌードルが部屋から出た

 

「話は聞いてる。貴方がマーカス。貴方がアレン」

 

「宜しくな」

 

「宜しく」

 

シスター・マリッジは俺達二人を見たまま、顎をほんの少し引いた

 

このシスター、目を見ただけでは感情が読めない

 

「いいか⁉︎お前はもう少し真面目に仕事をしろ‼︎お前は真面目にしてりゃあ良いパイロットだ‼︎」

 

突然教会の中から怒号が聞こえた

 

「ウッセェアホ‼︎オメーに言われる筋合い何てこれっぽっちも無いね‼︎」

 

「んだとこの野郎‼︎」

 

「やんのか⁉︎」

 

大の大人二人が口論をしている

 

仮にも静寂にしなければならない場所だ

 

シスター・ヌードルが止めに入っている

 

「はいはい‼︎喧嘩しないで欲しいでし‼︎」

 

「かっ‼︎」

 

「こっ‼︎」

 

二人の口にマカロンをぶち込んで黙らせるシスター・ヌードル

 

怒らせたら怖いのは相変わらずだ…

 

しっかし誰だ…こんな場所で喧嘩する奴は…

 

「親父⁉︎」

 

「パパ⁉︎」

 

そこに居たのは互いの父親

 

「こっ、これはマーカス大尉‼︎」

 

「よっ‼︎」

 

ヴィンセントはキチンと一礼するのに、親父は軽〜く挨拶するだけ

 

「シスター・グリーン。どうかリチャードの遊び癖を粛清してやって下さい」

 

「シスター・グリーン‼︎どうかヴィンセントの堅物を粛清してやって下さい‼︎」

 

「ふふっ。神にでも出来ない事はあります‼︎」

 

俺もアレンも、頭を抱えてため息を吐く

 

「知り合いだったのか⁇」

 

「嫌々ずーーーーーっと致し方無く護らせて貰わせてるんですー‼︎」

 

「いつも素晴らしい援護感謝しますぅーーー‼︎」

 

「ぐぬぬぬ‼︎」

 

「うぎぎぎ‼︎」

 

褒めているのか貶しているのか分からない

 

「いらっしゃい」

 

シスター・マリッジが来た

 

「あ…」

 

ヴィンセントの目が優しい目に変わる

 

シスター・マリッジも、それに合わせるかのように微笑んだ

 

「えと…その…」

 

「さっ‼︎三人共‼︎シスター・マリッジとヴィンセントさんは懺悔の時間です。奥でオヤツを食べましょう‼︎シスター・ヌードル。オヤツをお願い」

 

「はいでし‼︎」

 

シスター・グリーンの長い瞬きのアイコンタクトで、俺もアレンも理解した

 

見てはいけない奴だ

 

親父は最初から何が起こるか知っているのか、既にシスター・ヌードルのケツを見ながらサボリルームに向かっている

 

それにしても、かなりの身長差だ

 

貫禄のある身長のヴィンセントと違い、シスター・マリッジは小さい

 

何が起こるのだろうか…

 

 

 

 

「美味しい⁇」

 

「まぁな」

 

ポイポイマカロンを口に入れながら、致し方無くテレビを見る

 

「アレン」

 

「はい‼︎」

 

珍しく真面目な顔をした親父が、アレンに話掛けた

 

「ヴィンセントは昔から、極々稀に人の命を軽く見てしまう癖があるんだ。あぁ、悪口じゃない」

 

「はい」

 

「あいつの偉い所はそれに自分で気付いて、前もってこうして懺悔しに来るんだ」

 

「意外です…パパにそんな癖があったなんて…」

 

「あいつは良い艦長だ。だが、その良い艦長にも抱える物はある。それを今扉の向こうで一時的に降ろしてる。それだけの事さっ」

 

「なるほど…ありがとうございます」

 

「たまにはカッコイイ事言うでし」

 

「たまに⁉︎いつもカッコイイだろ⁉︎」

 

親父の膝の上で足をプラプラしながら笑うシスター・ヌードルが今何を言っても、全く貫禄が無い…




でしでし言ってるのはハルサメチャンです 笑

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