艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、217話が終わりました

間が空いてしまって申し訳ありません

作者はぎっくりの腰になり、腰がイッテェダズルになっていました

トイレに行くだけで半時間掛かりました

それはさておき、今回のお話は赤ちゃんのお話です

猛者揃いの単冠湾

その中でも赤ちゃんに懐かれる艦娘が一人

そんな彼女のお話です


218話 フレンチギャルの子育て日誌(1)

単冠湾の基地の執務室

 

「ほ〜れほ〜れ、こっちダズル〜‼︎」

 

「リシュリューの所にくリュ〜‼︎」

 

「おいでニム‼︎」

 

「吹雪ちゃん‼︎こっちに来ませんか⁇」

 

榛名、リシュリュー、ニム、HAGYの前には、床に座った吹雪がいる

 

吹雪は瞬きをしながら全員の顔を見た

 

「あはっ‼︎リシュリューの所に来たリュー‼︎」

 

「うぬぐぐぐ…何で榛名には懐かんダズル…」

 

「ニムが懐いてあげるニム‼︎」

 

「やめるんダズル‼︎来るんじゃねぇダズル‼︎」

 

「あっ‼︎あの機体は‼︎」

 

窓の外で、一機の戦闘機が着陸している

 

「ありゃあマーカスときそダズル」

 

「多分カプセルのメンテナンスだリュー」

 

「ダズル。今日こそちゃんと挨拶するニムよ」

 

「マーカスの態度次第ダズル」

 

 

 

「レイごめんね⁇急に言って」

 

「いんや…ふぁ…構わんさ。一人で出来るか⁇」

 

「うんっ‼︎大丈夫‼︎」

 

この日俺は夜間哨戒を終えて、基地に帰ろうとした

 

だが、きそが単冠湾でカプセルのメンテナンスをしたいと言った為、そのままの足で補給と休みがてら単冠湾に来た

 

「あ‼︎榛名さん‼︎」

 

「きそ‼︎」

 

榛名を見かけたきそは、飛び付くように抱き着き、榛名と一緒にカプセルのある部屋に行った

 

「レイさん‼︎お疲れ様です‼︎」

 

「急に悪いな。きそが終わるまで飯食いたいんだ」

 

「勿論‼︎HAGY‼︎」

 

「畏まりました‼︎」

 

俺は俺でHAGYに着いて行く

 

 

 

 

「吹雪はマーカスさん知ってリュー⁇」

 

リシュリューの前には、ぬいぐるみを振って遊んでいる吹雪がいる

 

「これはくまさんだリュー」

 

今度はおしゃぶりを取り、くまのぬいぐるみの耳を口に入れて甘噛みし始める吹雪

 

このくまのぬいぐるみ、グラーフが造ったぬいぐるみである

 

吹雪が怪我をしないように極限まで痛い部分を減らし、フワフワ部分を増やす

 

そして耳は噛み応えのある低反発素材

 

恐らく吹雪は不思議な噛み応えが面白くて耳を甘噛みしている

 

「お腹空いたリュー⁇」

 

色々齧り出した吹雪を見て、リシュリューは離乳食を作る為に台所に向かった

 

「あら。着いて来たリュー⁇」

 

ハイハイをしながら吹雪が着いて来ていた

 

リシュリューは吹雪を抱っこした後、執務室に戻って来た

 

「ご飯作るから大人しく待っ…」

 

机付きの椅子に座らせようとしたが、吹雪はリシュリューから離れようとしない

 

「仕方ないリュー」

 

リシュリューは赤ちゃんを抱っこする器具を付け、そこへ吹雪を入れた

 

「大人しくしてるんだリュー」

 

そしてまた台所に立つ

 

 

 

「美味しいのが出来たリュー‼︎」

 

執務室に戻り、今度こそ吹雪を机付きの椅子に座らせる

 

「シチュー、オカユ、トリニクのトマト煮。どれから食べたいリュー⁇」

 

吹雪の前には、美味しそうな離乳食が三つ置かれている

 

リシュリューは吹雪のおしゃぶりを取り、前掛けを付けながら最初に食べる離乳食を選ばせる

 

吹雪の目線は、鳥肉のトマト煮に行っている

 

リシュリューは吹雪の前に座り、スプーンで鳥肉のトマト煮を掬い、吹雪の口元に持って来た

 

「吹雪、あ〜んだリュー」

 

すると吹雪はリシュリューの顔を見ながらも口を開け、それを食べ始めた

 

「もぐもぐだリュー」

 

吹雪にご飯を食べさせていると、執務室の扉がノックされた

 

「あ、どうぞリュー‼︎」

 

「よっ」

 

「あらマーカス‼︎」

 

レイの顔を見て、リシュリューの顔がパアッと明るくなり、口調が元に戻る

 

吹雪はそんなリシュリューの顔をジーッと見ている

 

「おっ⁉︎吹雪はご飯か⁇」

 

「えぇ。貴方も食べる⁇」

 

「下で貰って来たよ。美味かった」

 

「そっ⁇」

 

「ちょっと横にならせてくれ。夜間哨戒で疲れた…ふぁ…」

 

「えぇ。そこのカーペットの上で横になるといいわ⁇」

 

レイはリシュリューの言葉に甘え、テレビの前のカーペットで横になり、テレビの電源を入れた

 

「はいっ‼︎ごちそうさまだリュー‼︎」

 

綺麗に口元を拭いて貰い、吹雪は嬉しそうに体を縦に揺らす

 

リシュリューは吹雪の前掛けを外しておしゃぶりとくまのぬいぐるみを持たせ、椅子から吹雪を降ろした

 

この二つがあれば、普段も大人しい吹雪は更に大人しくなる

 

単冠湾の執務室に危険は少ない

 

ワンコと榛名が吹雪の為に色々配慮して、角を少なくしたり、重たい物は完全に吹雪の手が届かない場所に置かれている

 

今の内にリシュリューは前掛けを洗濯したり、食器を洗う為に一旦執務室を出た

 

 

 

 

椅子から降ろされた吹雪はカーペットの上に座り、キョロキョロしながらぬいぐるみを軽く振ったりしながら、ハイハイをし始めた

 

俺はカーペットに寝転びながら、半目でテレビのニュースを見ていた

 

眠たい…

 

絶妙なまどろみの中、視界に映る赤ん坊が一人

 

吹雪はハイハイで俺の腹の上に登ろうとしている

 

既に吹雪でニュースは見えないが、半目のまま吹雪を見続ける

 

吹雪は俺の腹の上に登ってそこに座り、目を大きく開いてくまのぬいぐるみと自分の体を縦に揺らす

 

吹雪は嬉しい事があると体を縦に揺らす

 

小高い丘を登頂した気分なのだろう

 

吹雪は俺の腹の上で座り、また辺りをキョロキョロ見回す

 

そして俺と目が合い、軽く下を向く

 

「どうした吹雪」

 

吹雪はジーッと俺の目を見つめ、軽くくまのぬいぐるみを振る

 

…何と無くだが、嫌な予感がする

 

「…吹雪。頼むからそこでするなよ⁇」

 

俺の懇願虚しく、吹雪は目を閉じて気張る

 

「…よいしょ‼︎」

 

腹の上では止めて欲しかったが、食べたら出すのは健康な証拠だ

 

吹雪を抱き上げ、オムツを貰う為にリシュリューの元へと向かう


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