艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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216話 シャークマウス(2)

「大丈夫か⁇」

 

「怪我も被弾も無い」

 

「ならいい」

 

グリフォンから降りてすぐに隊長が来てくれた

 

「あいつは一体…」

 

「まだアンノウンとしか言いようが…」

 

「大佐‼︎大尉‼︎逃げて‼︎」

 

隊長と話していると、ダイダロスの乗組員が走って逃げて来た

 

「見つけたぞ。黒い悪魔‼︎」

 

「隊長」

 

隊長にヘルメットを渡し、ついさっき海上で遭遇した少女の方を向く

 

青い髪で、まだまだ幼い顔と体をしているが、殺意だけは大人顔負けに伝わって来る

 

「さっきも俺を悪魔と言ったな」

 

「許さない‼︎」

 

話が伝わりそうな相手ではなさそうだ…

 

「地獄へ落ちろ‼︎」

 

「うおっ‼︎」

 

再三目のいきなりの砲撃

 

横に転がり、何とかかわせはしたが…

 

「なんて威力だ…」

 

地面が大きく抉れる程の砲撃

 

直撃すれば流石にもたなさそうだ…

 

「人に向けて撃ったらダメなんだよ‼︎」

 

異変に気付いた照月が割って入ってくれた

 

「うるさい‼︎」

 

今度は照月に向けて砲撃を放つ

 

「伏せろ照月‼︎」

 

「えいっ‼︎」

 

再び地面が抉れる

 

照月は自身に向かって来た砲弾に対し、ゲンコツを振り下ろした

 

砲弾は照月に向かう事なく、照月の足元を抉った

 

「次は照月の番だね〜‼︎えいっ‼︎」

 

照月は一瞬で少女の前に踏み込み、ゲンコツを振り下ろした

 

「ふ…」

 

照月のゲンコツは少女に当たる少し手前で止まり、少女はニヤリと笑う

 

「あれぇ〜っ‼︎あれあれあれ〜っ‼︎」

 

照月は何度もガンガンゲンコツを振り下ろすが、少女に当たる気配は無い

 

それどころか、ゲンコツの当たりすぎで周りの地面が沈んで来ている

 

「なんでぇ〜⁇」

 

「邪魔をするな‼︎」

 

今度はゼロ距離からの砲撃

 

「えいっ‼︎」

 

それでも照月は弾く

 

「照月に豆は効かないよ」

 

「ふ…なら、これならどうだ‼︎」

 

少女は軽くジャンプした後、照月に向かってストレートパンチを繰り出した

 

「わぁ‼︎」

 

照月が後ろに下がる

 

かなりの体重があるはずの照月を下がらせる程のパンチ

 

それに、攻撃が届かない目に見えない障壁

 

「目的はなんだ‼︎」

 

「悪魔と死神の首を取る。それだけ」

 

「悪魔と死神だぁ⁇」

 

「横須賀分遣隊だと言ったな。横須賀に行けば死神に会えそうだ…」

 

「ふざけるな‼︎誰が行かせるか‼︎」

 

「次は負けない…悪魔にも、死神にも…」

 

そう言い残し、少女は海へと帰って行った…

 

「横須賀に行くだと…」

 

「レイ‼︎急ぐぞ‼︎今なら横須賀に間に合う‼︎」

 

「分かった‼︎照月‼︎大丈夫か⁉︎」

 

「うんっ‼︎あの子強いね‼︎照月、殴りたくなっちゃった‼︎」

 

ニコニコしながら照月は怖い事を言っている

 

「照月、お兄ちゃんに手を出す奴は誰であろうと許さないよ」

 

「いいか照月。俺達がいない間、基地のみんなを護ってくれるか⁇」

 

「照月もあの子殴りたい‼︎」

 

「照月は良い子ちゃんだから、俺の言う事聞いてくれるな⁇」

 

「分かった‼︎照月、みんなを護るよ‼︎」

 

照月は素直な子だ

 

ちゃんと接すれば、いつだって助けてくれる

 

「お兄ちゃん。反発したら言ってね⁇照月がピーラーさんであの子皮剥きしてあげる‼︎」

 

「分かった」

 

ニコニコ笑顔を送る照月の瞳の奥に、怒りの炎が見えた

 

照月の頭を撫でた後、俺と隊長はすぐに横須賀へと飛んだ

 

《アンノウンを避けて飛ぶ。全速力で行くからな‼︎》

 

「オーケー‼︎着いて行く‼︎」

 

帰り際、眼下にあの少女が見えたが、高度の高い位置を飛行している為、撃って来る事は無かった


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