艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、216話が終わりました

今回のお話は、誰かが大暴れするお話です

突如として出現したアンノウン

果たしてその正体とは…


216話 シャークマウス(1)

スカイラグーンから数十キロ離れた沖合…

 

この日、レーダー艦”ダイダロス”が付近をいつもと変わらぬ様子で巡回をしていた

 

少し離れた位置に、護衛の為に来てくれた照月と涼月もいる

 

「そういや、ここで結構な規模の海戦があったらしいな⁇」

 

「我々が大湊に所属する少し前の話ですよね…」

 

旗艦アークロイヤルbis率いる大規模艦隊迎撃戦の事だ

 

作戦名、ジャスティスブレイク

 

正義と言う名の破壊の力が互いに交錯した海戦だ

 

それからと言うもの、不思議な事が多く起こっている

 

近くを通った民間船によれば

 

・発信者不明の電信を傍受した

 

・女の子の声が聞こえた

 

・海上を走る少女の影を見た

 

等々、半都市伝説のような噂が流れている

 

「噂が本当ならば、海戦での生き残りがいるのかも知れないな…」

 

「噂が噂のままならば良いのですが…」

 

「艦長。通信を傍受しました」

 

「読め」

 

電文を持って来たダイダロスの乗組員の言葉の前に、ダイダロスさんと補佐は息を飲んだ

 

「はっ。”マケナイ マケラレナイ”との事です」

 

ダイダロスさんと補佐は顔を見合わせた

 

「発信源の特定を頼む」

 

「了解」

 

補佐が電信の発信源の特定に入る

 

「一応、横須賀と大湊に連絡を入れておけ。発信源不明の電信あり。救助依頼の可能性がある為、本艦はこのまま待機、と」

 

「了解しました」

 

二人に命令を出してすぐ、ダイダロスさんは無線を取った

 

「ヴァルキリー、レディ。発信源不明の電信を傍受した。付近に異変が無いか索敵範囲を広げてくれ」

 

《分かった‼︎照月は左‼︎》

 

《了解です、ダイダロス。涼月は右を》

 

無線を切り、ダイダロスさんは水平線を見つめながらため息を吐いた

 

「心強い味方が居て助かりましたね⁇」

 

「この艦には大した武装が無いからな…あっても使い方知らんし…」

 

「ですよね…」

 

ダイダロスには大した武装が載っていない

 

武装という武装は、精々左右に一つずつある固定銃座のみ

 

もし奇襲を掛けられたり海戦になればひとたまりも無い

 

「発信源特定。レーダーに表示します」

 

ダイダロスのモニターに発信源が映し出される

 

「ここが発信源の模様です」

 

「完璧にジャスティスブレイク作戦の跡地だな…」

 

「艦長‼︎横須賀から入電‼︎サンダーバード隊を護衛に付けるとの事‼︎」

 

「おぉ‼︎」

 

ダイダロス一同、安堵のため息を漏らす

 

サンダーバード隊が来てくれれば一安心だ

 

《ダイダロス、聞こえるか》

 

「聞こえます、イカロス‼︎」

 

無線から聞こえた声はウィリアム

 

《発信源のデータを受け取った。ちょっくら見てくるよ》

 

《お兄ちゃんとパパさん頑張れ〜‼︎》

 

《照月、涼月。ダイダロスを任せたぞ》

 

《うんっ‼︎》

 

マーカスの声がした途端、照月と涼月がダイダロスの護衛に戻って来た

 

これで護りは完璧だ

 

《ダイダロス。スカイラグーンで待機していてくれ》

 

「了解。サンダーバード隊、支援に感謝します」

 

《二人を頼んだ》

 

ダイダロスの上空を行き、綺麗に二手に分かれるサンダーバード隊の二人

 

その二人を見て、ダイダロスの乗組員は二度目の安堵のため息を吐いた

 

 

 

 

「発信源はこの辺りだ」

 

《了解。何もなければ良いんだがな…》

 

そう思っていたのも束の間…

 

「来やがった…」

 

”ドコダ クロイシニガミ”

 

電信が来た後すぐ、目下に人影を見つけた

 

「グリフォン。奴をマークしろ」

 

《オッケー‼︎》

 

グリフォンがモニターでアンノウンをマークしている間、隊長に無線を繋げる

 

「ワイバーンからイカロスへ。目標を発見した」

 

《了解。攻撃の意思はあるか⁇》

 

「ビミョーな所だ。会話してみる」

 

《任せたぞ》

 

隊長との無線を終え、次はアンノウンに繋げる

 

「こちら横須賀分遣隊。アンノウン、聞こえるか」

 

《…》

 

「避けろグリフォン‼︎」

 

《うひゃお‼︎》

 

低空飛行で近付いた途端、いきなり発砲を受けた

 

「やめろ‼︎撃つんじゃない‼︎」

 

《見つけた…悪魔め‼︎》

 

「なんだと…うおっ‼︎」

 

話す余地無く、発砲を受け続ける

 

「撤退だ‼︎」

 

《オッケー‼︎アレはヤバイね‼︎》

 

《ワイバーン、大丈夫か‼︎》

 

すぐに隊長から無線が入り、横に着いて貰った

 

「平気だ。ちょっとビビっただけだ」

 

《スカイラグーンで補給を受けよう。燃料が持たん》

 

「了解」

 

一旦隊長と共にスカイラグーンまで退却する事になった…


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