艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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215話 機械仕掛けの愛(3)

「フォーーーーー‼︎」

 

「モーニンモーニンモーニンモーニン‼︎」

 

「イラッシャイマセ。ニメイサマデスカ」

 

「なんだっ、マーカスとっ、アレンかっ」

 

親父はウドンを啜っていた

 

「まさか…」

 

冷や汗が走る

 

「か、葛城‼︎」

 

「は〜い‼︎」

 

奥からハチマキを巻いた葛城が出て来た

 

「良かった…」

 

葛城までロボットになったかと思っていた

 

「あ。ミニうどん二つ貰えるか⁇」

 

「ミニウドンデスネ。アリガトウゴザイマス。ミニウドンニチョウオネガイシマス」

 

「はいよ‼︎ミニうどん二丁‼︎」

 

マラカスもタンバリンも振らず、二人は大人しくうどんを待つ

 

「ミニうどんあがりました‼︎」

 

コト

 

コト

 

「ミニウドンデス」

 

「「いただきます」」

 

割り箸を割りつつ、親父の様子を見る

 

黙々とうどんを啜っている

 

ま、大丈夫そうだ

 

正直結構満腹なんだが、ミニうどんくらいなら入る

 

「葛城」

 

「はい」

 

「親父はずっとあの調子か⁇」

 

「私は今朝方出勤したので昨晩は良く分かりませんが…はい」

 

「そっか…」

 

親父の目は瑞鶴を見て笑っていると言うより、懐かしんでいる目だ

 

「本当に好きだったんだな…」

 

「マジもんだったとはな…」

 

結局俺達はミニうどんを食べた後、邪魔しちゃいけないと思い、ずいずいずっころばしから出て来た

 

その日も親父は丸一日瑞鶴の傍に居た

 

夜になるとまた飲み始め、誰かが迎えに行く…

 

「オッ…ラァ〜ッ‼︎帰んぞおじいちゃ〜〜〜んっ‼︎ドック放り込むぞぉ〜〜〜っ‼︎」

 

「重イ〜ッ‼︎」

 

「あ‼︎朝霜‼︎毒ジャーヴィスゥ‼︎」

 

「パパ⁉︎ジャーヴィス毒ないヨ⁉︎」

 

「ジャーヴィス毒ない⁇」

 

「ないヨ‼︎」

 

「そんなぁ…」

 

朝霜とたまたまスパイトと遊びに来ていたジャーヴィスが、何故かジャーヴィスに毒が無いと分かり落ち込んだリチャードをヒーコラ言いながら寮まで運ぶ

 

「ぐへぇ…」

 

「ついたァ…」

 

「ぐが〜…」

 

ベッドにリチャードを運び終わり、タオルケットを被せる朝霜

 

そして、リチャードの冷蔵庫から勝手にレモンの炭酸を頂戴するジャーヴィス

 

「ジャーヴィス…」

 

「んあ⁇なぁにパパ⁇」

 

「スパイトには言うな…」

 

「…分かった。内緒にするヨ」

 

少しは悪気があるのか、リチャードはジャーヴィスに内緒にするように言った後、イビキをかいて寝始めた

 

「じゃ、帰るか‼︎」

 

「ウン‼︎」

 

朝霜はジャーヴィスを台車に乗せ、パイロット寮を出た

 

「アーチャン‼︎」

 

「おっ‼︎あんがと‼︎」

 

台車に乗ったジャーヴィスはレモンの炭酸を丸ごと頂戴したのをゴクゴク飲みながら、時折朝霜にもあげていた

 

「ダーリンどこかナ〜⁇」

 

「那智さんのトコにでもいんじゃないか⁇」

 

朝霜の予感は的中する

 

「おっと。ちょっと待ってな⁇」

 

朝霜は台車を押す手を止め、震えたタブレットを見る

 

 

 

ぜみに> レイが那智のバーにいるから連れて帰って来てくれる⁇

 

ギザギザ丸> あぁった

 

 

 

「バーだとさ」

 

「バー行コ‼︎」

 

タブレットを仕舞い、朝霜は台車を押す…

 

 

 

 

バーに着くと、ドアを開ける前から騒がしさが伺えた

 

「…なんだ⁇」

 

「人いっぱいだネ…」

 

窓の外から店内を見ている人までいる始末

 

朝霜は台車を停め、ジャーヴィスと手を繋いでバーに入った

 

「いいわよマーカス‼︎嫌いじゃないわ‼︎」

 

「おぉ〜‼︎」

 

スパイトとポーラが酔っ払って騒いでいる

 

その先にはレイとアレンさんがいる

 

何かモノマネをしながら歌を歌っているみたいだ

 

「アッハハハ‼︎いいわよマーカス‼︎」

 

「いいぞいいぞぉ〜‼︎」

 

スパイトは人が違ったかのように酔っ払い、叫び散らしている

 

ポーラはいつも通り騒いでいる

 

「子供は寝る時間だぞ」

 

「那智さん」

 

「おいマーカス‼︎子供がお迎えに来たぞ‼︎」

 

しかしレイとアレンはマイクスタンドを持ち、華麗に歌い続ける

 

「…もう一曲だけ待っててくれ」

 

「あぁった。オレンジジュース下さい」

 

「ジャーヴィスはピーナッツ‼︎」

 

「畏まった。スパイトさんの所で待ってるんだ」

 

二人はスパイトとポーラの所に向かい、騒ぎまくっている二人のいるソファーに座る

 

「フォーーーーー‼︎」

 

「おばあちゃん」

 

「フォ、あら朝霜‼︎」

 

「ジャーヴィスちゃんもいますね〜」

 

「ポーラ‼︎飲むわよ‼︎」

 

「飲みまぁ〜すぅ‼︎」

 

スパイトとポーラは瓶ごとワインを飲み始めた

 

「瓶ごと行くな‼︎ほら、グラス‼︎」

 

「ポーラサンもッ‼︎はいッ‼︎」

 

「ゴックン…プァ‼︎フォーーーーー‼︎」

 

「最高ですぅ〜〜〜〜〜‼︎」

 

「ダメだ…早くなんとかしないと…」

 


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