艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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212話 フレンチギャルのアルバイト(2)

「はぁ…へぇ…ねいびぃちゃんは恐ろしいわね…喉乾いたわ…」

 

息を切らして軽く前屈みになるリシュリューの目の前に、とっても美味しそうなコーヒーショップが‼︎

 

「タッチバックス…何か卑猥ね」

 

店の前の黒板には今のリシュリューにとって、物凄く美味しそうなアイスコーヒーが描かれている

 

時間はまだまだあるし、どうせならオサレに過ごしたい

 

迷う事なく、リシュリューはタッチバックスに入った

 

「いらっしゃいませ」

 

店内は数人の女性客と、オールバックの壮年間近のマスターが一人

 

「表にあったアイスコーヒーを頂けるかしら」

 

「畏まりました」

 

カウンター席に座り、リシュリューは男性店員を眺めたり、店内を見回したりしてアイスコーヒーを待つ

 

「お待たせしました。コーヒーフロートです」

 

リシュリューは案外子供染みた物が好きな気がある

 

このアイスコーヒーを頼んだのも、可愛らしいからとの理由である

 

「アイスが乗ってるのね。美味しそう。頂きます」

 

食べる前にリシュリューはちゃんと帽子を脱ぎ、手を合わせてからコーヒーフロートを口にする

 

「んっ…んっ…んっ…」

 

リシュリューの飲み方は何故か少しエロく聞こえる

 

「ぷぁっ‼︎美味しいわね‼︎グアテマラ辺りの豆かしら‼︎」

 

「ご名答です。お詳しいのですね⁇」

 

マスターはコップを拭きながら、リシュリューと話す

 

「グアテマラは行った事あるの。コーヒー豆の収穫と苗木の植樹に行ったわ⁇」

 

「どうりで…」

 

「貴方、コーヒー淹れるの上手ね⁇」

 

「其れ程でも…」

 

「…貴方、何処かで会った事…」

 

「アイスのサービスです」

 

「あら。ありがと」

 

何かを言おうとした時、リシュリューのアイスコーヒーに、二つ目のバニラアイスが落ち、遮られる

 

何故かマスターは冷や汗を出している…

 

「あぁ‼︎映画で見たわ‼︎貴方、恐竜の映画の博士に似てるわ‼︎」

 

「よく言われます」

 

マスターは不器用ながらもリシュリューに笑顔を返した

 

「ごちそうさま。幾らかしら⁇」

 

「200円です」

 

「はい。また来るわ‼︎」

 

「お待ちしております」

 

マスターに一礼され、リシュリューはカウベルを鳴らし、タッチバックスを出た

 

 

 

「タッチバックスを出た」

 

《オーケー。作戦2へ移行。尾行を続ける》

 

「頼んだ」

 

 

 

 

「もう少しね」

 

ビスマルクとの待ち合わせの時間までもう少しある

 

「う…」

 

元来た場所を戻ろうとしたが、行く手にはねいびぃちゃんを越えなければならないという壁がある

 

「はいぱぁらっきぃ〜‼︎」

 

「うひっ…」

 

ねいびぃちゃんの声を聞き、リシュリューは身震いする

 

ねいびぃちゃんだけはどうにかして避けたい

 

「あれね」

 

目の前には雑居ビル

 

あの中を通れば、ねいびぃちゃんルートを避けて通れる

 

迷う事なく、リシュリューは雑居ビルに入った…

 

 

 

「雑居ビルに入った」

 

《了解。そのまま尾行を続けて下さい》


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