艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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題名は変わりますが、前回のお話の続きです

お話の主人公は誰か分かりましたか⁇

題名が大きなヒントになってます


210話 フレンチギャル

「感謝するわ」

 

「気にすんな。友達だろ⁇」

 

「そうね。そういう事にしといてあげるわ」

 

二人は顔を見合わせずに、木の枝で砂を掘り返しながら話を続けた

 

「貴方のお父様に助けて頂いたわ」

 

「…悪いな、ナンパに付き合わせて」

 

「いいの。でも、貴方と一緒ね。自動的に惚れさせて行く…」

 

「褒めてんのか⁇」

 

「想像に任せるわ。あっ‼︎あった‼︎」

 

ピンクの貝殻の片割れがあった

 

「アレンに加工してもらうか⁇」

 

「えぇ。お金は出すから、消毒とか滅菌した後、イヤリングにして頂戴」

 

「りょ〜かいっ」

 

マーカスに貝殻を渡し、彼は基地方向に足を向け、私はもう少しだけ貝殻を探す為にもう一度膝を曲げた

 

「あぁ、そうだ」

 

「なぁに⁇」

 

マーカスは首を少しだけ此方に向け、言った

 

「案外子供っぽいんだな」

 

「え…」

 

マーカスは前を向いた後、右手の人差し指と中指を一回だけ振り、歩いて行った

 

動け、私の体‼︎

 

私はあの人に二度も救われた‼︎

 

動け動け動け動け動け動け動け‼︎

 

「ま、待ちなさい‼︎」

 

勇気を振り絞って、声を出した

 

「なんだ⁇」

 

マーカスは足を止めてくれた

 

「あ、あ…」

 

ありがとう

 

この一言を言うだけなのに、声が詰まる

 

そんな私を見て、マーカスが微笑む

 

「来るか⁇」

 

「あ…」

 

あの日と同じ様に、手を差し伸べられる…

 

私はすぐに木の枝を捨て、彼の手を握った

 

「待って‼︎お願い‼︎」

 

「もう待ってるぞ」

 

「貴方に言わなきゃいけない事があるの‼︎」

 

「私の谷間、何ガン見してんのよ‼︎か⁇」

 

「そんなのどうだって良いわ‼︎ありがとう‼︎私を救ってくれて‼︎」

 

「今返して貰った」

 

「あ…」

 

真顔で真剣な目をした彼を見て、ふと笑顔が溢れた

 

「お父様と同じ事言うのね⁇」

 

「じゃあ変える…」

 

「いいわよ」

 

彼は両腕を広げた

 

「ん…」

 

ギュッと私を抱き寄せてくれる両腕で、あの日を思い出した

 

あぁ、この腕だ…

 

さっきのナンパな男達に抱かれるのはイヤだけど、彼になら構わない気もする

 

「ありがとう…何度も助けてくれて…」

 

「気にすんなって言ったろ⁇」

 

「気にするわ⁉︎二回よ二回‼︎貴方分かってる⁉︎」

 

私が軽くカンシャクを起こすと、マーカスは私の頭に手を置いた

 

「お前がこうしているだけで充分さっ」

 

「ん…」

 

照れてしまい、下を向く

 

あぁ、また子供っぽいとか思われてる…

 

「んんっ‼︎そう言って貰えると助かるわ⁉︎」

 

咳払いをした後、元の私に戻る

 

「行こう」

 

「待ちなさい」

 

今度は私が手を出す

 

「エスコートして頂戴」

 

「オーケー。そうでなくちゃな‼︎」

 

マーカスは私の手を握り、待ち合わせ場所に連れて行ってくれた

 

「そう言えば貴方、ブロンドヘアーが好きなのよね⁇」

 

「え⁉︎あ、はい…」

 

マーカスがキョドリ出す

 

「ヨメで不満を感じたら、私に言いなさい。相手をしてあげます」

 

「はは。それは要らん心配だ」

 

「そっ⁇なら宜しい」

 

「来た来た‼︎帰りますよ〜‼︎」

 

既に待ち合わせ場所では皆が待っていた

 

「行くんだ」

 

「言われなくても行くわ。じゃあね⁇」

 

「んっ」

 

マーカスの手を離し、一度だけ振り返り、軽く投げキッスをする

 

マーカスは投げキッスを空で掴む仕草をし、それを食べた

 

それを見て、私はまた笑顔になった…

 

 

 

 

次の日の朝…

 

今日は遠征

 

「準備OK⁇」

 

「えぇ。準備万端よ」

 

「後はこれをっ…」

 

提督が地面を引き摺りながら艤装を持って来てくれた

 

「もう…持つわ。貸しなさい」

 

提督から艤装を受け取り、海上に立つ

 

「ありがとリュー‼︎じゃあ、行ってくリュー‼︎」

 

「気を付けてね‼︎」

 

提督に手を振り、遠征へと向かう…

 

「オメーも隅に置けないダズルな」

 

「リシュリューがリュー⁇」

 

「何もねぇダズルよっ」

 

榛名さんがニヤリと笑う…

 

それ以降、私”リシュリュー”が悪夢にうなされる事はなくなった…

 

 

 

 

数日後、ラバウルからアレンさんが来た

 

「悪いな、遅くなって」

 

アレンさんの手にはアクセサリーケースが握られていた

 

中にはあのピンクの貝殻で出来たイヤリングが入っていた

 

「あら。ホントに作ってくれたの⁇」

 

「友達の頼みは断らない主義なんだ」

 

「そう…ありがとっ」

 

早速イヤリングを耳に付け、アレンさんに見せてみた

 

「ど⁇似合うかしら⁇」

 

「似合ってる。アイツの言った通りだな」

 

「あら。彼が⁇」

 

「美人だから、こいつも似合うって言ってたぞ⁇」

 

「お世辞が上手いのね。幾らかしら⁇」

 

「もう貰ってる」

 

「彼が⁇」

 

「そっ。何もプレゼントした事がないから、プレゼントさせてくれだとさ」

 

「なら、お礼に貴方の宣伝でもしてあげるわ⁇」

 

「それは有難いな」

 

鏡越しでアレンさんに話し掛けながら、お気に入りになった貝殻のイヤリングを見る…

 

「今度、アルバイトでもしてみようと思ってるの」

 

「ほう⁉︎どんなだ⁇」

 

「ふふっ…それはね…」

 

リシュリューが何のアルバイトを始めるかは、ほんの少しだけ先のお話で明らかになる…


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