艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

692 / 1086
さて、209話が終わりました

今回のお話は、少しだけエッチなお話です

エッチなお話が苦手な方は、少し目をつぶって欲しいですが、ストーリーに関わる重要なお話もあるかも知れません…

果たしてうなされているのは誰なのか…

そして、救ってくれたのは誰なのか…



210話 心の叫び(1)

「ハッ…ハッ…んっ…」

 

一人の艦娘がベッドで喘ぐ

 

「ハッ…うっ、ん…」

 

自分の声で目が覚める

 

「夢…か…」

 

悪夢にうなされた彼女は、深夜に目を覚ましてしまった

 

「…お水でも飲もうかしら」

 

ベッドから起き上がり、食堂へと向かう

 

食堂に着き、冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り、自分専用のコップに注ぎ、一度それを飲み干す

 

「んっ…んっ…ん…はぁっ」

 

口元を手で拭き、呼吸を整える

 

「またあの夢…」

 

彼女は何度も同じ夢を見ていた

 

彼女は過去に辱めを受けた経験があった

 

何度も嬲られ、そして捨てられた…

 

だけど、そんな自分を救ってくれた人がいた

 

この基地のみんなもそうだけれど、また別の誰か

 

その人は、散々辱めを受けた私に躊躇いも無く手を差し伸べてくれた

 

その人は何も言わず、私を遠い場所に匿ってくれた

 

失礼な事に、私はその人の事をうっすらとしか覚えていない

 

唯一覚えているのは夢で言われた言葉だけ

 

「へぇ、案外子供っぽいんだな」

 

これだけ

 

自分でも失礼な人だと思う

 

だけど、思い出せない

 

もしかすると、思い出さない方が良いんじゃないか…とも思う

 

「ふぅ…」

 

呼吸を整え終え、もう一度ミネラルウォーターを飲み、もう一度ベッドに入って目を閉じた…

 

 

 

 

 

次の日…

 

彼女は横須賀に来ていた

 

他に二人もいるけれど、パチンコと買い物をしている

 

彼女は一人、長い海岸線の途中にある階段で腰を降ろしていた

 

「ふぅ…」

 

缶コーヒーを飲みながらため息を吐く

 

昨日の夢が頭から離れない

 

あの日の事を思い出す…

 

胸を穢され、太腿も穢され…

 

ファーストキスもヴァージンも散らされ…

 

思い出すと体が締め付けられる思いになる

 

だからこそ、一人になりたかった

 

「よいしょ‼︎」

 

突然誰かが横に座った

 

「…なぁに⁇」

 

見慣れない若い男性だ

 

基地の人間ではない

 

「一緒に寿司食わない⁉︎」

 

「…ナンパならお断りよ。一人になりたいの。放っておいて」

 

「そんな事言わずに行こうよ‼︎」

 

そう言って、彼は手を引いて来た

 

「やめて‼︎」

 

「へへ…」

 

「ひっ…」

 

気が付くと周りには数人の男性がいた

 

タイミングが悪い…

 

今しがた、あんな事を思い出していたのに…

 

「や、やめて…」

 

一気に恐怖が蘇り、体が震えて固まる…

 

「来いよ‼︎」

 

抵抗虚しく、海岸線を降り、街へ連れ出された

 

あぁ…また辱しめられるのか…

 

いつもならブン殴ってやるのに、恐怖で体が動かない…

 

「ね〜ね〜何する⁉︎」

 

「…好きにすれば」

 

半ば呆れ半分に答えを返す

 

「ならホテル決定‼︎」

 

やっぱりだ…

 

体しか見てない

 

あぁ、誰か…

 

「スーパーウルトラダイナミックハイパーストロングキーーーック‼︎」

 

「ぐあっ‼︎」

 

「え…」

 

ダッサイ掛け声がしたと思えば、一人の男性がいきなり吹っ飛んだ


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。