艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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205話 みんなの学舎(4)

「ジャーヴィスとまつわは何してるの⁇」

 

「おえかキ‼︎」

 

”φ(・_・”

 

《マーカスさんとまつわかいてるの‼︎》

 

まつわの手元の画用紙には、レイとまつわが描かれている

 

「ふふっ、ジャーヴィスは⁇」

 

「ジャーヴィスはね〜、ダーリンとクッコロ‼︎」

 

ジャーヴィスの画用紙にはレイとアークが描かれている

 

アークは特徴的な髪色だから描きやすいのかしら⁇

 

「ボーちゃんは⁇」

 

”φ(・ ・”

 

ボーちゃんはとても真剣に絵を描いている

 

「わぁ〜…」

 

《ボーちゃんすごい…》

 

ジャーヴィスとまつわが、ボーちゃんの描いている風景の絵を見てため息を漏らす

 

「何処かしら⁇」

 

”٩( 'ω' )و”

 

まつわから手を離している為、ボーちゃんは液晶で顔文字を出し続けている

 

ボーちゃんはかなり絵が上手い

 

そう言えば隊長もかなり絵が上手い

 

レイも上手いは上手いけれど、何方かと言えば図面や物体の絵が上手い

 

その点隊長はオールマイティに上手い

 

”\(・ー・)/”

 

出来上がった絵を三人に見せてくれた

 

「あらっ‼︎私は何処か分かったわ‼︎」

 

「おうちダ‼︎」

 

《まつわたちのおうち‼︎》

 

”( ◠‿◠ )”

 

ボーちゃんが描いていたのは、自分達の基地の港

 

「ボーちゃんもおうちすキ〜⁇」

 

《好き‼︎みんないるから‼︎》

 

集中タイムが終わったボーちゃんはようやく話し始めた

 

「私の肖像画でも描いて貰おうかしら⁇」

 

”_(:3」z)_”

 

《ボーちゃんつかれた〜って》

 

ボーちゃんは変な顔文字を出した後、まつわの膝の上に乗って丸まった

 

「ジャーヴィスもネンネした〜イ…ふぁ…」

 

《まつわも…》

 

オヤツを食べ、ジャーヴィスはあくびをし、まつわはトロンとした目を擦り始めた

 

「お昼寝しましょうか⁇」

 

「うン…」

 

《ねんねしたい…》

 

横須賀は二人を抱っこし、由良が敷いた布団に入れた

 

「レイが来るまでおやすみね…」

 

「うん…ヨメはどこか行くノ〜…⁇」

 

「レイが呼んだら行って来るわ⁇」

 

《…》

 

ジャーヴィスがちょこちょこ話す横で、まつわは口を縦に開けて寝息を立てていた

 

「レイは優しい⁇」

 

「うん…ダーリンやさしいヨ…」

 

「レイの事好き⁇」

 

「うん…ヨメは⁇」

 

「私も好きよ⁇」

 

横須賀はジャーヴィスの頭を撫でたり、前髪を掻き上げたりしながらジャーヴィスが眠るのを待つ

 

「すぅ…」

 

「おやすみジャーヴィス、まつわ…」

 

数分もしない内にジャーヴィスは眠った

 

”_(:3」z)_”

 

”_(┐ ε:)_”

 

まつわが寝ている枕の上で、ボーちゃんはコロコロしている

 

「あんまりまつわとジャーヴィスに変な事しちゃダメよ⁇」

 

《しない‼︎警戒中‼︎》

 

「そっ⁇良い子ね⁇」

 

ほとんどの子がお昼寝をした

 

廊下では授業終了のチャイムが鳴っている

 

「レイだわ」

 

廊下でレイを見かけた

 

「後はお任せ下さいませ」

 

「任せたわ。由良、リシュリュ…」

 

「ンガッ…」

 

スヤスヤ眠る吹雪の横で鼻を鳴らしながら寝ているリシュリューに毛布を被せた後、横須賀は廊下に出た

 

「レイっ」

 

「横須賀か」

 

 

 

 

「何処か行くの⁇」

 

「保健室さ。一人検査したい子が居るんだ」

 

「来たわよ」

 

横須賀と話していると、ドーナツちゃんが来た

 

「おぉ、悪いな。ちょっと検査したくてな」

 

「そんな事の為に呼んだわけ⁉︎ふんっ‼︎結構よ‼︎」

 

ドーナツちゃんはそっぽ向いて何処かに行こうとした

 

「あら。命令に逆らうのね」

 

「命令ですって⁉︎」

 

横須賀の鶴の一声が効いたのか、ドーナツちゃんは此方を向いた

 

「そっ、命令よ。私からの直々の命令。破るのかしら⁇」

 

「う…どうせ変な事するつもりでしょ‼︎」

 

「ならコイツにも横にいて貰う。それで安心だろ⁇」

 

「…分かったわよ‼︎受ければ良いんでしょ受ければっ‼︎」

 

ドーナツちゃんは嫌々保健室に入った

 

「そこに座ってくれ」

 

「はい」

 

ドーナツちゃんは半ギレのまま丸椅子に座った

 

俺はドーナツちゃんの前に座り、書類をまとめたバインダーを机の上に置き、少しだけ記入した後、膝の上に置いた

 

「よしっ。まずは自己紹介…」

 

「駆逐艦”満潮”っ…所属はブルネイっ…アンタはマーカス大尉でしょ⁇」

 

「話が早いな」

 

「早くしてよ‼︎」

 

「早速で悪いが、首の傷はどうした」

 

「えっ⁉︎」

 

バインダーに記入しながら満潮に首の傷の事を聞く

 

満潮は手で咄嗟に首の傷を隠した

 

「な…何でもないわ…」

 

「首の傷は何故付いた」

 

「わ…私帰る‼︎」

 

「ダメよ」

 

満潮は首を隠しながら立ち上がったが、横須賀に進路を塞がれた

 

「う…」

 

観念したのか、満潮はまた丸椅子に座った

 

「満潮⁇」

 

急に大人しくなったと思えば、満潮は下を向いて震え始めた

 

「こ…これ言ったらっ…こっ、殺されるっ…」

 

「心配するな。俺達が護る」

 

「アンタ達大人なんか信用出来ないわ‼︎」

 

満潮は俺をキツく睨んだ

 

その目には涙が溢れている

 

「横須賀。満潮を脱がしてやってくれ」

 

「分かったわ」

 

「やめてよ‼︎アンタも提督みたいな事すんのね‼︎バカ‼︎アホ‼︎だから大人なんか信用出来ないのよ‼︎」

 

「はいはい。行くわよ」

 

満潮は横須賀に奥に連れて行かれ、身体の傷を確認する為に服を脱がされた

 

「提督に対してのPTSDの可能性大だな…」

 

満潮は”提督みたいな事すんのね”と零した

 

虐待かどうかは分からないが、提督から何かしらの虐待をされている可能性が高い

 

「どうしてこんな事になるまで言わなかったの…」

 

「どうしよ…殺される…私殺される‼︎」

 

「大丈夫よ満潮。絶対護ってあげるから‼︎レイ‼︎ちょっと来て‼︎」

 

緊迫した声で横須賀に呼ばれ、すぐに奥へ向かう

 

「見て…」

 

「よしよし。よく頑張ったな…」

 

満潮の体は痣や傷だらけ

 

処置されるどころか、つい最近出来た傷もある

 

「殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される…」

 

満潮は震えながらオシッコを漏らした

 

「大丈夫よ満潮。私達がいるわ」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…満潮は悪い子です…」


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