艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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205話 みんなの学舎(3)

「わぁ‼︎美味し〜イ‼︎」

 

”(о´∀`о)”

 

園児部も給食の時間

 

ジャーヴィスは初めての給食を食べ、まつわはボーちゃんに給食を食べさせている

 

「ジャーヴィスこれ知ってル‼︎シチュー‼︎」

 

《にんじんさん、たまねぎさん、とりにくさんもあるね‼︎》

 

「美味しいね‼︎マツワー、ボーチャン‼︎」

 

そんな三人の様子を、窓の外から眺める

 

「ご満悦みたいだな⁇」

 

「榛名のシチューは美味しいからね⁇」

 

「ん⁇あの子は⁇」

 

大体は把握してるつもりだが、一人見慣れない子が居た

 

前掛けをした丸い顔の女の子だ

 

保母さんである軽巡洋艦”由良”にシチューを食べさせて貰っている

 

ひとみといよくらいに小さい

 

「吹雪はちゃんと食べてリュー⁇」

 

「リシュリュー」

 

給食作りを終えたリシュリューが来た

 

「そうか‼︎榛名が保護した子か‼︎」

 

「そうだリュー‼︎吹雪は最近離乳食を食べ始めたんだリュー‼︎」

 

「はは‼︎そうかそうか‼︎」

 

一生懸命シチューを食べ、口元を汚す吹雪やジャーヴィス達を見て、三人の顔が綻ぶ

 

「マーカスさん、ジェミニさん。検食お願いしたいリュー」

 

「ん。分かったわ」

 

「普通先じゃないのか⁇」

 

と、半笑い気味でリシュリューに着いて行く

 

「ちゃんとした検食は校長のあきつ丸先生にお願いしてるんだリュー。マーカスさんとジェミニさんは美味しさ探求の検食だリュー‼︎」

 

「なるほどな…」

 

職員室に着くと、榛名とニムとHAGYが居た

 

「ちょっとコクが足んね〜ダズル」

 

「鶏肉の味は中々良いニム。今度は牛肉にするニム」

 

「野菜の量を少なめにして、肉を多めにしますか⁇」

 

「栄養のバランスと味のバランスは難しいダズルな…」

 

三人共メチャクチャ真面目にシチュー談義をしている

 

「おぉマーカス、ジェミニ。これ食うんダズル」

 

「美味しいニムよ‼︎」

 

「中々力作ですよ‼︎」

 

榛名にシチューを貰い、適当な席に座って食べてみた

 

「相変わらず美味いな…」

 

「鶏肉の味が効いてて美味しいわ‼︎」

 

「ふふふ…満足したなら充分ダズル」

 

「これで提督さんにももっと美味しいシチューを食べさせてあげられますね‼︎」

 

俺と横須賀がシチューに舌鼓を打つ横を、ヤマシロが通り過ぎようとした

 

「マーカスさん。これ、甘いキャンディです」

 

「お。サンキュー」

 

ヤマシロに紙包みのキャンディを貰い、シチューの皿を手近な机に置き、それを食べた

 

「ん⁇」

 

キャンディの包み紙を捨てようとしたが、中に何か書いてあるのに気が付き、開けて見た

 

”一人、虐待を受けてる子がいるの。調査してくれませんか?

 

昼からの視察の際にお教えしますので、授業参観としていらして下さい”

 

「レイ‼︎レイってば‼︎」

 

「ん⁉︎あぁ」

 

「お昼からは榛名に任せましょう⁇私達は園児部で…」

 

「悪い。あまぎりに様子見に来いって頼まれてんだ‼︎ちょっとだけ抜ける」

 

「そっ。なら、園児部で待ってるわ」

 

「んじゃ行くダズル。ニム、ハギィ。お皿洗い頼むんダズル」

 

「頑張るニム〜」

 

「生徒を叩いちゃダメですよっ⁇はいっ、行ってらっしゃい‼︎」

 

「んっ‼︎」

 

榛名はHAGYに身嗜みを整えて貰い、俺と共に中等部へ向かう

 

 

 

「では皆さん、座右の銘を考えましょうか」

 

中等部は道徳の授業

 

「ヤマシロは授業は上手いんダズルよ…」

 

「褒め上手だからな…」

 

再び窓の外からヤマシロの様子を見る

 

それでも俺の手は腰

 

榛名は左手の振袖に右手を入れて臨戦態勢

 

「さっき飴ちゃんの包み紙見てたダズルな」

 

「一人虐待を受けてる子がいるらしい」

 

「それはいかんダズルな」

 

二人で話していると、ヤマシロがこちらに来た

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

「邪魔するダズル」

 

榛名が先に中に入り、少し遅れて中に入ると、ヤマシロが耳打ちして来た

 

「…頭にドーナツが付いてる子よ」

 

「…ドーナツ」

 

何気ない仕草のまま、ヤマシロはそのまま教壇に戻った

 

「さぎりさんはどうかしら?」

 

「私は一日一善です‼︎」

 

「んじゃあ私は一汁三菜だな」

 

あまぎりが冗談で答えた

 

「健康的な生活で案外オススメよ⁇」

 

「お…あ、あぁ…」

 

その答えにもヤマシロは怒らず返す

 

ホントに上手いんだな…

 

「さて…」

 

探すは頭にドーナツを付けた子

 

そんな特徴的な子、すぐに見つかった

 

「あの子か…」

 

クリーム色の髪の毛に、頭の両サイドにドーナツを付けた子がいた

 

問題は無さそうだが、ちゃんと確認しなければならない

 

子供達の勉強を確認するのと同時に、ドーナツちゃんにゆっくりと近付く

 

「何よ」

 

ドーナツちゃんと目が合った

 

「捗ってるか⁇」

 

「ふんっ‼︎」

 

ドーナツちゃんはそっぽ向いた

 

そして、そっぽ向いた瞬間に左の首元に傷が見えた

 

良い証拠だ

 

ドーナツちゃんにはそれ以上触れず、他のところにも回る

 

「ロクサーヌはどうだ⁇」

 

「ハイ‼︎」

 

ロ級のロクサーヌの座右の銘は”無知は恥ではない。新しい事を知れるチャンス”と書かれている

 

「素晴らしい考えだな」

 

「エヘエヘ…」

 

ロクサーヌを撫でた後、教室をグルッと一周して、元の教室の後ろに戻って来た

 

「榛名」

 

「何ダズル」

 

「保健室にいるから、ヤマシロに頼んであのドーナツを連れて来てくれ」

 

「オーケーダズル」

 

榛名を教室に残し、俺は保健室に向かった

 

 

 

 

「吹雪、あ〜んよ⁇」

 

横須賀は園児部で吹雪にゼリーを食べさせていた

 

横須賀からゼリーを食べさせて貰う吹雪は、前掛けも口元もドロドロに汚しながら、一生懸命口を開けてゼリーを食べる

 

「は〜い、上手よ〜‼︎い〜こい〜こ〜‼︎」

 

褒める横須賀を見つめながら、吹雪は口をモグモグ動かす

 

「お口フキフキするんだリュー」

 

リシュリューに口周りを拭いて貰い、前掛けを外す

 

「お姉さんに抱っこさせてね〜」

 

吹雪を抱っこした横須賀は、背中を軽く叩く

 

「けふ…」

 

「ちゃんとゲップ出来たわね〜」

 

「赤ちゃんの扱い上手いリュー‼︎」

 

「伊達に何人も育ててないわよ⁇」

 

そんな吹雪だが、普段からリシュリューを見ているのか、横須賀に抱っこされていてもリシュリューの顔を見ている

 

「ほ〜ら吹雪‼︎リシュリューだリューって‼︎」

 

吹雪はその丸い顔でリシュリューをジーッと見つめる

 

「リシュリューだリュー‼︎よいしょ…」

 

リシュリューに吹雪を渡し、横須賀はまつわとジャーヴィスの所に来た


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