艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

663 / 1086
さて、201話が終わりました

今回のお話は、会ってはならない二人が会ってしまいます

それを止めようと周りは奮闘しますが…


202話 死の邂逅(1)

「では、行って参ります」

 

「気を付けてね。あそこの部隊は強力な航空隊が揃ってるわ」

 

サンダース隊の子達が演習の為に飛び立った

 

今日はレイが居ない

 

居ないと言うか、向こうから申し込んで来たので、私が勝手に受けた

 

2回目の彼等だけの演習だ

 

強力な航空隊とはいえ、彼等なら大丈夫そうだ…

 

「同志ジェミニ」

 

「あら。タシュケント」

 

タシュケントが来た

 

「これ、昨日の彼等の飛行記録。後、今日の敵部隊の記録だよ」

 

タシュケントから彼等の飛行記録を貰い、それをパラパラと捲りながら話を続ける

 

「ありがと。涼平とはどう⁇」

 

「今から水上機で見に行くんだ‼︎だいじょっぶ‼︎水上機の操縦は慣れてるんだ‼︎」

 

「そっ⁇なら良いわ⁇貴女も気を付けてね⁇」

 

「では、行って参ります」

 

タシュケントも執務室から出る

 

「なぁ、母さん」

 

「なぁに、朝霜」

 

「引き揚げさせた方が良いんじゃ無いか⁇」

 

急に朝霜がサンダース隊を引き揚げさせろと言い出した

 

「大丈夫よ‼︎サンダース隊なら負けはしないわ‼︎」

 

「違うんだ…何と無く嫌な予感がするんだ…」

 

「あら。珍しいわね、あんたがそんな事言うって」

 

珍しく朝霜が私に楯突いて来た

 

「父さんには言ったのか⁇」

 

「言って無いけど…」

 

「アタイ、ちょっと出掛けて来るわ」

 

「夕ご飯までには帰るのよ」

 

「あぁ」

 

朝霜まで出掛けて行く…

 

心配しなくても大丈夫なのに…

 

たかだか一演習よ⁇

 

 

 

 

「エンジン良し…ロケランも、良いな‼︎おっしゃ出んぜ‼︎」

 

朝霜の乗るブリストルが横須賀から飛び立つ

 

目指すはレイのいるスカイラグーン

 

レイは今日、スカイラグーンで機材のメンテナンスをしているハズ

 

朝霜はその手伝いに向かうのと、サンダース隊が演習に向かった事を報告しに向かう

 

「な〜んか、嫌な予感すんだよなぁ…」

 

 

 

 

「レンチくれるか⁇」

 

「ぷと」

 

「トンカチちょーだい‼︎」

 

「ぷと」

 

俺ときそはPT達と共に、スカイラグーンの機材のメンテナンスをしていた

 

「よ〜し、ここはこんなモンだな‼︎」

 

「ぷとぷと‼︎」

 

「何だ⁇お前もコレしたいのか⁇」

 

「ぷー‼︎」

 

PT達は、俺が頭に巻いているタオルを真似したい様で、手を伸ばしている

 

「ったく…仕方ねぇ奴だな‼︎ほらっ‼︎」

 

「ぷぴー‼︎」

 

PTの頭にタオルを巻いていると、窓の向こうでレシプロ機のエンジン音が聞こえた

 

「朝霜ちゃんだ‼︎」

 

「手伝いに来てくれたんだろ⁇」

 

休憩がてら用意されたコーヒーを飲みながら朝霜を待つ

 

「ぷひゃ‼︎」

 

「冷まして飲めよ⁇」

 

PTの一人がココアで舌を火傷する

 

「父さん‼︎」

 

「手伝いに来てくれたのか⁇」

 

息を切らした朝霜が来た

 

…様子がおかしい

 

「どうしたんだ⁇横須賀でなんかあったか⁇」

 

「父さん。アタイ、嫌な予感がするんだ」

 

「聞いてやろう」

 

「サンダース隊の人達が演習に行ったんだ」

 

「横須賀には言ってあるぞ。あの子達だけの演習も必要だってな。演習先は何処だ⁇」

 

朝霜の話を聞きながら、コーヒーを飲む

 

「呉だ」

 

「…何だって⁇」

 

朝霜から行き先を聞いて、コーヒーを飲む手が止まる

 

「呉だ。ほら、清政さんのトコの」

 

「きそ、出るぞ‼︎呉に向かう‼︎」

 

「え⁉︎あ、うんっ‼︎」

 

「それやる。フ〜フ〜して飲めよ⁇」

 

「ぴっ‼︎」

 

PT達にコーヒーを渡し、革ジャンを羽織る

 

「出撃ですか⁇」

 

「緊急だ。悪い、メンテナンスはまたする」

 

「えぇ。お気を付けて‼︎」

 

「また来イよ‼︎」

 

扶桑さんと潮に見送られ、グリフォンに飛び乗る

 

「お、おい父さん‼︎アタイはどうすりゃいい‼︎」

 

「死にたくなけりゃ戻ってろ‼︎ありがとうな‼︎」

 

「あぁ‼︎」

 

朝霜に見送られ、スカイラグーンから飛び立つ

 

 

 

《どうしたのさ‼︎》

 

怒ってはいないが、チョイ半ギレのグリフォンが話して来た

 

「サンダースの連中に呉はヤバいんだ‼︎」

 

《まだ戦うのは早い⁇》

 

「違う‼︎サンダースの中に呉の連中を恨んでる奴がいるんだ‼︎詳しい話は後だ‼︎とにかく演習を中止させる‼︎」

 

《わ、分かった‼︎》

 

全速力で呉を目指す

 

間に合えば良いが…

 

 

 

「こちらファイヤフライ。全機、報告を」

 

《ファイヤクラッカーだ‼︎火の粉は振り払った‼︎》

 

《ファイヤフォックス。全機撃墜完了》

 

《ファイヤナイト‼︎こっちもOKだ‼︎》

 

《ファイヤボール。該当空域に敵影無し》

 

数機に数発のかすり傷を負わされたものの、サンダース隊はしっかりと勝利を収めていた

 

《演習終了。サンダース隊各機は基地に降りて補給。隼鷹隊は母艦に戻り、帰投せよ。全機、御苦労だった》

 

呉さんの一言で演習が終わる

 

「サンダース隊、着陸します」

 

《こちらワイバーン。聞こえるか、ファイヤフライ》

 

大尉からの連絡が入った

 

「ファイヤフライ。聞こえます」

 

《AI無しの俺と戦いたいらしいな》

 

「えぇ。貴方自身の本気を、一度で良いから見ていたいんです」

 

《来い。今の俺はAI無しだ。俺対お前の真剣勝負だ》

 

「畏まりました。此方こそ、よろしくお願いします‼︎」

 

グリフォンが猛スピードでファイヤフライの乗る震電の横を抜けて行く

 

呉の上空で、二機が交戦状態に入る…


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。