艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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199話 クソガキ先生(6)

震電が五機、全機ピンク色に染まって帰って来た

 

「いやぁ〜強かった強かった‼︎」

 

「演習とは言え、レシプロであれだけジェットに楯突くなら心配は無いな」

 

「面目無い…貴方達の手を借りなければ勝てなかったかも知れません…」

 

シャングリラの中でSS隊の三人、隊長、北上、そしてサンダース隊がいた

 

ラバウルさんと交戦状態になったサンダース隊は、予期せぬ事態に見舞われた

 

哨戒任務を終えた隊長と北上がスカイラグーンで合流し、サンダース隊がシャングリラ上空で空中戦を繰り広げていると聞き、装備を変えて乱入して来たのだ

 

サンダース隊は親鳥三羽にみるみる内に叩き落とされた

 

そりゃあ太刀打ち出来ない

 

結果、三人は一つの被弾もせず、シャングリラに降りて来た

 

激戦を終えた震電は機体を綺麗に洗い流され、数日間メンテナンスに入る

 

なので帰りは震電では無く、明日来る秋津洲タクシーでサンダース隊は帰る

 

メンテナンスが終われば、震電はガンビアで輸送され、横須賀に戻って来る

 

それまでサンダース隊は休暇に入る

 

「エース五機相手はやり過ぎだ…特に隊長と北上‼︎」

 

「いやぁ、すまんすまん‼︎」

 

「しっかし健吾とアレンを落とすかぁ〜。やるねぇあの子達‼︎」

 

「あんなに仲良くなって…」

 

アレンと健吾はサンダース隊の輪に入り、中々楽しそうに話している

 

互いに普段あまり関わる機会が無く、ようやく関われた…ってのが本音だろう

 

「しかしあのファイヤフライというパイロット…あの子は強かった」

 

「アイツはサンダース隊の副リーダーなんだ。皆を纏めるだけの実力はもってる」

 

涼平の強さは親鳥達にも伝わっていた

 

彼は強い

 

そして、他人を動かせる素質を持ってる

 

ただ、何を護るべきか…という認識が若干薄い気がする

 

「そう言えばその本人が見当たりませんね⁇」

 

「タシュケントもいないな」

 

「あたしも授業受けたかったなぁ〜」

 

北上がブスくれる中、タシュケント先生が廊下を歩いて来た

 

「タシュケント‼︎」

 

「ど、同志マーカス…そ、その…」

 

申し訳なさそうに俺を見た後、その場から離れようとした

 

「涼平にお礼言っとけよ⁇」

 

涼平と言うと、タシュケントは足を止めた

 

「今から行くんだ。ちゃんと、ありがっとって言わなきゃ」

 

「そか。あぁ、涼平に会ったら”火事起こすなよ‼︎”って言っといてくれ‼︎」

 

「⁇…分かった」

 

不思議に思いながらも、タシュケントは涼平の所に向かった

 

 

 

「…」

 

涼平は海岸の端っこで流木に座り、焚き火をしていた

 

涼平はいつも何故か演習や出撃が終わると海の近くで焚き火をし、火や海をボーッと見つめている

 

「みんなの所には行かないんだね⁇」

 

「タシュケント先生」

 

涼平の横に腰掛け、タシュケントも焚き火を見る


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