艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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199話 クソガキ先生(5)

《”ファイヤフライ”そっちはどうだ⁇》

 

「大丈夫だ。そろそろ来てもおかしくないな…」

 

《あと数分もすりゃ、シャングリラが見えてくる》

 

「了解。前方警戒を頼む」

 

《任せな‼︎》

 

先頭の機体との無線が切れ、涼平はタシュケント先生の方を見た

 

…一点見つめをしている

 

戦闘機乗りで一点見つめは危ない

 

「タシュケント先生」

 

《…》

 

「タシュケント先生‼︎」

 

《うぁ‼︎はいはい‼︎》

 

半分気絶していた様だ

 

「シャングリラが見えて来ました」

 

前方に目的地であるシャングリラが見えて来た

 

「先に先生を送ります」

 

《ありがっと…えと、ファイヤフライ‼︎》

 

《来たぞ‼︎》

 

凶鳥三羽が前方に見えた

 

「タシュケント先生を送ったらすぐに援護する‼︎それまで三機の内二機を追い詰めろ‼︎」

 

《了解した‼︎交戦開始‼︎》

 

「タシュケント先生、行きましょう‼︎」

 

《ホントに撃ってるよ⁉︎》

 

「本気で殺しに掛かって来てる証拠です。さぁ‼︎」

 

タシュケント先生の機体横にピッタリと着き、滑走路に近付く

 

「着陸脚を出して下さい」

 

《えと…これかな⁉︎》

 

「管制塔。一機着陸態勢に入る。誘導を頼みます」

 

《了解》

 

「タシュケント先生、お気を付けて」

 

《ファイヤフライ》

 

「はい」

 

《ありがっと‼︎頑張ってね‼︎》

 

「了解です」

 

タシュケント先生の機体から、涼平の乗る震電が離れて行く

 

猛スピードで急上昇をした後、涼平はすぐに交戦状態に入った

 

 

 

 

「うへぇ…」

 

グデングデンになりながら、タシュケント先生は震電から降りた

 

「うわ…うわうわうわ‼︎」

 

上空では三羽の凶鳥、そして五羽の雷鳥の雛が踊っている

 

何度も曳光弾が見える度、タシュケント先生は彼の無事を祈る…

 

 

 

「…」

 

管制塔から彼等の様子を眺め、モニターには八機の被弾状況が表示されている

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

職員にコーヒーを淹れて貰い、それを飲みながら上空とモニターを交互に見る

 

「お…」

 

健吾に被弾判定が出る

 

「お…え…ちょ…」

 

今度はアレンに被弾判定

 

「無線をくれ‼︎」

 

職員から無線を貰い、サンダース隊の無線を聞く…

 

《ば…バッカス機を被弾させた‼︎》

 

《やった‼︎オルトロス機に命中‼︎》

 

「嘘だろ…」

 

SS隊に無線を繋ぎ、二人の様子を聞く

 

「被弾判定が出てるぞ⁉︎」

 

《ちょっと忙しい‼︎》

 

《どうやったらこんな飛び方‼︎うぁっ‼︎》

 

会話の最中に健吾に撃墜判定が降りた

 

《へへ…ミスった…楽しかったよ‼︎》

 

《おいオルトロス‼︎バッカ‼︎》

 

残りはアレン、そしてラバウルさんだけ…

 

《ファウッ‼︎》

 

アレンにまで撃墜判定が降りた

 

しかもサンダース隊は全機生き残っている

 

「マジか…」

 

《お前どんな教え方したんだ⁉︎》

 

「どんなって…攻めるより生き残る飛び方さ…」

 

《生き残るって…お前五機一気に攻められるとは考えてねぇぞ‼︎》

 

サンダース隊の連中は、二機で一機を仕留めるどころか、全員で一人を叩き落すと言う奇抜な攻め方をし、背後に着かれれば離脱を繰り返し、また誰かに着く…と言う、相手に回すとメチャクチャ厄介な攻め方をしていた

 

火力を集中したら、確かに落とせるだろう…

 

そうこうしている内に、ピンク色に染まったT-50が二機降りて来た…

 

残るはラバウルさん…どうでるか…

 

 

 

《さぁ、来なさい。戦闘機乗りの腕次第でこう言った飛び方が出来ると言う事を教えてあげましょう》

 

T-50が五機と交差する…

 

《へぇ〜…面白くなって来たね〜》

 

《私達の出番か…》


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