艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、196話が終わりました

今回のお話は1話しかありませんが、もう少しだけジャーヴィスのお話です

テレビを見ながらガラガラを振るジャーヴィス

果たして初めて話す言葉とは⁉︎


197話 おしゃべりジャーヴィスちゃん

アークが大量の洗濯物を干している間、ジャーヴィスはソファーに座って紅茶を飲みながら日報を読んでいる母さんの足元にいる

 

大人連中は昼食後のコーヒーやら紅茶タイム

 

少し離れた位置では、きそとたいほうは紙粘土で遊んでいる

 

実に平和だ

 

そんな中、急にジャーヴィスが目を閉じてプルプルし始めた

 

何事かと思い、俺は飲んでいたコーヒーを

 

きそとたいほうは紙粘土で遊ぶ手を一瞬止める

 

そしてジャーヴィスは…

 

ブシィッ‼︎

 

と、クシャミをした

 

母さんがビクッ‼︎となる足元で、ジャーヴィスは自分のクシャミに驚いて喜んでいるのか、体を縦に揺らしてガラガラを振っている

 

「何かパンダみたいだね」

 

「ぱんだ⁇」

 

「赤ちゃんのパンダがクシャミして、お母さんパンダがビクーッてなるの」

 

「たいほうもパパのところでくしゃみしたら、びく〜ってなるかな⁇」

 

「ふふ…どうだろ⁇隊長、結構ビックリ系に強いからね⁇」

 

きそもたいほうもニコニコしながら話している

 

「洗濯物終わり‼︎」

 

「おしぇんたくおわい‼︎」

 

「いるかしゃんもおしぇんたくちた‼︎」

 

アークと共に洗濯の手伝いをしていたひとみといよも戻って来た

 

「ひとみちゃん、いよちゃん‼︎ジュース飲む⁇」

 

「のむ‼︎」

 

「よ〜ぐうとのじゅ〜しゅ‼︎」

 

「さっ、アークも座って‼︎お洗濯ありがとうね⁇」

 

アーク達は子供達の座るテレビの前の席に座り、貴子さんにジュースと紅茶を貰う

 

「おいち〜‼︎」

 

「よ〜ぐうとしゅき‼︎」

 

「ふふっ…」

 

すっかり二人の扱いに慣れたアークは、左手でカップを持ち、紅茶を飲む

 

《GO☆GO☆橘花マーン‼︎GOGO橘花マーン‼︎》

 

「お〜お〜きっかめ〜ん‼︎」

 

「ご〜ご〜きっかめ〜ん‼︎」

 

子供達の好きな特撮番組が始まる

 

「お⁇」

 

ハイハイしながらアークとひとみの間に座り、ジーッとテレビを見始めたジャーヴィスに、大人達がホッとする

 

ジャーヴィスは最近メッキリアークを叩かなくなったどころか、かなりアークに懐いている

 

《オイゲーヌ‼︎パンツァーシュレックでタイガーを始末してくれ‼︎》

 

《川の向こうにスナイパー》

 

《敵が近付いて来たら火炎瓶を投げるんだ‼︎》

 

テレビの向こうで、ど〜見てもプリンツ、れーべ、まっくすがいる

 

れーべとまっくすは少し前から双子のロリゲルマン役で出ていたが、今回はプリンツまでいる

 

どうも三人は味方になったらしいが…

 

子供向けの特撮番組なのに、何故こうも現実味を帯びてて泥臭いのか…

 

ぱ、パンツァーシュレックに火炎瓶だと⁉︎

 

《ありがとう‼︎ゲルマンちゃん達‼︎ここからは私が相手だ‼︎来い‼︎メッサーシュミッター‼︎》

 

しかし敵は中々カッコイイ

 

「けんごしゃんがんばえ〜‼︎」

 

「かっこい〜お〜‼︎」

 

ひとみといよは橘花マンを健吾と言っている

 

当たってるだけに何も言えない

 

メッサーシュミッターと橘花マンが交戦状態に入った瞬間、一旦CMになった

 

ジャーヴィスはCMでさえ真新しい物に見えており、ジーッと見ている

 

《All right‼︎美味しい紅茶、ミルク味とレモン味が発売ネー‼︎》

 

久し振りに見た金剛はCM女優になっていた

 

「おらーい」

 

その声の主に、大人連中が一斉に目を向ける

 

アークは一瞬で声の主に反応し

 

隊長は新聞を降ろし

 

俺はコーヒーを吹き

 

ローマは眼鏡がズレ

 

母さんはビクッと肩を上げ

 

貴子さんは冷蔵庫を弄っていた手を止め

 

グラーフは口を開けたまま止まり

 

ひとみといよでさえビックリして、全員が同じ言葉を放った

 

「「「喋ったぁぁぁあ‼︎」」」

 

声の主は、今もテレビを見ているジャーヴィス

 

ジャーヴィスがCMの真似をして初めて喋ったのだ

 

「ジャーヴィス‼︎もう一回言ってくれ‼︎」

 

アークがジャーヴィスの前に行き、もう一度喋る様に言うが、ジャーヴィスはアークの顔を見てガラガラを振るだけ

 

「もう一回喋るかも知れんな⁇」

 

「もうちょっと見せてみましょう⁇」

 

「わ、分かりました‼︎」

 

隊長と母さんに言われ、アークは元の位置に戻る

 

CMが終わり、再び橘花マンが始まる

 

《メッサーシュミッター…貴様とは戦いたく無い‼︎》

 

《俺には戦う事しか残ってない…もう何も無いんだ‼︎》

 

結構良い内容が流れているはずなのに、大人は全員そっちのけでジャーヴィスを見つめる

 

《もうやめよう、メッサーシュミッター…》

 

《橘花マン…》

 

《ダーリン…もういいの…戦わなくて…》

 

ど〜見てもアイちゃんがメッサーシュミッターの恋人らしい

 

「だーりん」

 

再び大人達が反応する

 

「良い子だジャーヴィス‼︎」

 

アークに頭を撫でられながら、ギュッと抱き締められるジャーヴィス

 

喜びを露わにするアークに対して、ジャーヴィスはテレビをジーッと見ている

 

橘花マンが終わり、ジャーヴィスはハイハイで動き始めた

 

母さんの足を齧っていたのかと思えば、ひとみといよの所でイルカのぬいぐるみをピープー鳴らしたり、ふと目を離せば隊長の執務室に行っていたりと、ジャーヴィスはチョロチョロ動き回っていた

 

俺は自室に戻り、艤装の資料をまとめていた

 

ガラガラガラ

 

「ん⁇あ⁉︎何でいるんだ⁉︎」

 

いつの間にかジャーヴィスが足元にいた

 

「アークはどうしたんだ⁇」

 

「お兄ちゃんは働き者だな⁇」

 

ベッドの脇に腰掛け、両手で頬杖をついているアークがいた

 

「ジャーヴィスは何が好きだ⁇よいしょ…」

 

ジャーヴィスを膝の上に乗せ、資料を見せる

 

「マーカス様の造った物だぞ〜」

 

ジャーヴィスは両手に資料を持ち、多分意味が分かっていないままそれを見ている

 

写真や絵が好きなのか、戦闘機の設計図や艤装の写真をずっと見ている

 

「これは飛行機だ」

 

「マーカス様が乗ってるんだぞ〜」

 

「ひこき」

 

またジャーヴィスが喋る

 

「そうだぞジャーヴィス‼︎」

 

「偉い偉い‼︎」

 

しばらく資料を見た後、ジャーヴィスは飽きたのかアークの所に行きたがり始めた

 

「ジャーヴィス。この人はアークだ。アーク。言ってご覧⁇」

 

アークに抱かれたジャーヴィスは、俺とアークを交互に見ている

 

「あく」

 

「そうだ‼︎偉いぞジャーヴィス‼︎」

 

「じゃびす」

 

「ジャーヴィスは君の名前だ。俺はマーカス。マーカスだ」

 

「ま…」

 

アークはあく、俺の事は、ま、と覚えてくれた

 

「そうだっ…」

 

「あく、ま」

 

「ふふふっ‼︎」

 

「その内お兄ちゃんって言ってくれるかな…」

 

「ま、のままかも知れませんね…」

 

「ふふ…今日は一緒にお風呂入ろうな⁇」

 

ジャーヴィスの頭を撫でた後、二人は部屋から出た

 

「さてっ‼︎」

 

二人が部屋から出た後、一つの資料に目が行った…




橘花マンのワンシーンは何かのゲームがモデルです

何か分かるかな⁇

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