艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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196話 アークの子育て奮闘記(3)

「今日は偵察任務がある。昼には帰って来るからな⁇」

 

「気を付けてな、ビビリ、ウィリアム殿」

 

偵察任務がある二人を見送り、ジャーヴィスの所に戻って来た

 

「ジャーヴィス。今日は何して…あだっ‼︎」

 

ガラガラバシッ‼︎

 

幸せも束の間

 

ジャーヴィスにガラガラで叩かれる

 

「な…何故だ…」

 

「じゃ〜ゔぃすだめだよ。あーくさんたたいたら」

 

たいほうが叱ってくれて、ジャーヴィスは普通にガラガラを振り始めた

 

「ジャーヴィス‼︎いい加減になさいっ‼︎」

 

姫に怒られ、ジャーヴィスはビクッと肩を上げた

 

そして、スンスン鼻をすすり、ピーピー泣き始めてしまった

 

「大丈夫ですよ姫‼︎アークはちっとも…」

 

「ダメですアーク。悪い事は叱らないと」

 

「ジャーヴィス…」

 

流石に泣かれては胸に来る

 

「よしよし…良い子だからな〜…」

 

怒られた事が分かったのか、私に抱き上げられてもガラガラで叩かなくなった

 

「ジャーヴィス⁇アークは貴方の事が大好きなのよ⁇叩いたらダメよ⁇」

 

叱られて姫が怖くなったのか、ジャーヴィスは姫を見ようともせず、私の胸に顔を埋めている

 

「はは…」

 

「もぅ…お転婆なんだから…」

 

かと思えば、もう寝息を立てている

 

「アーク、ホントにごめんなさいね…」

 

「いえ。お気になさらず」

 

ジャーヴィスを姫に返し、食堂で紅茶を飲みながらビビリの帰りを待つ…

 

 

 

「ただいま〜っと‼︎」

 

「今日も平和な空だった‼︎」

 

ビビリとウィリアム殿が帰って来た

 

ビビリの声に気付いたのか、ジャーヴィスが目を覚ました

 

「マーカス。ジャーヴィスが抱っこしてって‼︎」

 

「おっ‼︎ジャーヴィス、たっだいまぁ〜‼︎」

 

ジャーヴィスはビビリに高い高いされ、嬉しそうにガラガラを振っている

 

「アークっ…」

 

「ん⁇」

 

ビビリに呼ばれ、二人に歩み寄る

 

「今なら大丈夫だ」

 

「うん…」

 

ビビリに抱っこされたジャーヴィスの頬を、人差し指で撫でてみる

 

「あは…」

 

長めの瞬きをしながら、ジャーヴィスは指を受け入れてくれている

 

「ジャーヴィス‼︎」

 

大人しいジャーヴィスを見る度ホッとする…

 

「まるで夫婦だなっ⁇」

 

「アークも案外お似合いだったのよっ」

 

ウィリアム殿と貴子さんには、私達がジャーヴィスを可愛がる姿が夫婦に見えていた…

 

 

 

 

それから数日間、私はジャーヴィスの面倒を見続けた

 

だが、相変わらずジャーヴィスは私をガラガラで叩く

 

流石の私もそろそろ疲弊し始めた

 

「ふぅ…」

 

ジャーヴィスを姫の所に寝かし、食堂に来た

 

「アーク、ちょっと無理し過ぎじゃない⁇」

 

「いや…大丈夫だ…私が姫に頼んだんだ…」

 

「ちょっと怪我してるじゃない‼︎お薬塗ってあげるから、ソファーに座って⁇」

 

ソファーに座り、貴子さんに薬を塗って貰う

 

「アークは頑張り屋さんね…」

 

「私は…過去にマーカス様を見捨ててしまった…今、それが返って来ているんだ…」

 

「そんな事ないわ⁇アークはホントに頑張ってる」

 

貴子さんにそう言われ、涙が出そうになった

 

ジャーヴィスは他の人にはよく懐き、大人しい

 

だが、私への態度は時間や日によって違う

 

何がダメなんだろう…

 

「アーク」

 

「ビビリ…」

 

「明日、休みを取ろう」

 

「ダメだ。私にはジャーヴィスが…」

 

「ジャーヴィスは母さんや貴子さんが見てくれる」

 

「そうよアーク。明日はお休みしなさい⁇」

 

「そうか…なら、そうさせて貰う、かな⁇」

 

「アークの好きな物食べに行こう‼︎なっ⁉︎」

 

「本当か⁉︎よし、なら明日はお休みだ‼︎」

 

「ならもう寝ろ。ありがとうな⁇」

 

「気にするな‼︎それより、明日は頼むぞ‼︎」

 

ビビリにそう言われ、私は明日、休む事になった

 

 

 

 

「「ふぅ〜…」」

 

食堂では、ビビリと貴子さんがため息を吐いていた

 

「良かったわ…素直に聞いてくれて」

 

「ありがとう、貴子さん」

 

少し前、ビビリは姫に呼ばれ、明日アークをジャーヴィスから離すように言った

 

アークはここ数日で大分ストレスが溜まっていた

 

だから、明日アークを連れて、1日好きな事をさせてやって欲しい

 

姫がそう言ってくれたのだ

 

 

 

明日はビビリとデートだ

 

とても…とても楽しみだ‼︎


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