艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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話数と題名が変わりますが、前回の続きです

目線がアークに変わります

果たしてアークはジャーヴィスに好かれる事が出来るのか⁉︎


196話 アークの子育て奮闘記(1)

ガラガラバシ‼︎

 

「いでっ‼︎」

 

私をガラガラで一発叩いた後、哺乳瓶を手に取った

 

だが、おしゃぶりをしている為、ミルクを飲めないでいる

 

「ほらっ、おしゃぶりを取ろうな⁇」

 

ジャーヴィスのおしゃぶりを取った後、ようやくガラガラを手放し、私に抱っこされた後、哺乳瓶を両手で持った

 

「ははっ‼︎ジャーヴィス…」

 

ようやく赤ちゃんらしいジャーヴィスを見た私はホッとした

 

「くっこおおあよ‼︎」

 

「じゃ〜ゔぃしゅもおあよ‼︎」

 

貴子さんより一足早く、ヒトミとイヨが起きて来た

 

よほどお腹が空いていたのか、ジャーヴィスは哺乳瓶の中身のミルクに夢中になっている

 

「よしよし…いっぱい飲んで、いっぱい大きくなるんだぞ…」

 

「くっこおじょ〜じゅ‼︎」

 

「ちぅちぅ〜ってのんれう‼︎」

 

「ふふっ…」

 

ヒトミとイヨに応援された私は少し自信を取り戻した

 

「よしっ、沢山飲んだな〜」

 

哺乳瓶が空になり、私はジャーヴィスの背中をポンポンと叩く

 

「ひとみもたかこしゃんにぽんぽ〜んってちてもあった‼︎」

 

「なんれすうの⁇」

 

「これはゲップを出す為にしてるんだ。赤ちゃんは自力でゲップを出せないんだ…」

 

そう言っている内に、ジャーヴィスはゲップをした

 

「よしよし‼︎良い子だ‼︎」

 

「い〜こい〜こ〜‼︎」

 

「じゃ〜ゔぃしゅい〜こ〜‼︎」

 

ヒトミとイヨに撫でられ、ジャーヴィスは二人を見る

 

「くっこおけがちてう」

 

昨日と先程を含め、私はちょっとした擦り傷の様な怪我を負っていた

 

「おくすいぬいぬいすう‼︎」

 

ヒトミとイヨはいつもの引き出しから塗り薬を持って来て、私の傷に塗り始めた

 

「ひいひいすう⁇」

 

「大丈夫だ…」

 

「おくすいぬいぬい〜」

 

「ふふ…」

 

二人の小さな手が心地良く、私は自然と笑みが零れた

 

「はよよ〜なえお〜」

 

「おくすいぬいぬいおちまい‼︎」

 

「ありがとうな、ヒトミ、イヨ」

 

「またぬいぬいちたげう‼︎」

 

「ひとみたちは、いまかあたかこしゃんのおてつらいすうの‼︎」

 

「おはよ〜…あらっ‼︎早いわね⁉︎」

 

「たかこしゃんおあよ‼︎」

 

「あしゃおはんつくお‼︎」

 

ヒトミとイヨは貴子さんと共に台所に入って行った

 

「ビビリと違って気が回る子だ…いだっ‼︎」

 

私がそう呟いた時、ジャーヴィスが私の肩をちみった

 

「ジャーヴィス…痛いぞっ‼︎」

 

ジャーヴィスを引き剥がし、目の前で抱き上げると、ジャーヴィスは真顔で私を見つめ返した

 

「元気な子だな、ジャーヴィスは…」

 

 

 

 

皆が朝ご飯を食べ終えた後、ジャーヴィスはその辺をハイハイで動き回っていた

 

「よいしょ…」

 

ビビリに抱っこされたジャーヴィスはヒジョーに大人しい

 

ガラガラを振りはするも、ビビリを叩こうとしない

 

「アークお姉ちゃんが抱っこしたい〜って」

 

「おいでっ、ジャーヴィス‼︎」

 

私に呼ばれて反応はするものの、ジャーヴィスはすぐにビビリの顔を見る

 

「俺が良いのか⁇ははっ‼︎」

 

「あ…」

 

ジャーヴィスはビビリに抱かれながら窓際に連れて行って貰い、外を眺め始めた

 

「あれはなんだろうな⁇」

 

ジャーヴィスはガラガラを鳴らしながら、外にいるカモメに目を向けている

 

ビビリは本当に子供の扱いが上手いと思う

 

「お⁇出たな⁇」

 

しばらくすると、ジャーヴィスからブリブリと音が聞こえた

 

「ビビリ、アークが変えよう。ウンチッチだ」

 

「おっ。頼む…」

 

ジャーヴィスをビビリの手から預かる際、ビビリは毎回ガラガラを取ってくれる

 

それでもジャーヴィスはガラガラが欲しい様で、ビビリの手のガラガラに手を伸ばす

 

「ウンチッチキレイキレイにしてからな⁇」

 

そして、何も言わなくてもガラガラを鳴らしながら、オムツを替える為に私の部屋まで着いて来てくれる

 

「ウンチッチフキフキしような〜」

 

「ほ〜らジャーヴィス、ガラガラだぞ〜」

 

オムツを替えている最中もジャーヴィスの横に座り、ガラガラを鳴らして気を反らせてくれている

 

「すみません、マーカス様…」

 

「ビビリで良いぞ〜」

 

そう言うマーカス様の目は、ジャーヴィスの方を向いている

 

私はそれが何故か、とても悔しかった…

 


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