艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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このお話は、1を選んだ場合のお話です

基地に帰還したレイ

基地には単冠湾の二人が、チョコレートを作っていました

そんな中、レイは二人の女性からチョコレートを受け取ります


∟1.基地帰還ルート 二人の告白

「おっ⁇」

 

タブレットにメールが入る

 

 

 

たかこ> スゴイウマイチョコ

 

貴子さんの写真付きメールが来た

 

色んなチョコレートが机に並んでいる写真だ

 

だずるがーる> レイの分はねぇダズル‼︎

 

リシュルー> レイさんには”二人”が作ってくれたのがあリュー‼︎

 

 

 

これは一旦帰った方が良さそうだ

 

「一旦帰るよ。また夜に来る」

 

「そっ⁇な〜んか子供達がやりそうだから、なるべく来て頂戴ね⁇」

 

「分かった。きそに言っといてくれ。すぐ帰るって」

 

「分かったわ」

 

横須賀と別れ、一旦基地に戻る…

 

 

 

「ただいま〜」

 

「お邪魔してます」

 

「おっ⁉︎ワンコか珍しい‼︎」

 

二人を迎えに来たのか、ワンコが食堂に座っている

 

「案外チョコレートって量出来んダズル」

 

「でもでも‼︎産地直送だから美味しいハズだリュー‼︎」

 

「どれっ…」

 

「ダメダズル‼︎」

 

「アカンリュー‼︎」

 

「ダメよマーカス君‼︎」

 

並べられたチョコレートを取ろうとしたら、三人から散々に断られた

 

「オトンはこっち」

 

「要らないなら残していいから」

 

奥からグラーフとローマが出て来た

 

グラーフはチョコがけのポップコーン

 

ローマはチョコ味であろうチュロを持っている

 

「いただきます」

 

まずはグラーフのポップコーン

 

そして、ローマのチュロを齧る

 

「苦いな…」

 

「ビターだもん。苦いに決まってる」

 

「チュロはどうなのよ」

 

「美味いぞ⁇作れるならまた作ってくれよ」

 

「暇があればね」

 

ローマは淡々と答えを返した

 

「そういや戻ったんだな⁇」

 

「アンタの為に作ろうって思ったら戻ったわ」

 

「オトン。ちゃんとローマにお礼言うの」

 

グラーフに背中を押され、ローマの前に来る

 

「ありがとな⁇」

 

「えぇ」

 

「オトン。ローマはオトンのナデナデが欲しいらしい」

 

「ぐ、グラーフアンタ‼︎」

 

「ん…」

 

騒ぎそうになったローマの頭に手を置き、少し動かす

 

「ありがと…」

 

「ホワイトデーに期待する。いいかオトン。飛び切りの準備な⁇」

 

「分かったよ…」

 

「おい提督。ウメェダズルか⁇」

 

「うんっ‼︎ありがとう榛名、リシュリュー‼︎」

 

「お、おぅ…」

 

「取りに行った甲斐があったリュー‼︎」

 

口の周りにいっぱいチョコを付けて、満面の笑みでチョコケーキを食べるワンコを見て、榛名とリシュリューは顔を見合わせて微笑んだ

 

「そういやHAGYはどうした⁇」

 

こう言う事が得意そうなHAGYが見当たらない

 

「ハギィは今日はお休みダズル。榛名達からのプレゼントダズル」

 

「今日はこれから榛名さんとリシュリューでシチューを作るんだリュー‼︎」

 

「ハギィにもチョコレート作ったんダズル」

 

「色んなジャムが入ったチョコレートなんだリュー‼︎」

 

台所には、箱に詰められたそのチョコレートが置いてある

 

「貴子。助かったんダズル‼︎」

 

「またみんなでお料理したいリュー‼︎」

 

「こちらこそ‼︎今度はお料理でも作りましょう⁇」

 

「本当にありがとうございました‼︎」

 

単冠湾の連中が去り、貴子さんは子供達の為のチョコケーキを冷蔵庫に仕舞った

 

「ありがとう、貴子さん」

 

「ホントに楽しかったわ⁇お片付けも速いし、普通に楽しかったわ⁇」

 

「あれだけハンマー振り回してんのに、案外大人しいのね、二人共」

 

「意外に可愛かった。榛名結構乙女」

 

「見たかったな…」

 

あの榛名が乙女か…

 

「あ、そうそう。はっちゃんとゴーヤちゃんが、ひとみちゃんといよちゃんと一緒にお買い物に行ったわ⁇」

 

「珍しいな。買い物なんて」

 

「マーカス君にお菓子買ってるのよっ‼︎」

 

「ちょっと見て来るよ」

 

「晩御飯、冷蔵庫に入れとくからチンして食べてね⁇」

 

「分かった」

 

グラーフとローマからチョコを貰い、横須賀に戻る為にグリフォンに乗り込もうとした

 

「ちょっと」

 

タラップを上ろうとした時、ローマに引き止められた

 

「食べてくれてありがと…」

 

「お菓子作り好きなのな⁇」

 

「えぇ…多少なら作れるわ⁇」

 

次の瞬間、俺は口を滑らせた

 

「たまにでいいから、俺の為に作ってくれよ」

 

言った後に”しまった”と気付くが、既に遅し

 

「ありがと。そう言ってくれるの、マーカスだけよ…気を付けてね⁇」

 

「あぁ」

 

タービンを回し、滑走路に向かう最中、ローマはずっと手元で手を振っていた

 

横須賀と同じ振り方だ

 

どこか悲しげに振るその手は、見ていて無性に愛おしくなる

 

あぁ、本当に好いてくれているんだな…

 

隊長、すまねぇ…

 

やっぱ、無碍にする事なんて、俺には出来ない…

 

ローマに見送られ、俺は横須賀へと引き返した…


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