艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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192話 あの子は恋する女学生(2)

基地に帰り、一服終えた所で早速薬を試したい所だが、誰に試そうか…

 

「マーカス」

 

タイミング良く母さんが来た

 

「お夕飯だから、れべとまくすを呼んで来てくれる⁇」

 

「分かった」

 

最初は母さんにしよう

 

今も若いが、もっと若い母さんも見て見たい

 

れーべとまっくすを呼んで来た後、夕飯になり、貴子さんから母さんが食べるサラダを受け取る

 

そしてその中に鹿島の薬を垂らして母さんの前に置いた

 

因みにカレーにも垂らしてある

 

今日はアークと母さんがひとみといよのお世話をし、俺はローマの横に座った

 

「頂きますっ」

 

夕飯を口にしながら、チラチラと母さんを見る

 

「ヒトミ、カムカムよ⁇」

 

「かむかむ」

 

「イヨもモグモグよ⁇」

 

「もぐもぐ」

 

「ふふっ」

 

ひとみといよを見て微笑みながら、母さんはサラダを口にする

 

「あら⁇」

 

母さんが異変に気付く

 

「何か若返った気がするわ‼︎」

 

だが、あまり変わっていない気もする

 

母さんは16位からあんま変わってないのか…

 

そして、カレーも口にする

 

「こ…これは⁉︎」

 

みるみる母さんが小さくなって行く

 

服はダボつき、来ている意味を成さず、カチューチャも床に落ちた

 

「すぱいとしゃんちっしゃ〜い‼︎」

 

「ひとみちゃんといよみたいになた‼︎」

 

「え…え⁇」

 

小さくなった母さんは何が起こったか分からずアタフタしている

 

「ま、ま〜かす〜‼︎」

 

「ホントに効くんだな…」

 

小さくなった母さんを抱き上げると、ダボダボになった服がずり落ちた

 

「や〜っ‼︎や〜っ‼︎」

 

抱き上げた母さんは勿論素っ裸

 

「い、いよ‼︎何か服持って来てくれ‼︎」

 

「あかった‼︎」

 

どうしていいか分からず、とりあえず母さんを降ろし、革ジャンを被せる

 

「どうして…」

 

「薬の所為だ…すまん…」

 

「ぐら〜ふのおふくもってきたお‼︎」

 

グラーフがたいほうに作ってくれていた服をいよから貰い、母さんに着せる

 

「どうしてこんなことに…」

 

「俺が母さんの飯に薬入れたからだ…すまん…」

 

「すてきだわ…」

 

「へ⁇」

 

「ふふっ‼︎」

 

母さんは急に俺に抱き着いて来た

 

「これでま〜かすにおもいっきりあまえられるっ‼︎」

 

「はは…」

 

「グラーフにも寄越せ」

 

「そうよ‼︎私だって若返りたいわ⁉︎」

 

勝手に大人組による薬争奪戦が始まる

 

「レイ。その薬を飲んだら私も若返るのか⁇」

 

「多分…鹿島に貰ったんだ。危険性は無い」

 

「そうか…なら奪い取るまで‼︎」

 

最近隊長もその場のノリに流されるから怖い

 

「分かった‼︎わ〜かった‼︎とりあえず今日は一人だけな⁉︎全員若返ったら基地が機能しなくなる‼︎」

 

「じゃあグラーフが先だな」

 

「私が先よ‼︎」

 

「効果が切れるまでレイに任せるから私が先だ‼︎」

 

一人に絞っても結果は同じ

 

ここで隊長の横から手が伸びる

 

「ウィリアム⁇」

 

貴子さんだ…

 

貴子さんは隊長の首を掴み、ジワリジワリと力を入れる

 

「あ、はい…わかりまひた…」

 

「オトン。グラーフだよな」

 

「私よ‼︎」

 

残ったのはグラーフとローマ

 

「グラーフは明日哨戒任務があるから、今日はローマだな」

 

「仕方ない」

 

「よしっ‼︎」

 

「16歳位になるか、8歳位になるか、どっちが良い⁇」

 

「16歳ね。早く入れて‼︎」

 

ワクワクしながらローマは薬をカレーに垂らされるのを待つ

 

内ポケットから瓶を取り出し、ローマのカレーに垂らした後、軽くかき混ぜる

 

「ほらよ」

 

「頂くわ」

 

瞬時にカレーを口に入れ、何度か咀嚼した後飲み込んだ

 

「凄いわ…」

 

みるみる内にローマが若返る

 

今と大して変わらない気もするが、若干肌にハリが戻った気もする

 

「と、まぁこんな感じだ」

 

「どうやったら元に戻るんだ。グラーフそれ知りたい」

 

「ドキドキさせればいい。そしたら効果が切れる」

 

「なるほどな」

 

「それと副作用があって、まぁ、対した事じゃ無いが…」

 

副作用の話をしようとした時、急にローマが口を開いた

 

「アンタ誰⁇」

 

「と、まぁ…一時的な記憶の喪失があ…る…マジか」

 

「兄さん。お客さんなの⁇」

 

「あ、あぁ…」

 

隊長はいつの間にか説明書を読んでいた

 

「ふ〜ん…ま、いいわ。私、お風呂入って来るわ。貴子、ご馳走様」

 

「え、えぇ…」

 

貴子さんも不思議そうな顔をしている

 

ローマが風呂に向かってすぐ、隊長が口を開いた

 

「ローマはレイが好きなのか…」

 

「そうみたいね…」

 

説明書を読んでいた隊長と貴子さんが放心状態になる

 

「めがね、えいしゃんしゅき‼︎」

 

「めがね、えいしゃんみうとろきろき〜ってなう‼︎」

 

「マジか」

 

「あじ」

 

「あい」

 

机に肘をつき、顔を抑える

 

好意を持ってくれている事は知っていた

 

だが、一番とは聞いていなかった

 

「ふふっ‼︎ま〜かすもてもてね‼︎」

 

母さんはいつの間にか俺の肩に乗っていた

 

体重もたいほうと同じ位か…

 

「どれ、アークも試してやろう‼︎」

 

「あっ‼︎」

 

ローマがチョビッと残したカレーを、アークが口にした

 

「おぉう…」

 

みるみる内にアークが小さくなって行く

 

「どうだぁ⁉︎アークも若返っただろう⁉︎」

 

「くっこおちっさ‼︎」

 

「ろ〜ら〜‼︎」

 

椅子の上に立ち、アークは胸を張っている

 

「姫も小さくなったんだ。アークもやりたい。それに貴様‼︎何故姫を肩に乗せている‼︎」

 

「アークもか…」

 

「あ〜くはしかたないわ⁇むかしからま〜かすがすきだったもの」

 

「おい貴様‼︎アークも抱っこしろ‼︎姫だけやるとかズルいぞ‼︎」

 

アークはアークで俺の鳩尾に抱き着く

 

「ふふん」

 

「おおおごごご…」

 

「えいしゃんみちみちになってう」

 

「ぱぱしゃんらっこ」

 

「おっ‼︎珍しいな⁇よいしょ…」

 

隊長に抱っこされるひとみといよは珍しい

 

時々一緒に遊んでいるのは見かけるが、抱っこするのは久々かもしれない

 

「ま〜かす、おふろいきましょ‼︎」

 

「貴様マーカスと言うのか」

 

「そうだ」

 

「マーカス、アークも風呂に連れてけ‼︎」

 

「分かった分かった…」

 

結局、二人ともくっ付けたまま風呂に向かった

 

 

 

「ま〜かす、だっこして⁇」

 

「アークも‼︎」

 

湯船に入っても二人はベッタリ

 

「マーカス、もう少し寄れ。アークが入れないだろう‼︎」

 

「ふふっ…えいっ‼︎」

 

ベッドに入っても二人はベッタリ

 

挙句、母さんに至っては腹の上にくっ付き始めた

 

「…」

 

「姫は眠ったか⁇」

 

「あぁ…アークは寝ないのか⁇」

 

「貴様ともう少しこうしていたい」

 

「分かった…」

 

横でガン見をして来るアーク

 

「おやすみのキス位したらどうだ」

 

「来いよ」

 

「ん…」

 

寄って来たアークの額に唇を置く

 

「まさか、ビビリにこうして貰う日が来るとはな…アークは嬉しいぞ…」

 

唇を離すと、いつものアークに戻っていた

 

「戻ったな⁇」

 

「アークはビビリが好きだ。分かっておいてくれ…」

 

そう言い、アークは恥ずかしさに勝てずそっぽ向いて寝てしまった

 

母さんは戻らんな…

 

人の服にヨダレ垂らして…


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