艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、186話が終わりました

今回のお話は、珍しく横須賀の目線になります

普段、横須賀はどんな目でレイ、そして娘達を見ているのかな⁇


187話 貴方と私の宝物(1)

「気を付けてね⁇」

 

「あぁ」

 

いつもの様に、グリフォンに乗り込んだレイにキスをする

 

お別れのキスでもあるし、必ずここに帰って来いのキスでもある

 

グリフォンが基地に飛び去ってしばらくした後、近くに居た清霜を連れて執務室に戻る

 

「お母様」

 

「なぁに⁇」

 

清霜はレイに買って貰った赤い車のオモチャを大事そうに脇に抱え、逆の手で私の手を握っている

 

「お母様はお父様と夜何してるの⁇」

 

「そうね〜…昔のお話とか、次のデートの約束ね」

 

「お母様はお父様嫌い⁇」

 

「あら。どうしてそんな事言うの⁇」

 

「だってお母様、お父様がここに来た夜、いつもベッドの上でお父様に馬乗りになってるもん」

 

「あ…」

 

大人の夜のお楽しみ…榛名で言うアバンチュールを覗かれていた

 

清霜から見れば、私がレイを虐めている様に見えたのだろうか

 

「そ、そうね‼︎レイはたま〜〜〜に要らない事するから、お母さんはお仕置きしてるのよ⁉︎」

 

「お母様楽しそうだったよ⁇コレが良いんでしょ‼︎とか、愛してるわ〜‼︎とか」

 

周りが異様にザワつく

 

夜のひと時をバラされた‼︎

 

「ききき清霜‼︎お姉ちゃんには内緒で間宮に行きましょうか‼︎」

 

清霜を抱え、その場から離れる

 

間宮に着き、清霜にパフェを食べさせ、その前で私は頭を抱える

 

「お母様はお父様を粛清してるの⁇」

 

「そ、そんな事してないわ⁉︎」

 

「お父様はお母様を好き‼︎って言ってた‼︎」

 

「そっ⁇ふふっ…」

 

旦那であれど、好きと言われるのは中々嬉しい

 

「清霜は車好き⁇」

 

清霜の横には、大きな車のオモチャが置いてある

 

「うんっ‼︎き〜ちゃん、車好きなの‼︎」

 

「そっか。レイと一緒ね⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

清霜はほっぺたにクリームを付け、本当に美味しそうにパフェを食べて行く…

 

 

 

 

執務室に戻って来ると、親潮とガングートが居た

 

ガングートはぬり絵、親潮は眼鏡を掛けて私の椅子に座り、執務用とは別のノートPCを真剣な目で見つめている

 

清霜がガングートとぬり絵を始めたのを見て、私は親潮の横に座る

 

「珍しいわね⁇」

 

「ジェミニ様⁉︎」

 

私に気付くと親潮はヘッドホンを外し、ノートPCを閉じてしまった

 

「き、きそ様に造って頂いて、それで…」

 

「別に怒らないわよ⁇きそにお礼は言った⁇」

 

「はいっ」

 

「なら良いわ。きそは物造りが好きだから、時々付き合ってあげて⁇それも執務の内よ⁇」

 

「畏まりました」

 

「でっ⁇何してたの⁇」

 

「…」

 

親潮はノートPCを開き、中を見せてくれた

 

”目の前に英雄が立ち塞がる”

 

”Oyashioの決意は固い”

 

”Oyashioはマーガリンナッツパイを食べた”

 

昔ながらの趣を強く残したゲームがモニターに表示されており、机の上に置いた親潮のヘッドホンから、頭に根強く残りそうなBGMが聞こえて来る

 

「どれどれ…」

 

ヘッドホンを付け、少しBGMを聴いてみる

 

「…」

 

懐かしい感じもするけど、何処か力強さを感じるBGMだ

 

ヘッドホンを外しても、やはり頭に残る

 

「結構良いBGMじゃない」

 

「エドガー様の作曲らしいです」

 

「そりゃ良いハズだわ」

 

それに、ストーリーも中々良さそう

 

誰が考えたんだろ…

 

「ちょっと飲み物取って来るからお願いするわ」

 

「畏まりました」

 

執務室を出て、キッチンにコーラでも取りに行こうと思った時だった

 

「あばっ‼︎」

 

急にモーレツな腹痛に襲われ、壁に手を付く

 

下したみたいだわ、こりゃ…

 

何かイケナイ物でも食べたかしら…

 

「いづづ…だ、誰か…」

 

「提督‼︎」

 

天井が外れ、初月が降りて来た

 

「どうした⁉︎腐った物でも食べたか⁉︎」

 

「えぇ…そうみたい。明石呼んで来てくれる⁇」

 

「分かった‼︎少しだけ待ってろ‼︎」

 

初月が去り、壁に背中を当てて腰を下ろす

 

こうする事で多少は楽になり、考える頭が出来た

 

腐った物なんて食べたかしら…

 

「提督‼︎大丈夫ですか⁉︎」

 

担架を持った衛生兵を数人連れた明石が来た

 

「悪いわね明石…」

 

「すぐ医務室に運びます‼︎」

 

担架に乗せられ、医務室へと運ばれる…


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