艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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トリガーハッピーまつわ


183話 ぷとぷと大行進(3)

榛名達がタナトスに気付く少し前…

 

《オラオラオラァ‼︎くたばっちまえ‼︎ははははは‼︎》

 

「うわぁ‼︎」

 

「危ない‼︎」

 

「う…上手いでち…」

 

潜水艦娘の三人とまつわが演習を行っている

 

今日は潜水艦の子達に回避運動、そしてまつわに対潜の仕方を教えている

 

まつわは元は対タナトス専用に造られたシステム

 

対潜のスペックは元からかなり高い

 

頭に帽子の様に乗っかっているボーちゃんの指示も相まって、まつわは潜水艦の子達を追い込んで行く

 

《ははっ‼︎見えてるぞ‼︎》

 

「イデッ‼︎」

 

ゴーヤに撃沈判定が出る

 

《そこっ‼︎》

 

「やだやだ〜っ‼︎」

 

しおいにも撃沈判定が出る

 

まつわの爆雷投射の方法はかなり上手い

 

第一段階で潜水艦の子に向けて四方に小型の爆雷をバラ撒き、逃げ道を無くす

 

第二段階で威力の高い爆雷を小型爆雷を投射した中心に投射し、大打撃を与えている

 

残っているのははっちゃんのみ

 

《くっ…ちょこまかと動きやがって…》

 

まつわは目をしかめ、歯を食い縛っている

 

普段基地では甘えん坊で大人しい子なのに、対潜活動となるとかなり活発になる様だ

 

「よーし、時間だ‼︎演習終了‼︎戻って来い‼︎」

 

バインダーを脇に挟み、帰投命令を出し、全員タナトスに戻らせる

 

タナトスに戻って来た潜水艦の子達は、帰って早々、ゴーヤとしおいはまつわを褒めた

 

「まつわは強いでちな‼︎」

 

「しおいがまさか一撃とは…」

 

《でも、はっちゃん倒せなかった…》

 

「はっちゃんは倒せないはずです。はっちゃんにはこれがありますからね」

 

はっちゃんは腰に着けた、いつかきそに造って貰ったプラズマ機関砲を見せた

 

はっちゃんはまつわの投射した爆雷をそれで全て破壊していた

 

「子供相手に汚いでち」

 

「爆雷破壊とかずるい〜」

 

「ほらほら、ケンカすんな。みんな良く頑張ったな‼︎」

 

今日はそれぞれに別々の艤装を載せていた

 

ゴーヤは強化型タービン

 

しおいはデコイ発生装置

 

はっちゃんはプラズマ機関砲

 

そしてまつわはきそが造ったソナーと、二種類の爆雷を載せていた

 

《あ‼︎け‼︎ろ‼︎》

 

《開けるニム‼︎》

 

聞き慣れた声が聞こえ、モニターを見ると、踏ん反り返って何かに座っている榛名とニムが見えた

 

「ちょっと待て‼︎ハンマーで叩くなよ⁉︎」

 

《早くするんダズル‼︎》

 

側面の防水扉を開けると、榛名とニムはタナトスに入って来た

 

「とっとと歩くんダズル‼︎」

 

「ぷとぉ‼︎」

 

「な、何だそいつらは‼︎」

 

榛名とニムは、周りに大量の子供の様な黒い物体を引き連れてタナトスに雪崩れ込んで来た

 

「榛名を襲って来たから叩いてお灸を据えたら懐いたダズル」

 

「ぷとぷとニムよ⁇」

 

「ぷとっ‼︎」

 

「よいしょ…どれっ…」

 

近くにいた一体を抱き上げる

 

「P…T…」

 

「ぷと」

 

ヘルメットの部分に小さく”PT”と書かれている

 

ぷとで間違ってはいないが…

 

「何ダズル。榛名は間違ってねぇダズル」

 

「ぷとはぷとニム」

 

「そ、そうだな…」

 

二人の視線が怖い…

 

こいつらの名前は”ぷと”に決まった

 

「スカイラグーンに行きてぇんダズル」

 

「いいニムか⁇」

 

「よ〜し、スカイラグーンで休憩してから帰るか‼︎」

 

「ジッとしてるでち…」

 

ゴーヤが口を閉ざし、目を閉じる

 

タナトスのタービンが回る音が聞こえた後、ゴーヤは口を開いた

 

「目的地をスカイラグーンに設定しました。目的地までおよそ25分」

 

「オーケーゴーヤありがとう。さてと…」

 

「言う事を聞くんダズル‼︎」

 

「大人しくするニム‼︎」

 

問題はこの大群のぷとぷと達

 

何故榛名達を襲ったのか分からない

 

「ぷとぷとぷと」

 

ぷとぷとの一体がまつわに近寄る

 

《ひっ…》

 

「テメー‼︎まつわを怖がらせるんじゃねぇダズル‼︎」

 

「ぷとっ‼︎」

 

「まつわ。ちょっとボーちゃん借りるな⁇」

 

まつわからボーちゃんを剥がし、台の上に置く

 

”∧( 'Θ' )∧”

 

ボーちゃんは台の上に置いた途端、台の上をモソモソ這いずり始めた

 

「ウロチョロしたら落ちるぞっ⁇」

 

”(._.)”

 

ボーちゃんは台の上からぷとぷとを見ている

 

「お前らのリーダーは誰だ⁇」

 

「ぷとっ‼︎」

 

「ふふ…榛名がリーダーダズル」

 

そこにいたぷとぷと全員が榛名を指差す

 

「ちげぇよ‼︎お前達の仲間内でのリーダーは誰だって聞いてるんだ‼︎」

 

「ぷとっ‼︎」

 

よく見ると黒いぷとぷとに混じって、一体だけ青いぷとぷとがいる

 

どうやらそいつがリーダーの様だ

 

そのリーダーの前で膝を曲げ、目線を合わせようとしたが、それ以上に小かった

 

「何で榛名達を襲ったんだ⁇」

 

「ぷ…ぷと…」

 

「ちゃんと言わねえと頭叩き割るダズル‼︎」

 

「ぷ‼︎ぷとぷと‼︎」

 

青いぷとぷとは身振り手振りで何かを伝えようとするが、ぷとぷと言うだけで分からない

 

「ボーちゃんに翻訳して貰おう」

 

青いぷとぷとを抱き上げ、ボーちゃんのいる台の上に置く

 

”(♯`∧´)”

 

「ぷとっ‼︎」

 

台の上で二人は睨み合っている

 

「ボーちゃん。ぷとぷとが榛名を襲った理由を解析してくれるか⁉︎」

 

”( ̄^ ̄)ゞ”

 

敬礼する顔文字を表示した後、ボーちゃんはぷとぷとに触手を伸ばした

 

”・_・)〜”

 

「ぷべぁ」

 

触手が絡み付き、ぷとぷとが変な声を出した後、ボーちゃんは翻訳を開始する

 

《あの人達味方かなぁ⁇》

 

《お友達になれるかなぁ⁇》

 

《そうだ‼︎まずは僕のお友達を紹介しよう‼︎》

 

「榛名」

 

「飛び掛かって来たから殴ったんダズル‼︎正当防衛ダズル‼︎」

 

ボーちゃんの翻訳には続きがあった

 

《ハンマー持ってる…敵だ‼︎》

 

《いた〜い‼︎》

 

《敵だ‼︎みんなかかれ‼︎》

 

「ぷとぷと」

 

「ぷべぇ…」

 

リーダーぷとぷとは首をうなだれている

 

一応反省している様子だ

 

「どっちもどっちだなっ。榛名はすぐに殴らない。ぷとぷとは勘違いされない様に自分から飛び掛からない。分かったか⁇」

 

「ぷとっ‼︎」

 

リーダーぷとぷと含め、ぷとぷと達は理解してくれたみたいだ

 

「んなもん先手必勝ダズル。殺られる前に殺るのが榛名の鉄則ダズル‼︎」

 

「HAGYに言うぞ⁇」

 

「それはいかんダズル」

 

榛名はワンコよりHAGYに弱い

 

ワンコに言っても結局ハンマーの力で抑え付けて従わせる

 

ただ、何故かHAGYだけにはハンマーを振るわない

 

榛名はHAGYに対して、何か特別な感情を抱いているのかも知れない

 

「それでお前ら、何処から来た⁇」

 

《集積地お姉さんの所‼︎》

 

「なんだと⁉︎集積地は榛名が脳天叩き割ったハズダズル‼︎」

 

《集積地お姉さん生きてる。でも、もう敵じゃない》

 

「ぷとっ」

 

足元にいた一人のぷとぷとが何かが書かれた紙を渡して来た


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