艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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前回の続きになります

蒼龍が出てきますのでグロ注意です

まぁまぁ重たい話になっています


180話 涙の銃弾(1)

「どうだ⁇何か分かったか⁇」

 

「う、うん…」

 

PCの画面に映ったきその顔は青ざめていた

 

「どうした⁇」

 

「まつわ…誘拐されてる」

 

PCに出ているきその調査結果を見る

 

 

 

対潜特化型海防システム

 

このシステムは、対潜に特化しており敵潜水艦に対し有効なレーダー及びソナーを搭載

 

艤装は爆雷を多数積載

 

「これが艤装の一覧」

 

通常の缶の様な爆雷から始まり、ヘッジホッグ、そして小型の対潜ミサイルまで積まれている

 

文章には続きがある

 

このシステムは独立して運用可能であり、人員を乗せる手間が無い

 

ただ、その代わりシステムの中枢となる”艦娘”、もしくは手頃な”少女”を乗せるしかない

 

 

 

 

「とりあえず、まつわのシステムはこんな感じ。次が問題なんだ…」

 

きそがPCを弄り、次の文章を表示する

 

どうやら好戦派の一人の日記をハッキングして入手した様だ

 

 

 

海防システムの中枢確保について

 

現在、海防システムのみが稼働不可となっている

 

駆逐艦及び航空母艦は独立起動可能となったが、このシステムには駆逐艦より幼い子が必要となる事が調査の結果、明らかになった

 

切羽詰った研究員が幼稚園児を誘拐し、無理矢理海防システムの中枢へと放り込んだ

 

海防システムは稼働したが、どこか心残りがある

 

私達は何の為に戦っているのだろうか…

 

文章はここで終わっている

 

 

 

 

「まつわを誘拐した研究員は何処にいる」

 

「トラックの刑務所だね」

 

「コイツに少し聞きたい事がある」

 

「分かった。トラックさんに連絡入れとくね」

 

食堂に戻り、執務室に向かう

 

「隊長、俺だ」

 

「開いてるぞ〜」

 

執務室に入ると、母さんとアークもそこに居た

 

「きそから聞いたよ”アルカトラズ”に行くのか⁇」

 

「んな事言ったら蒼龍に食われるぞ⁇」

 

隊長は数秒考えた後、すぐに撤回した

 

「…蒼龍には内緒にしてくれ」

 

「分かった。今日は横須賀に泊まるかもしれないから、ご飯は要らない」

 

「分かった。すまんな、任せっきりで…」

 

「気にしないでくれ。勝手にやってるだけさ」

 

「マーカス⁇トラックさんに失礼の無い様にね⁇」

 

「ビビリは良い奴だったよ…」

 

「勝手に殺すな‼︎」

 

アークのお陰で、多少は気迫を取り戻す

 

執務室を出た後、食堂でコーヒーを流し込む

 

遊び疲れたのか、ソファでひとみといよと固まり、相変わらず口を縦に開けて寝ているまつわがいた

 

寝ているまつわはボーちゃんを抱いており、俺は髪をそっと撫でて出ようとした

 

《お母…さん…》

 

ボーちゃんがまつわの脳波に反応し、言葉を発した

 

「まつわ…」

 

まつわは口を縦に開けたまま、一粒の涙を流した

 

「その涙…俺が銃弾にして返してやる。だから、ちょっとだけボーちゃんを借りるぞ」

 

「行くのね」

 

貴子さんが見送りに来てくれた

 

「子供達を頼みます。ボーちゃんと俺はすぐ帰ると…」

 

「マーカス君…」

 

まつわの涙を撫でた後、ボーちゃんを頭に乗せ、タナトスに乗る

 

操舵室に入り、いざ艦長の座る椅子に座ろうとした時だった

 

「創造主も色々大変でちな」

 

いつの間にかゴーヤが壁にもたれて腕を組みながら俺を見ていた

 

「トラックでいいでちか⁇」

 

「頼んだ」

 

「そこで大人しくしてるでち…」

 

ゴーヤは体勢を崩さずに目を閉じる

 

タナトスの電子機器が稼働し、錨が引き上げられ、タービンが回る

 

「抜錨するでち」

 

ゴーヤは目を閉じたままタナトスを動かし、基地から出航させる

 

「目標航路設定。トラック基地。所要時間…」

 

ゴーヤは機械的な言葉を幾つか口にした後に目を開け、俺の所に来た

 

「創造主」

 

「なんだ⁇」

 

「たいほうが言ってたでち。トラックさんのケーキは絶品だって。落ち着いたら、ゴーヤも食べたいでち‼︎」

 

「今日でも良いんじゃないか⁇俺が用事済ましてる間に、トラックさんなら食わせてくれるだろ」

 

「おぉ〜‼︎」

 

ゴーヤも少しずつだが、色々な物に興味を示し始めている

 

「さ〜てぇ⁉︎着くまでする事ねぇな⁇」

 

「そう言えばこの前、創造主の元嫁からゲームを貰ったでち」

 

ゴーヤはゲームのディスクを取り出し、機器にいれる

 

「またふっるいゲーム貰ったなぁ⁉︎」

 

「やり方が良く分からんでち」

 

ゴーヤが貰ったのは、かなり古いハードの、恐竜を倒すゲームの”2”

 

何故2だけ貰ったのかは分からない

 

「暇潰しにはなるでち」

 

「やってみるか…」

 

ゴーヤからコントローラーを貰い、トラックに着くまでそれをプレイする事にした…

 

 

 

 

 

「チクショウ‼︎何でそんな所から出てくんだよ‼︎」

 

「反則でち‼︎」

 

”(゚Д゚)”

 

「あっ‼︎バッカヤロウ‼︎」

 

「ダメージ喰らってんじゃね〜でち‼︎」

 

”(♯`∧´)”

 

「そっちに行くんじゃねぇ‼︎左じゃねぇ右だ‼︎お箸を持つ方‼︎そう‼︎そうだ‼︎」

 

「やっとまともな動きし始めたでち」

 

”(≧∇≦)”

 

何だかんだ文句をブツブツ言いながらも、このゲームは中々噛み応えがある

 

チョット操作性に難有りだが、中々どうして面白い

 

ボーちゃんとゴーヤと交代しながらプレイしていると、時間はあっと言う間に過ぎた

 

「トラック基地に着きました。錨を降ろします」

 

ゴーヤの機械的な言葉で、一気に我に返る

 

「セーブしといてくれ」

 

「了解でち‼︎」

 

「ボーちゃんはちょっとだけお留守番な⁇」

 

”(`_´)ゞ”

 

トラックに降り立ち、まずは執務室に向かう

 

「ようこそレイ。話は聞いてます。蒼龍が”アルカトラズ”に居ますので、彼女の方が詳しいかと」

 

「ありがとう。トラックさんまでアルカトラズなのか…」

 

「あぁ…あはは‼︎そっちの方が呼びやすいのでね‼︎流刑地だとか、島流しとかより、よっぽどカッコ良いでしょう⁇」

 

「まぁなっ。じゃあ、行ってくる。あ‼︎そうだ‼︎もし失礼じゃなけりゃ、食堂にいるゴーヤにケーキを食べさせてくれないか⁇勿論礼はする」

 

「そりゃあ勿論‼︎お気を付けて‼︎」

 

俺が執務室を出てすぐ、トラックさんはある人物に無線を繋いだ

 

「今そっちに向かった。後は頼む」

 

《了解。提督はそっちを頼ンだ》


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