艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、173話が終わりました

今回のお話は、久々のハンマー榛名のお話です

何かを悩んでいる榛名…

原因は一体何なのか⁇


174話 ハンマー榛名、唯一の悩み(1)

榛名は時々目をこする

 

学生の頃から、時々目頭を押さえて前を睨み付ける

 

日中でも稀にあるが、頻発するのは疲労が溜まって来た夜に多い

 

別に眠たい訳ではなさそうなのだが…

 

「眠たいの⁇」

 

「んな訳じゃねぇダズル」

 

いつもそう言ってはぐらかす

 

「何見てるんダズル⁇」

 

「ん〜⁇HAGYとか、ニムの装備の書類かな⁇」

 

「”ピンク色”の奴がいるダズル」

 

「…榛名⁇」

 

榛名の目線の先には、ニムの艤装のモデルとなった、横須賀のイクちゃんの写真がある

 

だが、榛名は不思議な事を言った

 

イクちゃんの写真を見て”ピンク色”と言ったのだ

 

「ピンク髪は淫乱と言うダズル‼︎コイツも多分そうダズル‼︎」

 

「榛名…」

 

「何見てるニム⁇あっ‼︎イクちゃんニム‼︎」

 

「淫ピダズル」

 

「イクちゃんはピンクじゃないニム。水色ニム」

 

「…」

 

榛名は急に黙ってしまった

 

「…うおりゃ‼︎」

 

「あがっ‼︎」

 

「うりゃあ‼︎」

 

「ニムっ‼︎」

 

榛名はいきなり二人の後頭部を殴り、気絶させた

 

「あ…危ねぇダズル…危うくバレる所ダズル…」

 

榛名は逃げる様に執務室から出た

 

 

 

 

「はぁ…」

 

榛名が逃げた先はスカイラグーン

 

カウンター席に座り、カプチーノを淹れて貰う

 

「なんだ。またたたイたのか」

 

「オメェには関係ねぇダズル」

 

「はんま〜しゃんら‼︎」

 

スカイラグーンには、たまたまひとみといよがいた

 

「オメェ達は分かりやすくて良いダズル」

 

ひとみといよは、いつもの動きやすい灰色のワンピースを着ていた

 

榛名はそっと二人の頭を撫でた

 

「はんま〜しゃんおなやみ⁇」

 

「いよたちがきいたげう‼︎」

 

「ふふっ…二人にはまだ早いダズルよ⁇」

 

「あぁ、いました。榛名さん。帰りましょう⁇」

 

「ハギィ…」

 

心配したHAGYが迎えに来てくれた

 

「提督が悪いんダズル。あとニムも」

 

「私が叱っておきます。さっ、お家に帰りましょう⁇」

 

「ん…」

 

自分の身長の倍はある榛名の手を引き、HAGYはスカイラグーンから出た

 

 

 

 

 

次の日…

 

単冠湾では演習が行われた

 

相手はトラック基地のダブルドラゴンコンビ

 

対する相手は榛名とニム

 

「全艦載機、発艦‼︎」

 

「爆撃機は全弾投下して‼︎」

 

榛名に向かって落とされる爆弾の雨

 

榛名は仁王立ちで身構え、大量の爆弾が直撃する

 

「んなモン効かんダズル‼︎」

 

「な…」

 

黒煙の中から出て来た全く無傷の榛名

 

蒼龍と飛龍に歯を見せて笑った後、振袖からハンマーを取り出した

 

「おいニム‼︎必殺技ダズル‼︎」

 

「オッケー‼︎」

 

海中から飛び出て来たニムは、榛名のハンマーに立った

 

「どっち狙う⁇」

 

「”赤色”の方ダズル‼︎」

 

「右か左か‼︎」

 

「左ダズル‼︎」

 

左には蒼龍がいる

 

「よしっ‼︎」

 

「行くダズル‼︎うぉりゃあ‼︎」

 

「いっけぇ〜‼︎」

 

榛名がハンマーを振ると、ニムが飛んで行った

 

ニムは蒼龍に当たる少し前に、頭突きの体勢に入った

 

「ひっさーつ‼︎スーパーミラクルウルトラニムニムアイアンヘッドォ‼︎」

 

要は頭突きである

 

ニムは普段榛名に頭をハンマーで殴られまくっている為、頭蓋骨がカチカチになり、並大抵の打撃ではビクともしなくなっている

 

「うわぁ‼︎」

 

ニムの頭突きは蒼龍の額に当たり、大破判定が出る

 

「ぬっふふふ…」

 

「やったね榛名‼︎」

 

このスーパーミラクルウルトラニムニムアイアンヘッドの怖い所は破壊力もそうだが、当たってすぐにニムが榛名の所に帰って来る事

 

簡単な話、ニムが気絶するまで、榛名は何度でも遠距離技を使う事が出来る

 

そして攻撃しなくとも、ニムを一撃で敵の中心部に放り込める

 

「さぁ、もっぱつ行くダズル‼︎」

 

「こ、降参降参‼︎」

 

飛龍が白旗を上げ、演習が終わる

 

演習が終わり、基地に戻るまで、ニムはハンマーに座っていた

 

「ダズル」

 

「あ⁇」

 

「もしかしてダズルは色が分からんニム⁇」

 

ニムはようやく気付いた

 

実は榛名、疲れて来ると色があまり分からなくなるのだ

 

平時でも、確定で分かるのは白色と黒色位

 

ハンマーをダズル迷彩に仕上げているのも、自分が絶対に分かる色だからである

 

鮮やかな色になるに連れ、どんどん分からなくなる榛名の目…

 

辛うじて分かるのは、昨日ひとみといよが着ていたワンピースの色位である

 

「おいニム」

 

「ニムぅ⁇」

 

「…蒼龍は何色ダズル」

 

「…蒼龍は緑色ニム。飛龍はオレンジ色ニム」

 

「分かったダズル」

 

「ありがとうニム‼︎」

 

基地に着き、榛名はニムを降ろす

 

榛名はハンマーを畳み、振袖の中に仕舞い、自然とニムと手を繋ぎ、ワンコとトラックさんのいる食堂に向かって歩き始めた

 

「そうだ‼︎これからはニムがこうして教えてあげるニム‼︎」

 

「ニムに悪いダズル」

 

「ダズル」

 

「あ⁇」

 

「ダズルは謙遜する必要ないニム。ニムはいつだってダズルの味方ニム‼︎」

 

「一丁前に言う様になったダズルな」

 

「ニムニムニム…」

 

口ではそう言う榛名だが、ニムの笑顔を見て、嘘は吐いていないと確信していた


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