艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、172話が終わりました

今回のお話は、ひとみといよが通っている水泳教室のお話です

一緒に通っているメンバーも明らかになります


173話 シマエナガ達の水浴び(1)

外は夏場にも関わらず、ほんの少し涼しさを感じる

 

朝方の薄明るい時間に外に出ると、何処か懐かしい風が吹いている

 

「あら。早起きさんね⁇」

 

窓際に座ってタバコを吸っていると、貴子さんが起きて来た

 

「今日は横須賀でひとみといよの水泳教室なんだ」

 

「マーカス君も泳ぐの⁇」

 

「あぁ。駆逐の子の面倒見てくれと頼まれてるんだ」

 

「晩御飯までには帰って来れそう⁇」

 

「腹減らして帰って来る‼︎」

 

「ふふっ‼︎今日はハンバーグだから、終わったらすぐ帰って来るのよ⁇」

 

「分かった‼︎」

 

「おあよ‼︎」

 

「おきた‼︎」

 

ひとみといよがちゃんと起きて来た

 

「ひとみちゃん、いよちゃん。今日は何するの⁇」

 

「よこしゅかれ、ぷ〜うはいう‼︎」

 

「ぷ〜うれおよう‼︎」

 

「そっかそっか‼︎じゃあ、朝ごはん食べないとねっ‼︎」

 

朝早くに基地を発つ人は、決まってコーンフレークを食べる

 

これなら腹持ちも良くて、すぐ食べられるからだ

 

「今日はチョコレートのコーンフレークよ‼︎」

 

「こ〜んふえ〜く‼︎」

 

「ちょこえ〜と‼︎」

 

ひとみといよは、机の前に座って、注がれて行くコーンフレークを眺めている

 

俺もタバコを消し、何時もの様にひとみといよの間に座り、コーンフレークを食べ始めた

 

「さくさくすう」

 

「しにゃしにゃのもあう」

 

コーンフレークを食べ終わり、二人をグリフォンに乗せる

 

「ぐいほん〜」

 

「きしょ〜」

 

二人はいつも通り、グリフォンの中に入っているきそを探そうとする

 

「今日は違うぞぉ〜」

 

《戦闘機の中も良いモンでち》

 

「でっち〜ら‼︎」

 

「れっち〜ら‼︎」

 

モニターに映ったゴーヤを見て、二人は突いて遊ぶ

 

《いていていて‼︎止めるでち‼︎》

 

「でっち〜、なんれぐいほんはいってうの⁇」

 

《今日は緊急の時にゴーヤも乗れる様にする訓練でち‼︎》

 

「おねあいしあすっ」

 

「おねがいしあすっ」

 

最近気付いたが、いよが段々濁点を上手く話せる様になって来ている

 

でっち〜、ぐいほん等、チョコチョコレパートリーも増えて来ている

 

成長している証だ

 

 

 

 

 

 

「あちゅい‼︎」

 

「とけう‼︎」

 

横須賀に着くと、完全に炎天下になっていた

 

水泳教室に行く前に駄菓子屋に立ち寄り、三人でラムネを飲む事にした

 

「バトルチョップ‼︎」

 

「「あとるちょっぷ‼︎」」

 

二人共、俺の真似をして股の間にラムネの瓶を挟み、ビー玉を落とす栓に向かって、掛け声と共にチョップを振り下ろす

 

「しゅあしゅあれてきた‼︎」

 

「つえた〜い‼︎」

 

噴き出したラムネが、二人の太ももにかかる

 

二人共早速ラムネを両手で持ち、喉を潤して行く

 

「かぁ〜‼︎」

 

「くぁ〜‼︎」

 

「お前らはオヤジか‼︎」

 

「のんら‼︎」

 

「からんこおん」

 

ひとみがラムネの瓶を振り、中のビー玉を瓶にぶつけ、音を出す

 

「よしっ。足柄に瓶返して、10円貰って来い‼︎」

 

「わかた‼︎あしがあ〜‼︎」

 

「らむねのんら‼︎」

 

二人の身長とほぼ同じのカウンターの前に立ち、ラムネの瓶を足柄に渡す

 

「はいっ‼︎ありがとう‼︎」

 

足柄はラムネの瓶を受け取り、二人に10円ずつ渡した

 

「あいがと‼︎」

 

「おいしかた‼︎」

 

「ふふっ‼︎また来てね‼︎」

 

二人共ちゃんとお礼を言ってから、それぞれのヒヨコの財布に10円玉を入れた

 

「すまん。ついでに棒のゼリー貰えるか⁇」

 

「大尉⁉︎」

 

二人にラムネの瓶を換金させた後、俺もラムネの瓶を返し、ついでにキンキンに冷えた棒のゼリーを貰う

 

「50円です」

 

「ほい」

 

棒のゼリーを貰い、ケツのポケットに入れた

 

「誰かにあげるの⁇」

 

「そっ。新しく基地に来た子になっ」

 

「えいしゃん、ぷ〜ういこ‼︎」

 

「ぷ〜うはいいたい‼︎」

 

ひとみといよは、俺の両足に捕まり、早くプールに行きたそうにしている

 

「そうだなっ。また来るよ」

 

「またね〜」

 

足柄と分かれ、二人を肩に乗せてプールを目指す

 

「先生の名前は覚えたか⁇」

 

「いくしゃん‼︎」

 

「よこしゅかしゃん‼︎」

 

「お友達はいるか⁇」

 

「あきつん‼︎」

 

「あきつん⁉︎」

 

「う〜じょ〜‼︎」

 

「う〜じょ〜⁉︎」

 

二人共、何と無く聞いた事がありそうな名前だが、あだ名で呼んでいるので分からない

 

プールに着き、入り口付近で二人を降ろす

 

「お着替え入れた袋持ったか⁇」

 

「「もった‼︎」」

 

二人共、ちゃんと着替えを入れた袋を持っている

 

「二人共来たのね‼︎」

 

水泳教室の先生である伊19が迎えに来てくれた

 

「イク。頼んだぞ」

 

「分かったなの‼︎イクにお任せなの‼︎」

 

イクは二人を連れ、施設に入って行った

 

「創造主も子煩悩になったモンでち」

 

二人を見送ると、建物の壁にもたれたゴーヤがいた

 

横須賀にも基地と同じカプセルがあり、叢雲や翔鶴がAIから再びボディを持つ時に使っているが、最初は何だかんだの登録で時間がかかる

 

今日はそれで来るのが少し遅くなったのだ

 

「ホラッ」

 

さっき買った、棒のゼリーをゴーヤに投げる

 

「イテッ‼︎」

 

受け取るかと思ったが、ゴーヤの顔にペチィ‼︎と当たり、ゴーヤの手元に落ちた

 

「これは何でち⁇」

 

「食べたら分かるさ」

 

「どれ。食べてみるでち」

 

ゴーヤは棒のゼリーを両手で持ち、真っ二つに割り、喉へと流し込み始めた

 

「なんつ〜ワイルドな食い方だ…」

 

「チマチマ食べるのはゴーヤの性分に合わんでち」

 

「…まぁいい。俺と来るか⁇俺と駆逐の子の面倒見て欲しいんだ」

 

「行くでち‼︎」

 

ゴーヤは産まれて初めて俺の手を握り、ゴーヤと共に施設に入った


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