艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、169話が終わりました

今回のお話は、新しい子が出て来ます

何⁉︎題名で予測出来た⁉︎

違う子かも知れないじゃないか‼︎


170話 粘土で遊びたいでち‼︎(1)

金曜は子供達を学校に送った後は横須賀とデートだが、毎週水曜日は子供達と遊ぶ事になった

 

子供達は汚しても良い様に、クーラーの効いた工廠の床にシートを引き、紙粘土で遊んでいる

 

そして俺も手に紙粘土を持っている

 

「こねこね〜‼︎」

 

「こえこえ〜‼︎」

 

「なにつくおっかあ〜⁇」

 

たいほうの近くにひとみといよが座り、一緒に紙粘土をこねている

 

「れべとまくすは、私と作りましょう⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「うん」

 

母さんはれーべとまっくすのいる場所で紙粘土をこねている

 

「粘土は食べられないんだよねぇ〜」

 

「そんな事言いながらラムネの形に千切って…ホントに食べちゃダメよ⁉︎」

 

照月は紙粘土を千切り、本物と見間違える程、リアルなラムネの形にこねて行く

 

隣に座った霞は照月を心配そうに見ながら、手元ではある程度の形が出来上がって来ている

 

「僕は何作ろっかなぁ〜」

 

きそはきそで作る物を悩んでいる

 

「レイは何作ってるの⁇」

 

「ん〜⁇」

 

「うわっ‼︎コルセアだ‼︎」

 

こう見えても石膏からフィギュア位は作る自信がある

 

「じゃあ僕は…」

 

きそも作るのを決めた様子で、紙粘土をこね始めた

 

「はっちゃんはウサギさんを作ります」

 

「しおいもつ〜くろ‼︎」

 

それぞれが作り始めた時、タブレットに通信が入った

 

メールやアプリの文字通信ではなく、通話の様だ

 

通信相手は…

 

”た”

 

…最近、一文字の奴が多い気がする

 

「…もしもし」

 

《それは何でち⁇》

 

「タナトスか⁉︎」

 

相手はタナトスだった

 

近くを回遊している様で、俺達の話し声が聞こえたみたいだ

 

「これは粘土って言うんだ。結構楽しいぞ⁇」

 

《タナトスもしたいでち》

 

俺は一瞬だけタブレットから目を逸らした

 

遂にこの時が来た

 

タナトスがボディを欲しがっている

 

きそに目をやると、俺の視線に気付いた様で、既に此方を見ていた

 

きそはゆっくり頷くと、紙粘土を置いて、工廠の奥に走って行った

 

「こっち来れるか⁇」

 

《補給ついでに行くでち。待ってろ創造主》

 

そう言うと、タナトスとの通信は切れた

 

タブレットを机の上に置き、きその所に向かう

 

「行けそうか⁇」

 

「うん。ボディはもう造ってあるから、後はタナトスが気に入るかどうかだ」

 

きそはずっと前からタナトスが入る為のボディを造ってくれていた

 

それは既に完成しており、カプセルの中でタナトスが入るのを今か今かと待ち受けている

 

「ん⁇」

 

いよが紙粘土を持っていた手を止め、港の方を見つめ始めた

 

ひとみもそれに反応し、同じ方を見つめる

 

「えいしゃん、たあとすきた‼︎」

 

「たあとすきた‼︎」

 

「早いな」

 

数分後、タナトスが埠頭に着いた

 

《創造主‼︎腹減ったでち‼︎》

 

異変に気付いた隊長が表に出て来た

 

「隊長‼︎」

 

「デッカいなぁ〜…」

 

隊長はタナトスのデカさに圧巻していた

 

《ウィリアムさんでち》

 

「おっ‼︎私を知ってるのか⁉︎」

 

《創造主が一番尊敬してる人でち》

 

「ほほぅ、そうかそうか‼︎君はレイが言ってた潜水艦だな⁇」

 

《タナトスと言うでち‼︎よろしくお願いします‼︎》

 

「んっ‼︎此方こそ宜しく‼︎」

 

「タナトス。メインコンピューターにアクセス出来るか⁇」

 

《何か用でちか⁇あれでちか⁇タナトスのバグ取りでちか⁇》

 

「そんな感じだ」

 

《…》

 

「タナトス⁇」

 

タナトスは急に黙ってしまった

 

「レイ‼︎来たよ‼︎」

 

「ったくあいつは…」

 

隊長を連れて、工廠に戻って来た

 

《おい‼︎緑の奴がいるとは聞いてないでち‼︎》

 

「タナトス、ちょっとだけじっとして…」

 

《変な事したら基地ごと緑の奴をブッ殺してやるでち‼︎》

 

「大丈夫…安心して…」

 

いつもより集中しているきそ

 

インターネットの海にいても暴れ回るタナトスをジッとさせるのは一苦労の様だ

 

「これがタナトスか⁇」

 

隊長が指差す先には、キラキラした物体が画面の中を右往左往している

 

「そっ。これがタナトスの知能さ」

 

「今、何を考えているか分かるか⁇」

 

「俺達を見て、様子を探ってる」

 

タナトスは周りのカメラにアクセスし、俺達の表情や声に探りを入れている

 

メインコンピューターとは別のPCに、カメラのモニターや音波をのメーターが出ているので、それはすぐに分かった

 

「タナトスはさ、ボディを持ったら何をしたい⁇」

 

《粘土したいでち》

 

「いっぱいあるよ〜。ひとみといよもしてるよ⁇」

 

PCに映っているカメラのモニターが、ひとみといよの方を向き、ズームする

 

《おい緑の》

 

「ん⁇」

 

《タナトスにこんなの見せて、嫌がらせのつもりでちか⁇夢の無い話はすんなでち‼︎》

 

「ふふふ。そんな事言ってるのも今の内だよ〜」

 

きそはUSBをPCに挿し、カプセルの方にも挿そうとした

 

《やめるでち‼︎USB外すでち‼︎》

 

「うりうり〜」

 

《おい創造主‼︎緑の奴を止めるでち‼︎》

 

「そ〜れブスッと‼︎」

 

《うびびびびびびびび‼︎》

 

タナトスの悲鳴が聞こえたと同時に、メインコンピューターに

 

0%

 

と表示され、その数値がゆっくりと1%、2%と進んで行く

 

タナトスの思考データが、カプセルの中身へと移動して行く…


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