艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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16話 籠の中の雛鳥Ⅱ(3)

「立体でも歩き方怖いな…」

 

「貫禄がありますね」

 

立体武蔵を見ていると、ふと武蔵が耳に手を当て、横須賀君の無線が付いた

 

《今から内部に進入する。それと、私の歩き方に貫禄などない。普通だ》

 

「筒抜けだぞ‼︎」

 

「わ、悪かった‼︎こちらでは現在、内部のデータを取っている。状況が分かり次第、追って知らせる。まずは脅威レベルの低下を優先してくれ」

 

《了解した。でーたをりんくする》

 

「了解した。行くぞ‼︎データリンク‼︎」

 

横須賀君の合図と共に、小島に何やら表示が現れた

 

どうやら脅威となる兵器の細かな位置が立体表示されたみたいだ

 

「反応…unknown、か…武蔵、片っ端から潰せ‼︎責任は私が取る‼︎暴れまくれ‼︎」

 

《待ってたぜ‼︎行けぇ‼︎》

 

砲撃音がした後、立体映像からunknown表示が二つ消えた

 

「迫撃砲、対空機銃を破壊。脅威レベル低下。その調子だ‼︎」

 

《人が来たぞ》

 

武蔵は壁に隠れ、何やら背中を弄っている

 

「unknownが動き回ってるぞ」

 

「これは…⁉︎」

 

《武装した男が二人だ。どうする⁇》

 

「捕まえて尋問出来ないか⁇」

 

《止まれ‼︎》

 

武蔵は手持ちの大砲を向けた

 

無線の先から”敵襲”と言う言葉が聞こえた

 

「武蔵、武蔵〜‼︎」

 

《クソっ‼︎敵が逃げた‼︎》

 

「仕方無い…足だ‼︎足を狙え‼︎」

 

《了解した‼︎》

 

何十発もの銃声の後、鈍器で殴る音が二回聞こえた

 

《じゃみんぐはどこだ‼︎へし折るぞ‼︎》

 

《む、向こうです‼︎》

 

《いい子だ。おやすみ‼︎》

 

また二回鈍器で殴る音がした

 

「大佐」

 

横須賀君が珍しくジト目で見てくる

 

「あれじゃあ尋問じゃなくて拷問です」

 

「け、結果オーライだろ⁇」

 

「とにかく、作戦を続けます」

 

《あんのうんは、後どれ位ある⁇》

 

「後8個だ。なるべく交戦を避けながら、奥を目指してくれ」

 

《了解した》

 

「しばらくは武蔵に任せましょう。私達はレーダーで内部状況を把握しましょう」

 

流石の最新レーダーでも、内部状況となるとしばらく時間がかかるみたいだな

 

緊迫しなければいけない状況なのに、何故か私達は落ち着いていた

 

「吸うか⁇」

 

「すみません…」

 

タバコに火を点け、互いに紫煙を吐く

 

「出撃の前はいつもこうして、タバコを吸ってから出てましたね…」

 

「願掛けと魔除けだ。悪魔は煙を嫌う」

 

「なるほど…」

 

《ちくしょう…大量にいるな。おい、横須賀君よ‼︎どうする⁉︎》

 

「反応の数は⁉︎」

 

《二十はいるな。設置式の機銃を持って来ている。設置するぞ》

 

無線の向こうで、何やらカチャカチャ音がする

 

背中に携えていたのは、どうやらセントリーガンみたいだ


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