艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、168話が終わりました

今回のお話は、ちょっとハーフタイムです

本編には繋がりませんが、ひとみといよがちゃんと周りの話を聞いている事が、良い意味でも悪い意味でも明らかになります


特別編 色んな職業と双子のシマエナガ

「いおいおなおちごろ」

 

「しょ〜お〜しは、ひをけしあすっ」

 

ひとみといよが窓際で絵本を読んでいる

 

俺はソファーに座ってキンキンに冷えたサイダーを飲みながら、毎日馬鹿みたいに同じ事を繰り返す国会中継を見ていた

 

「毎日毎日しょーもねぇ事して、おマンマ食えたらそりゃ良いだろうに」

 

独り言をブツブツ言いながらも、中継を見る

 

中継先では、議員の一人が”ないない”と言い続けている

 

「どうせ金あるんだから、はした金払ってこの話終わらせて、もっと良い事しようとは思わんのかねぇ…」

 

そんな中、口やかましく人の意見を聞かない議員に対し、鶴の一声で全て纏めて行く人物がいた

 

総理だ

 

今の総理の様に、本当の意味で国民の為に動いてくれる人間は本当に尊敬出来る

 

総理に対して、けど〜や、でも〜は通用しない

 

総理のやり方は、まず試してみる事

 

ダメなら私が責任を取る。そう言ったやり方だ

 

現にこの総理になってから休戦協定も結ばれたし、日本各地に保育所や幼稚園が増え始めている

 

総理の考えは正しいと思う

 

総理がした政策は、老人ホームの敷地内に幼稚園や保育所を建設するというもの

 

こうする事で老人共は子供の面倒を見たりと何かしらの活気が出る

 

その為に日本に保育士を増やした

 

総理は保育士や介護士の免許を取れるハードルを少し下げ、人員を増やし、キッチリとしたシフトの中で残業も無いと、巷ではこの二つの職業は人気らしい

 

「あすのうんてんしゅしゃん」

 

「あす、たくち〜、れんしゃ。いっぱいあう」

 

国会中継に飽き、ひとみといよの近くに座る

 

「何見てるんだ⁇」

 

「おしごろのほん‼︎」

 

「えいしゃんのおしごろのってた‼︎」

 

ひとみといよは、沢山の職業が載っている絵本を読んでいた

 

「おいしゃしゃん‼︎」

 

「おっ‼︎良く覚えてるな‼︎偉いぞ‼︎」

 

「こえは”ぴ〜ぽ〜しゃ”けがしたひとおはこいます」

 

「うっ…」

 

「ふふふ…」

 

台所にいる貴子さんの視線が痛い…

 

俺は気を紛らわせる為にサイダーを飲む

 

「こえは”こっきゃのいぬ”‼︎」

 

「こっきゃのいぬ‼︎」

 

二人の覚え方を聞き、サイダーを吹き出す

 

不安になった貴子さんも来た

 

「ど、何処で覚えた⁉︎」

 

「どこれおぼえた⁇」

 

「わからん…」

 

「ひとみちゃん、いよちゃん。これは警察。悪い人を捕まえるお仕事よ⁇」

 

「け〜しゃつ⁇」

 

「け〜しゃつ⁇」

 

「そうだぞ。立派な職業だ」

 

「け〜しゃつすごい‼︎」

 

「ひとみ、け〜しゃつないたい‼︎」

 

どうやら意味が分かっていないまま言っていた様だ…

 

ビックリした…

 

「ひとみちゃんは警察になったら、どんな事したい⁇」

 

「あくぃあつかまえう‼︎」

 

「いよもあくぃあつかまえう‼︎」

 

「あらっ…」

 

貴子さんは何故かちょっと嬉しそうな顔をした

 

どうやら二人共、隊長のお母さんが嫌いな様だ

 

「てれびみう」

 

「ひとみ、ほんおいてくう」

 

あらかた読んだのか、ひとみが子供部屋に本を仕舞いに行き、俺はいよをソファーに座らせて、一緒にテレビを見始めた

 

貴子さんは自分で淹れたコーヒーを椅子に座って飲み始め、同じくテレビを見る

 

「としおりいっぱい」

 

「いよにはまだ早いかもな〜」

 

「よいちょ…」

 

ひとみは帰って来てすぐ、いよの反対側に座る

 

ひとみといよを両サイドに置き、いざチャンネルを変えようとした

 

「ひとみちゃん、いよちゃん、あれはどんな名前のお仕事か知ってる⁇」

 

何気無い貴子さんの質問…

 

この質問が、また波乱を呼ぶ

 

「こっかいのうた‼︎」

 

「じぇ〜きんどろお〜‼︎」

 

再びサイダーを吹き出す

 

貴子さんもコーヒーを口から漏らしている

 

「何処で覚えたんだよ…」

 

「あぁ…」

 

二人してため息を吐き、頭を抱える

 

「ひとみ、いよ。あれは国会議員だ」

 

「しょ〜もあいひとちあう⁇」

 

「おかねないないいうひとちあう⁇」

 

「マーカス君っ⁉︎」

 

貴子さんに睨まれる

 

完全に俺の話を聞いていたみたいだ

 

「あれは悪い国会議員だ。他の人はみんな良い人なんだ。ほら、この人なんて特にそうだ」

 

そう言って、アップになった総理を指差す

 

「あの人は総理よ」

 

「そ〜い⁇」

 

「そおい⁇」

 

「しおいじゃない、そ・う・り」

 

「「そ〜い‼︎」」

 

「そっ。この総理は良い人だぞ⁇」

 

前任の総理とは随分違う

 

前任の総理は金持ちは更に儲けて、貧乏人は更に貧乏になるという政治をした

 

正直な話、前任の総理の所為で深海との戦争が始まったと言っても過言じゃない

 

今の総理がずっと総理をしていたら、この戦争も起きていなかったと思う

 

 

とにかく、ちゃんと覚えさせなきゃダメだな…


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