艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

521 / 1086
さて、165話が終わりました

今回のお話は、ようやくレイに技術を教えたのが明らかになります

レイはその人にどんな感情を抱いているのか…


166話 もう一人の恩師(1)

「そう言えばレイ。アンタ指環、もう一つ何処にやったの⁇」

 

横須賀が定時報告に来た際、重コンの話になった

 

横須賀が決めたルール上、提督に当たる人物は二人までケッコンして良い事になっている

 

アレンと逢う度にこの話になっているが、別に一人でも良いハズだ

 

アレン自身も愛宕一人だしな

 

「気になるのか⁇」

 

「え⁇えぇ…まぁね⁇」

 

「内緒だ」

 

「だっ、誰かに渡してないでしょうね⁉︎」

 

「渡したら言ってるっての‼︎」

 

「あ…そっか…」

 

「ほら、もう行け‼︎」

 

横須賀の背中を押し、船へ戻して見送る

 

「はぁ…」

 

最近、やたら重コンの話になる事が多い

 

正直な話、とある人物に渡そうか…とは考えた事があった

 

だが、それは今はもう出来ない

 

旦那が居るからだ

 

「ゆびわ⁇」

 

「えいしゃんのゆびわ⁇」

 

ひとみが左手、いよが右手を取り、指環を探す

 

小さな手で指環を探すが、見当たらない

 

「俺のはこっちだ」

 

服の襟部分をめくり、ペンダントと一緒になったケッコン指環を取り出した

 

「おぉ〜‼︎」

 

「につある‼︎」

 

ひとみがそう言った瞬間、その場に居た全員が俺の方を向いた

 

「マーカス君⁇ちょ〜っと私に見せてくれる⁇」

 

「た、貴子さん…」

 

貴子さんは物凄い気迫で俺に迫り、ペンダントの先に付いた指環を見た

 

「え〜と…ジェミニ・スティングレイ…ウォースパイト・オルコット…」

 

「母さんのは違う。ケッコン指環じゃない」

 

「貴子。それは私がマーカスを尊敬していると言う意味のリングです。ケッコン指環とは、ちょっと違います」

 

「ますます気になるわね…」

 

「貴子。幾ら空軍は嘘をつかないとは言え、男には隠したい事もある」

 

「むむむ…」

 

隊長のフォローのお陰で、貴子さんは手を離した

 

「ちょっと出掛けて来る。夕方には帰るよ」

 

「横須賀か⁇」

 

「あぁ。たまにはシスターにも顔見せないとな」

 

「んっ、良い心掛けだ‼︎」

 

「私も行くわ」

 

珍しく霞の方から着いて来た

 

「ひとみといよはおるすば…」

 

「いよ、よこしゅかれおよぐお‼︎」

 

「ひとみも‼︎」

 

「イクちゃんの水泳教室です。まだ時間はありますし、はっちゃんとしおいが着いて行きます」

 

「んっ。任せたぞ。ちゃんとはっちゃんとしおいの言う事聞くんだぞ⁇」

 

「わかた‼︎」

 

「いってあっしゃい‼︎」

 

三人に見送られ、霞とグリフォンに乗り、横須賀を目指す

 

 

 

 

《霞、それなぁに⁇》

 

霞はグリフォンに乗ってから、ずっと何かを握り締めている

 

「たまにはレイときそに何か食べさせてあげようと思ったのよ」

 

「ホントか⁉︎」

 

「いつも世話になってるのに、何にも返せてないからね」

 

《僕アレ食べたい‼︎肉の棒の奴‼︎》

 

多分、最上のスティックミートの事を言っている

 

「レイは⁇何食べたい⁇」

 

「コイツと一緒の奴で‼︎」

 

「分かったわ。レイの用事が終わったら行きましょ」

 

横須賀に降り、きそと霞と共に教会を目指す

 

「あっついなぁ〜」

 

「レイ。アイスキャンディー食べる⁇」

 

「食べる食べる‼︎」

 

「すいません。アイスキャンディー3つ下さい」

 

霞がたまたまそこを通り掛ったアイスキャンディー売りを捕まえ、俺達の所に戻って来た

 

「好きなの取って⁇」

 

霞が買って来たのは、水色と黄色と紫色

 

この暑さの所為でどれも美味そうに見える

 

「僕サイダー‼︎」

 

「俺はグレープ‼︎」

 

「私はレモンね‼︎」

 

見た目で勝手に味を決め、早速口に入れる

 

「…サイダーじゃない‼︎」

 

「グレープじゃないだと⁉︎」

 

「レモンじゃない…」

 

味を確かめる為、各々もう一度アイスキャンディーを口に入れる

 

「ミントだ‼︎美味しい‼︎」

 

「バナナね‼︎中々イケるわ‼︎」

 

「俺のは”ブリーベリー”だ‼︎」

 

「「何それ⁉︎」」

 

きそと霞が同時に俺の方を向く

 

「今何て言った⁉︎」

 

「ブリーベリーって何よ⁉︎」

 

「ブリーベリーってのは、ほら、あれだ。目が良くなる、小粒で結構イケるフルーツだ」

 

きそも霞も、ドン引きして蔑んだ目で俺を見て来る…

 

ヤバい、何か間違っていたのか⁉︎

 

「レイ…それ”ブルーベリー”だよぉ‼︎」

 

「どこで覚えたのよ…」

 

「大体ピンゲンとか、ガーガーさんとか、ブリーベリーとか教えるのは鹿島だね⁇レ〜イ⁇」

 

きその顔がドアップで目に映る

 

「一回全部覚え直した方が良いかもな…ははは…」

 

アイスキャンディーの棒を捨て、教会に向けて歩く

 

右手で霞と手を繋ぎ、左手はポケットの中に入れている

 

きそが防波堤の上を手を広げながら歩いているからだ

 

「教会だっけ⁇」

 

「そっ。たまには顔見せないとな」

 

「神様信じてないんじゃないの〜⁇」

 

「信じるかよ、あんな奴等」

 

「ふ〜ん…よいしょっ‼︎」

 

教会が近付いて来たので、きそが防波堤から降りて来た

 

そして俺の左手をポケットから抜き、手を絡ませた後、教会に入った

 

「マーカスく〜ん‼︎」

 

「うひゃ‼︎」

 

「何⁉︎」

 

両手に居た二人が、ドタドタ〜っと走って来たシスター・グリーンに怯えて手を離し、脇に避けた

 

その途端、シスター・グリーンが飛び付いて来た

 

「はなっ…せ‼︎」

 

シスター・グリーンの口に指を入れてまで食い止めるが、物凄いパワーで反発して来る

 

「ババァの癖にっ…なんちゅうパワーだっ‼︎」

 

「指環くれるの⁉︎それとも指環⁉︎指環ね⁉︎あ〜ん‼︎結婚式はいつにしましょう‼︎」

 

「ババァに興味は…無いっ‼︎」

 

ようやくシスター・グリーンを引き剥がす

 

「ハァ…ハァ…」

 

「若い男の子は、幾つになっても素晴らしいわ…あはははは〜‼︎」

 

「きそ、大丈夫だ。霞、チェーンを降ろせ」

 

俺の身の危険を察知したのか、きそはT-爆弾、霞は手にチェーンを巻いて待機していた

 

「ちょっと危険を感じて…あはは…」

 

「ヤバい奴じゃないの⁉︎」

 

「ふふふ…お乳臭い女の子達…私の人生の重みに敵うとでも⁉︎」

 

「うんっ‼︎」

 

「歳だけ食ったアンタ位勝てるわ‼︎」

 

きそも霞も、シスター・グリーンを睨み返す

 

「あっははは‼︎それでこそマーカス君の子ね‼︎さっ、いらっしゃい‼︎貴方達を歓迎します‼︎」

 

「ふぅ…」

 

「まぁいいわ…」

 

きそも霞も武器を下げ、シスター・グリーンに案内されて、シスター達の休憩室に入る

 

「うひゃひゃひゃ‼︎ウケるでし‼︎」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。