艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、164話が終わりました

今回のお話は少し長めです

そして、内容は続きですが、題名も途中で変わります


新人パイロットの教育を任されたレイ

その訓練中、凶鳥と呼ばれた部隊と出くわします


165話 雷鳥の群れ(1)

夕ご飯も食べ終え、後は寝るだけ

 

俺は明日は横須賀で演習の教官に当たっているので、ちょっとは早く寝なければいけない

 

「うぁ〜」

 

「あぅ〜」

 

ひとみといよがロードショーを見ている

 

テレビ画面では海賊が大暴れしており、子供が見るにはちょっと早い気もする

 

「隊長…俺、アレの標的にならんよな⁇」

 

テレビ画面では、悪い海賊が人を剣で串刺しにしている

 

「分からんぞ〜⁇子供は時に残酷だからなぁ〜⁇」

 

「や、止めてくれよ…」

 

「怪獣のオモチャ電車で轢いたり〜⁇」

 

「ヒーローのフィギュアの腕捥ぎ取ったり」

 

「小虫を潰したり⁇」

 

「あああああ…」

 

隊長、貴子さん、グラーフ、ローマが俺を脅す

 

「ほ〜らほ〜ら、レイは覚えてるかなぁ〜⁇たいほうが生き物とクワガタを戦わせようとしていたのを〜」

 

「ひとみちゃんといよちゃんもそんな時期なのかもねぇ〜」

 

「「うぃっひっひっひ…」」

 

「うっ…」

 

隊長と貴子さんが不気味に微笑みながら顔を近づけて来る…

 

この夫婦、手を組ませるとホントに怖い…

 

「レイ、後は私に任せてもう寝なさい。明日早いんでしょ⁇」

 

ローマがメガネを掛け直しながら心配してくれた

 

「寝れっかな…」

 

「お〜やお〜やレイ君‼︎君が恐怖を感じるとはねぇ〜‼︎」

 

「早く寝ないとひとみちゃんといよちゃんに言っちゃうわよ〜⁇」

 

「ぐっ…お…ね、寝てやる‼︎グッスリ寝てやるからな‼︎見てろ‼︎」

 

後はみんなに任せよう

 

ととととにかく、明日は早い

 

俺は恐怖で小一時間眠れなかったが、何とか眠りに就く事が出来た…

 

 

 

 

 

次の日の朝…

 

「ひとみちゃん、いよちゃん。ちょっとおいで…」

 

いつも貴子さんが一番最初に起きて、その次に何故かひとみといよが起きる

 

二人は貴子さんによく懐いており、お手伝いもする

 

貴子さんにとっても二人は子供なのだ

 

「マーカス君起こして来てくれる⁇今日は早いんだって」

 

「わかた‼︎」

 

「あさごはんいう⁇」

 

「コーンフレークって言ってくれる⁇」

 

「わかた‼︎」

 

「いってくう‼︎」

 

パタパタと走りながら俺の部屋に向かってくるひとみといよ…

 

「ふふふ…マーカス君、驚かないといいけどっ」

 

「ふぅ〜‼︎スッキリスッキリ‼︎」

 

俺は目覚ましの為にシャワーを浴びて、ひとみといよが俺の部屋に向かって行ったと入れ違いで食堂に入った

 

「あらっ⁉︎」

 

「ぬっふっふ…貴子さんも甘いな…」

 

「えいしゃん‼︎」

 

「さわ〜した⁇」

 

「うひっ‼︎」

 

「ふふっ‼︎」

 

いきなり両肩に乗って来た二人

 

「どっから来た‼︎」

 

「えいしゃん、おふとんちあった‼︎」

 

「おふおにいた‼︎」

 

「ひとみちゃんといよ、おきがえすうとこおにいた‼︎」

 

「ふふふ…」

 

どうやら貴子さんにまた喰わされたみたいだ…

 

「さっ、座って‼︎コーンフレークでいい⁇」

 

「お願いします」

 

子供達が座っている場所に座り、貴子さんがコーンフレークを作ってくれる僅かな時間を待つ

 

「こ〜んふえ〜く、たのしいあ〜」

 

「おいち〜ふえ〜く〜」

 

両サイドで二人が左右に揺れながら歌を歌う

 

「はいっ、出来たわ‼︎ひとみちゃんはこっち、いよちゃんはこっちね⁇」

 

「あいがと‼︎」

 

「いたあきます‼︎」

 

「頂きます‼︎」

 

テレビでは教育番組が流れているが、ひとみといよは目の前に置かれたコーンフレークに集中して食べている

 

ぎこちない手でスプーンを持ちながらも、綺麗に口にコーンフレークを運んで行く

 

ポロポロ零す母さんとは大違いだ

 

母さんは同時に事を熟る人だが、ご飯だけはそうは行かないからな

 

「ごちそうさま‼︎行って来ます‼︎」

 

「遅くなるなら連絡するのよ〜‼︎」

 

「は〜い‼︎」

 

貴子さんはまるで年頃の男子を送り出す母親の様に、いつも俺を見送ってくれる

 

《おはよう、レイ。ご飯食べた⁇》

 

「コーンフレークをたらふく食った‼︎」

 

《僕はゼリー食べた‼︎演習終わったら何か食べよう⁉︎》

 

「オーケー‼︎行くぞっ‼︎」

 

基地からグリフォンが離陸して行く

 

 

 

 

 

「…でだ」

 

いざ教官に就こうと思ったら、親父がサンダース隊の連中と地べたに座って話し込んでいた

 

「おじいちゃんだ‼︎」

 

「おぉ‼︎きそ‼︎マーカス‼︎」

 

「…何で親父がいんだよ‼︎」

 

「す、スパイトの命令…⁉︎」

 

「ったく…まぁいい。そこに居るなら手伝ってくれ」

 

「四人ずつに別れてくれるか⁉︎」

 

8人いたサンダース隊の連中は、きっちり4:4に別れ、別々の訓練をする事になった

 

 

 

 

 

《黒い震電部隊…レイの部隊か⁇》

 

「アレンか⁉︎」

 

哨戒任務を終えたであろう、ラバウルの連中が見えた

 

《どれっ…少し相手をしてあげますか‼︎》

 

《ワイバーン。この前のお礼も兼ねて、本気でお相手します‼︎》

 

「サンダース隊各機‼︎良い機会だ‼︎ラバウルの連中を叩き落とせ‼︎」

 

全機から《了解‼︎》との返答を受け、SS隊との演習が始まる

 

相手は凶鳥と恐れられている三機

 

見習いのパイロットでは歯が立たないのは目に見えている

 

だが、これ以上に経験値を上げる機会はまたと無い

 

それに向こうは最新鋭のジェット機、T-50

 

プッシャー式ではあるが、レシプロの此方には勝ち目はほぼ無い

 

となると、俺の指揮能力が問われる

 

「各機、動きの良いのはリーダー機だ‼︎まずは傍の機体から撃墜判定を出せ‼︎」

 

《ウィルコ‼︎》


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