ハーフタイム劇場は楽しめましたか⁇
今回のお話は、北上さんのお話です
ちょっと重たいお話です
昨日の礼と合わせて、今日はラバウルに遊びに来ている
あまり顔を合わせていないひとみといよも連れて来た
「あたごんら‼︎」
「あいしゃん‼︎」
「Oh〜‼︎CuteなBabyね‼︎」
「いらっしゃい‼︎」
既に愛宕の頭一つ分大きくなったアイちゃんは、軽々とひとみを抱き上げる
愛宕も愛宕で、慣れた手付きでいよを抱き上げ、そのまま執務室を出て行った
そして相変わらず執務室の机にはウェルカムポップコーンが置かれている
「おいひ〜‼︎」
シャクシャクと音を立てながらポップコーンを口にするきそを見て、ガンビアの護り神を想像する…
「アレン。昨日はありがとうな」
「あれ位ならいつでも言ってくれ。てか、勝手に使ってくれて構わん‼︎」
「朝霜が喜ぶね‼︎」
もう口周りにポップコーンのカスをいっぱい付けたきそが笑う
「アレン。俺達の決まり事は分かってるよな⁇」
「んなもん別にいいって。あれはお前の研究成果がなきゃ、それこそ完成してない」
「ダメだ。俺の理に反する」
「ったく…」
アレンは後頭部を掻きながら悩む
俺達の決まり事とは、互いに造った技術を借りた時、後腐れが無い様に恩返しをする事
それは向こうが断っても必ず行う
金、行動、何だっていい
人の道に反する事ならある程度は行動する
それが俺とアレンのルールだ
「そうだな…なら、一つ頼んでいいか⁇」
アレンに言われ、T-50の格納庫に来た
「よっ。元気か健吾‼︎」
「レイさん‼︎ご無沙汰です‼︎」
「今日は子供達も一緒⁇」
格納庫には健吾と北上が居た
…問題の二人だ
アレンが頼んで来たのはこうだ
「北上が何か思い詰めてるみたいなんだ。ちょっと様子見てくれないか⁇」
とは言われたものの、二人の間に特にこれと言った亀裂は走っていない
となると、北上と大和の関係か⁇
「健吾さん、あみさん‼︎お茶が入りましたよ‼︎」
「ありがとう」
「サンキュ〜。喉乾いてたんだよね〜‼︎」
見た所、北上と大和の関係も悪くない
なら何だ⁇
余計に謎が深まる…
ラバウルで昼食を食べる事になり、ひとみといよは愛宕とアイちゃんに任せ、俺ときそはパイロットグループの席に座った
「…どうだ⁇分かったか⁇」
「…すまん、全くだ」
そう言って、何気無しに北上の方を向いた
北上はほんの一瞬だけ悲しそうな顔をした後、愛おしそうに別席に座っている愛宕達を見ていた
少し原因が分かった気がする…
昼食を食べ終えた後、きそを連れて、医務室を貸して貰った
ここなら外部に話が漏れない
「きそ、北上を呼んで来てくれるか⁇」
「オッケー‼︎待ってて‼︎」
きそが北上を呼びに行っている間に、窓を開けてタバコを一本吸っておいた
…恐らく、北上が悩んでいるのは子供の事
男の俺が踏み入れる所じゃないとは思うが、力になれるならなってやりたい
「な〜に〜⁇」
きそが北上を連れて帰って来た
「そこに掛けてくれ」
机にあった灰皿でタバコの火を消し、早速話に入る
「何か悩んでるな⁇」
「いや、まぁ…何て〜の⁇女の悩み⁇」
「ラバウルの連中には言い難いか⁇」
「まぁ…男にはちょっと言い難いね」
「僕にも言い難い⁇」
「あ…あのさ…心配してくれるのは有り難いんだけどさ…これに関しては関わんないでくれる⁇あたしの問題だし、男には言い難いし…」
「分かった。もう深入りはしない」
「でも、ありがとね。心配してくれてさ⁇」
「最後に一つだけ言っていいか⁇」
「ん。いいよ」
「もし悩みの種が体の問題なら、俺が治してやる。気が向いたら連絡をくれ」
「…」
北上は俺を数秒見詰めた後、何も言わずに医務室から出た
「レイは大体分かったの⁇北上さんが悩んでる理由」
「何と無くな…」
疑問を残したまま、俺達はラバウルを後にした…