艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、159話が終わりました

ハーフタイム劇場は楽しめましたか⁇

今回のお話は、北上さんのお話です

ちょっと重たいお話です


160話 壊された雌鳥(1)

昨日の礼と合わせて、今日はラバウルに遊びに来ている

 

あまり顔を合わせていないひとみといよも連れて来た

 

「あたごんら‼︎」

 

「あいしゃん‼︎」

 

「Oh〜‼︎CuteなBabyね‼︎」

 

「いらっしゃい‼︎」

 

既に愛宕の頭一つ分大きくなったアイちゃんは、軽々とひとみを抱き上げる

 

愛宕も愛宕で、慣れた手付きでいよを抱き上げ、そのまま執務室を出て行った

 

そして相変わらず執務室の机にはウェルカムポップコーンが置かれている

 

「おいひ〜‼︎」

 

シャクシャクと音を立てながらポップコーンを口にするきそを見て、ガンビアの護り神を想像する…

 

「アレン。昨日はありがとうな」

 

「あれ位ならいつでも言ってくれ。てか、勝手に使ってくれて構わん‼︎」

 

「朝霜が喜ぶね‼︎」

 

もう口周りにポップコーンのカスをいっぱい付けたきそが笑う

 

「アレン。俺達の決まり事は分かってるよな⁇」

 

「んなもん別にいいって。あれはお前の研究成果がなきゃ、それこそ完成してない」

 

「ダメだ。俺の理に反する」

 

「ったく…」

 

アレンは後頭部を掻きながら悩む

 

俺達の決まり事とは、互いに造った技術を借りた時、後腐れが無い様に恩返しをする事

 

それは向こうが断っても必ず行う

 

金、行動、何だっていい

 

人の道に反する事ならある程度は行動する

 

それが俺とアレンのルールだ

 

「そうだな…なら、一つ頼んでいいか⁇」

 

 

 

 

 

 

 

アレンに言われ、T-50の格納庫に来た

 

「よっ。元気か健吾‼︎」

 

「レイさん‼︎ご無沙汰です‼︎」

 

「今日は子供達も一緒⁇」

 

格納庫には健吾と北上が居た

 

…問題の二人だ

 

アレンが頼んで来たのはこうだ

 

「北上が何か思い詰めてるみたいなんだ。ちょっと様子見てくれないか⁇」

 

とは言われたものの、二人の間に特にこれと言った亀裂は走っていない

 

となると、北上と大和の関係か⁇

 

「健吾さん、あみさん‼︎お茶が入りましたよ‼︎」

 

「ありがとう」

 

「サンキュ〜。喉乾いてたんだよね〜‼︎」

 

見た所、北上と大和の関係も悪くない

 

なら何だ⁇

 

余計に謎が深まる…

 

 

 

 

 

ラバウルで昼食を食べる事になり、ひとみといよは愛宕とアイちゃんに任せ、俺ときそはパイロットグループの席に座った

 

「…どうだ⁇分かったか⁇」

 

「…すまん、全くだ」

 

そう言って、何気無しに北上の方を向いた

 

北上はほんの一瞬だけ悲しそうな顔をした後、愛おしそうに別席に座っている愛宕達を見ていた

 

少し原因が分かった気がする…

 

 

 

 

昼食を食べ終えた後、きそを連れて、医務室を貸して貰った

 

ここなら外部に話が漏れない

 

「きそ、北上を呼んで来てくれるか⁇」

 

「オッケー‼︎待ってて‼︎」

 

きそが北上を呼びに行っている間に、窓を開けてタバコを一本吸っておいた

 

…恐らく、北上が悩んでいるのは子供の事

 

男の俺が踏み入れる所じゃないとは思うが、力になれるならなってやりたい

 

「な〜に〜⁇」

 

きそが北上を連れて帰って来た

 

「そこに掛けてくれ」

 

机にあった灰皿でタバコの火を消し、早速話に入る

 

「何か悩んでるな⁇」

 

「いや、まぁ…何て〜の⁇女の悩み⁇」

 

「ラバウルの連中には言い難いか⁇」

 

「まぁ…男にはちょっと言い難いね」

 

「僕にも言い難い⁇」

 

「あ…あのさ…心配してくれるのは有り難いんだけどさ…これに関しては関わんないでくれる⁇あたしの問題だし、男には言い難いし…」

 

「分かった。もう深入りはしない」

 

「でも、ありがとね。心配してくれてさ⁇」

 

「最後に一つだけ言っていいか⁇」

 

「ん。いいよ」

 

「もし悩みの種が体の問題なら、俺が治してやる。気が向いたら連絡をくれ」

 

「…」

 

北上は俺を数秒見詰めた後、何も言わずに医務室から出た

 

「レイは大体分かったの⁇北上さんが悩んでる理由」

 

「何と無くな…」

 

疑問を残したまま、俺達はラバウルを後にした…


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