艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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15話 雀と雄鳥(5)

「近くに滑走路があったわ」

 

ビスマルクが指差す方向に向かうと、ほぼほぼ原っぱの滑走路があり、そこに機体を降ろした

 

「どこほっつき歩いてた⁉︎」

 

「ごめんなさい…レーダーが効かなくなって…」

 

「心配掛けさせるな‼︎」

 

「ごめんなさい…」

 

「…しかし、いい風が吹いてるな」

 

「見せたい物があるの。来て」

 

機体から降りた瞬間、ビスマルクに手を引かれ、洞窟に連れて行かれた

 

「ゆっくりでいいわ」

 

「大丈夫…」

 

ビスマルクの手は、私の腕をしっかり握っていた

 

まだ数日前の事なのに、小かった時が懐かしく感じる…

 

「ほら、これよ‼︎」

 

「おぉ…」

 

洞窟の内部には、至る所にレアメタルがあった

 

どうりでレーダーが効かないはずだ…

 

こいつが邪魔してたんだ…

 

「多分、私のレーダーもこれでダメになったみたい」

 

「だろうな…HUDもイカれてらぁ」

 

手に持ったHUDも、辛うじて私達を映し出してはいるが、後はメチャクチャだ

 

「一応、座標を書いておいたわ‼︎ほらっ‼︎」

 

リュックサックの中から出て来たスケッチブックには、ここまでの地図が描かれていた

 

「ここが基地でしょう。ここがこの島」

 

うつむいた顔は、まだ小かった時の面影があるな

 

相変わらず下を見ると、口が尖って見える

 

「新しい遠征先になるな」

 

「さ、帰りましょう‼︎」

 

「上から案内してやる。見失うなよ⁇」

 

「大丈夫よ」

 

再び機体に乗り、ビスマルクが海上に浮かんでいるのを確認した後、空に戻った

 

「あ〜ぁ〜メチャクチャだ…しっかり動け〜‼︎」

 

二度レーダーを叩く

 

「精密機…よ。乱暴にし……ダ…よ」

 

「ったく…目視で基地が見えなかったら終わりだな…」

 

《イカ……機。…答せよ‼︎》

 

イカれた無線の先は、恐らく横須賀君だ

 

「こちらイカロス。ビスマルクを発見した。事情により、レーダーが効きにくい。クリアなるまでもうしばらく待ってくれ」

 

《………た。護衛……した‼︎》

 

「しっかりしてくれ…ったく」

 

「だんだ…リア…くわ‼︎」

 

「おっ」

 

徐々にレーダーが治って来た

 

「レーダークリア‼︎隊長さん、ありがとう‼︎」

 

「お家に帰るまでがお仕事だぞ」

 

「そうね。ちゃんと案内してちょうだい」

 

「後2kmだ」

 

《クラーケンよりイカロス機。護衛機がそちらに向かっている。合流して、後方の警戒は彼等に任せろ》

 

「了解した」

 

数十秒後に、三機のF-35とすれ違った

 

これで安心して帰れるな…

 

「今の機体は⁇」

 

「F-35 ライトニングⅡだ。簡単に言えば、F-22の艦載機バージョンさ」

 

「アメリカの艦載機、ね」

 

「そう。じゃあ、後で会おう」

 

「えぇ」

 

無線の周波数を管制塔に切り替えた

 

「お帰りなさい、隊長」

 

「降りるぞ。何番が空いてる⁇」

 

「三番滑走路が空いています」

 

「了解した。フラップ…ギア‼︎」

 

機体によって着陸法が違ってくるが、先程も着陸したので、何とかなりそうだ

 

「着陸確認。お疲れ様です」

 

「ふぅ…」


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