艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、158話が終わりました

今回のお話は、とある双子の目標が明らかになります

次のお話では題名は変わりますが、続きになります


159話 双子の目標

次の日、俺は約束通り朝霜と一緒に横須賀の工廠に篭っていた

 

「アタイ、電力で撃ち出せる艤装を作りたいんだ‼︎これ見てくれ‼︎」

 

朝霜に渡された設計図に目を通す

 

「これ、ホントにお前が書いたのか⁉︎」

 

「そうさ‼︎動力部が何とかなりゃあ、加速装置も造れるんだけどさ…良い動力部が無いんだなぁ…」

 

朝霜の設計図はほぼ完璧な仕上がりだ

 

問題は本当に後は動力部だけだ

 

「よし、アレンの技術を頂戴しよう」

 

「パクるの間違いじゃねぇのか⁇」

 

「パクるんじゃない‼︎頂戴するんだ‼︎」

 

とは言いつつ、一応アレンに報告を入れる

 

返信はすぐに返って来た

 

”お前にやるんじゃない。朝霜ちゃんに分けてあげるんだヴァーカ‼︎”

 

”朝霜ちゃん‼︎俺の技術で良かったら自由に使っていいからね‼︎”

 

「にゃろう…」

 

笑いと怒りが同時に込み上げてプルプルする

 

「父さんはホント人脈広いよな〜」

 

「ったく…まぁ、今度会ったら礼を言っとくよ」

 

アレンは本当に良い奴だ

 

それに、頭のキレる奴でもある

 

アレンは限りなく永久機関に近いエネルギー発生装置を開発している

 

複合サイクルエンジンや、この資料に書かれている本体直結型振動動力装置やら…

 

アレンの技術はグリフォンにも使われている

 

だから航続距離がバカに長い

 

「父さん、ありがとな‼︎」

 

「造ったらまた見せてくれるか⁇」

 

「頼むぜ‼︎」

 

朝霜の場合は本当に見るだけでいい

 

朝霜は自分の手で造り出すのが好きで、他人に手伝われるのは好きではない

 

見る以外にすると言えば、別の事でちょっとサポートしてやれば良い

 

「それよりゴメンよ⁇忙しいのにさ、アタイの所に来てくれてさ‼︎」

 

「娘とお話するのも俺の仕事だ」

 

朝霜の前髪を上げて額にキスをし、数回頭を撫でる

 

「へへっ…」

 

「ケガしない様にな‼︎」

 

「あぁ‼︎」

 

朝霜と別れ、工廠から出て来た

 

今日は四人一緒に来た

 

きそは勿論の事、たいほう、ひとみ、いよ

 

この四人だ

 

さて、探しますか

 

まずは広場だ

 

「初月‼︎」

 

「はっ‼︎」

 

工廠の屋根から初月がシュタッと降りて来た

 

「俺が不在の間、ひとみといよの安全は確保出来たか⁇」

 

「はっ、現在も遂行中でござる」

 

「ぷっ…く…」

 

「くくく…」

 

最近、初月との殿様ごっこがマイブームになって来ている

 

「心配は無い。二人は広場でマーカス大尉のお知り合いの方とご一緒している」

 

「ありがと。毎度すまんな」

 

いつも通り、初月に間宮の券を渡す

 

「有り難き幸せ」

 

初月は間宮の券を受け取った後、またすぐに屋根の上に消えた

 

広場に行くと、本当にひとみといよがいた

 

それも、誰かのレジャーシートの上でお菓子を食べさせて貰っている

 

「私のお名前は⁇」

 

「あたごん‼︎」

 

「ぱんぱかしゃん‼︎」

 

「わっ、私の名前は覚えてくれた⁉︎」

 

「めがねのはいねずみのおね〜しゃん‼︎」

 

「やさし〜めがね‼︎」

 

「あはっ‼︎そうそう‼︎」

 

愛宕と鳥海と一緒に居るみたいだ

 

「すまんな、面倒見てくれて」

 

「ほらっ、お父さんが帰って来たわ‼︎」

 

「「えいしゃん‼︎」」

 

愛宕が焼いてくれたであろうクッキーを持ったまま、ひとみといよが寄って来た

 

「えいしゃん、あたごんのくっき〜おいし〜‼︎」

 

「やさし〜めがねがじゅ〜すくえた‼︎」

 

「ちゃんとお礼言ったか⁉︎」

 

「あたごんあいがとう‼︎」

 

「やさし〜めがねあいがとう‼︎」

 

「いえいえ〜また抱っこさせてね〜‼︎」

 

「大尉、お子さん達を連れてまたトラックに遊びに来て下さいね⁇」

 

「サンキュー。土産も持ってくよ‼︎愛宕、アレンにありがとうって言っておいてくれ。朝霜が世話んなったらしい」

 

「分かったわ‼︎伝えておく‼︎」

 

ひとみといよが俺の肩に乗り、これでもかと二人に手を振る

 

「あたごんのくっき〜おいしかった‼︎」

 

「あたごんはあえんしゃんのおよめしゃん⁇」

 

「そうだぞ〜。アイちゃんに似てるだろ⁇」

 

「あいしゃんのほ〜がおっきぃお⁉︎」

 

「あいしゃんがおか〜しゃん⁇」

 

確かにアイちゃんの方が色々と大きい

 

既に身長も食べる量も愛宕を追い抜いている

 

ひとみといよからすれば、どっちが母親か分からないだろう

 

「愛宕がアイちゃんのお母さんだ」

 

「「おぉ〜」」

 

「お母さんってのはな、ちっちゃくて良いんだ。ちっちゃい方が可愛いだろ⁇」

 

「よこしゅかしゃんもちっちゃいお」

 

「れも、たかこしゃんおっきぃ」

 

「ゔっ…」

 

マズイ…

 

この展開は大変マズイ

 

「貴子さんは大きくて良いんだ。貴子さんはみんなのお母さんだろ⁇大きくなくちゃ、みんなを抱っこ出来ないだろ⁇」

 

「しょっかぁ〜‼︎」

 

「ひとみもたかこしゃんみたいになえう⁇」

 

「ひとみがそう思ってるならなれるさ‼︎」

 

「いよはよこしゅかしゃんみたいにないたい‼︎」

 

「何でた⁇」

 

「いよも”こぁ〜〜〜っ‼︎”っていいたい‼︎」

 

いよは、横須賀がいつも吠えている姿を見ていた様だ

 

確かに言う事を聞かない子に対して「コラーーーッ‼︎」と吠えている

 

「…あれは真似しちゃいかん。見習わない様にな…ははは」

 

横須賀の変な所を見て、横須賀を目指すいよ

 

貴子さんの愛情を沢山受け、貴子さんの様な母親を目指すひとみ

 

この二人の夢が叶うのは、ずっとず〜っと先の話になる…


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