艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、157話が終わりました

今回のお話は、少し前に出て来た北極海の誰かのお話です


158話 死神と呼ばれた潜水艦(1)

「ロシア、北極海で謎の生物発見か⁉︎だって‼︎面白いね‼︎」

 

「きょーりゅー⁇」

 

「どうかなぁ⁇」

 

食堂できそとたいほうが変な雑誌を見ている

 

「何見てるんだ⁇」

 

「UMA目撃情報‼︎」

 

「きょーりゅーみたいなのいるの」

 

「どれっ…」

 

きそに雑誌を見せて貰うと、海面に巨大な影が写り込んだ写真が掲載されていた

 

「クジラじゃないの⁇」

 

「クジラにしちゃあデカ過ぎないか⁇」

 

「やっぱりきょーりゅー⁇」

 

「う〜ん…」

 

俺はこういう未確認生物系は疎い

 

確かはっちゃんがそう言うのに詳しい

 

「お呼びですか⁇」

 

タイミング良くはっちゃんが来た

 

「はっちゃん。チョット来てくれ」

 

はっちゃんにもその雑誌を見せてみた

 

「なるほど…」

 

「分かる⁇」

 

「この影は恐らく何らかの鉄です」

 

「鉄⁉︎」

 

「えぇ。生き物なら、何処かしらのうねりがあります。この影にはありません」

 

「なるほど…流石ははっちゃん…」

 

「はっちゃん、ねっしぃみたことある⁇」

 

「はっちゃんも見てみたいです」

 

「たいほうもみたい‼︎」

 

この時は何の気なしに子供達と話していた…

 

 

 

 

 

次の日…

 

横須賀に来ていた俺ときそは、マークの研究室に来ていた

 

研究室の隔離された部屋の中で、マークとヴェアがアーマーの実験をしている

 

強化ガラスの向こうで何を言っているのか分からないが、マークは何故かアーマーを着込み始めた

 

「あのアーマーは、あらゆる攻撃から兵士を護ってくれるの」

 

「サラ」

 

サラの方に振り向いた瞬間、ガラスの向こうで大爆発が起きた

 

「マーク‼︎」

 

「大丈夫よ。見てて」

 

隔離された部屋の中の煙が排出されると、無傷のアーマーとヴェアが出て来た

 

すぐにヴェアはマークに寄る

 

アーマーの中からマークが出てくると、ヴェアは何かを言った後、マークの頬を撫でた

 

「マークさんっていっつもあんな実験の仕方してるの⁉︎」

 

「そうよ〜。安全を確かめるには、自分で試すのが一番良いんだって‼︎」

 

「怖い事するねぇ…」

 

きそとサラが話していると、マークとヴェアが隔離室から出て来た

 

「マーカス‼︎来てたのか‼︎」

 

「ちょっと寄っただけさ」

 

「あのアーマーなぁに⁇」

 

きそは隔離室に脱ぎ捨てられたアーマーに興味津々

 

「あれか⁇あれは新型のボディーアーマーさ。あらゆる外的ショックから護ってくれるんだ」

 

「僕も一緒に造りたい‼︎」

 

「いいよ。そういえばきそちゃんはPシールドを造っていたね⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「君と一緒に造ったら良い物が出来上がりそうだ。また頼むよ」

 

「うんっ‼︎楽しみにしてる‼︎」

 

きそは物を造るのが好きだ

 

きそは兵器も造るが、大抵は非殺傷の武器に留まっている

 

俺の造り出す兵器の類とは違い、きそは実用的な物や護る物を造る方が好きな様だ

 

「そうだマーカス。調査に行かないか⁇」

 

「心臓はやらんぞ」

 

「バカ。んな事はしなくていい。ここ最近、北極海に現れてはレーダーを狂わせている潜水艦がいるらしい。もしかすると、逸れてしまった深海の潜水艦かも知れない」

 

行くと言っていないのに、マークはホワイトボードにペタペタと写真を貼り始めた

 

「レイレイ。昨日見てた雑誌の奴じゃない⁉︎」

 

見る限り、昨日見ていた雑誌に掲載されていたUMA(仮)で間違いない様だ

 

「んでっ⁇俺に連れて帰れと⁇」

 

「そう言う事だ。報酬は弾むぞ⁇ロシアから」

 

「ったく…何で俺なんだ⁇」

 

「マーカスは潜水艦に詳しいと聞いた。不測の事態があっても、マーカスなら対処出来るだろ⁇」

 

「仕方無い…報酬の為じゃないからな⁉︎んでっ⁇いつ行くんだ⁇」

 

マークは此方を見つめている

 

「…今からかよ」

 

「ライコビッチと言う軍人に話をしてある。気を付けてな」

 

「…はいよっ」

 

 

 

 

 

 

グリフォンの所に戻ると、朝霜と磯風がグリフォンの前で話していた

 

「父さんの機体はいつ見てもカッチョイイなぁ〜」

 

「主翼が折れてるぞ」

 

「空母に艦載出来るんだ。畳める様に設計されてる」

 

「父さん‼︎」

 

朝霜は俺を見て飛び付いて来た

 

「きそ姉。今から飛ぶのか⁇」

 

「うんっ。ちょっとレイと調査に行って来る」

 

「気を付けてな」

 

「父さん。今度アタイの造った奴見てくれよ‼︎」

 

「帰って来たら見るよ。あぁそうだ‼︎隊長に言っといてくれ。俺ときそがロシアに行ったって‼︎」

 

「分かった‼︎」

 

地上で見送りをする二人に手を振り、グリフォンが飛び立つ

 

 

 

 

 

 

 

ロシア〜北極海基地〜

 

「寒いっ‼︎」

 

「うはは‼︎鼻水凍った‼︎」

 

横須賀や基地は今から夏本番だと言うのに、アラスカは身も凍る程の寒さだ

 

「マーカス大尉‼︎キソ=チャン‼︎お疲れ様です‼︎」

 

「寒い寒い寒い‼︎」

 

「早く中に入れて‼︎」

 

「此方へ‼︎」

 

ライコビッチに出迎えられ、基地の中に入る

 

「寒過ぎんだろ‼︎」

 

「鼻水凍ったよぉ‼︎」

 

「ははは。我々はこれが普通ですからね。日本が暑い位です」

 

ライコビッチにコーヒーを淹れて貰い、俺達は震える手でそれを飲む

 

「んで⁇その潜水艦ってのは⁇」

 

「ここから近い海中に時折出現し、出現の度に我々のレーダーを大きく狂わせて来るのです」

 

「なるほどな…」

 

「出現の度にメインのレーダーも狂うので、これがまた…」

 

「分かった。調査してみる」

 

コーヒーを飲み干し、外に出ようと扉を開けた

 

そしてすぐに閉めた

 

「…防寒具ないか⁇」

 

「此方を」

 

革ジャンの上からモコモコの防寒具を羽織る

 

「キソ=チャンはこっちね⁇」

 

きそも防寒具を着せて貰い、俺達は外へ出た

 

「グリフォン。ソノブイの準備は出来たか⁇」

 

《オッケーだよ‼︎いつでも投下可能だよ‼︎》

 

「よし、出るぞ」

 

北極海に向かって、グリフォンが飛び立つ

 

《此方ベルーガ。聞こえるかワイバーン》

 

「此方ワイバーン。聞こえてる」

 

《反応はその辺りだ。航空機が付近を飛ぶと浮上する事が多い。気を付けてくれ》

 

「了解した。グリフォン、ソノブイをバラ撒け‼︎」

 

《オッケー‼︎》

 

グリフォンのハッチからバラバラとソノブイが投下される

 

「こいつか…」

 

《立体レーダーに出すね》

 

グリフォンのモニターに潜水艦の全貌が映し出される

 

「こいつは…」

 

 

 

 

 

 

「びょんびょ〜ん」

 

「みょいんみょい〜ん」

 

「コラコラ二人共っ。マーカス君の楽器弄っちゃダメよ⁇CDかけてあげるから。ねっ⁇」

 

「し〜で〜⁇」

 

「おんがくきく⁇」

 

基地ではひとみといよが、俺のギター始め、色んな楽器を触っていた

 

様子を見に来た貴子さんがその辺にあったCDを流し、二人は楽器を弄るのを止めた

 

「あらっ。マーカス君、クラシック聴くのね⁇」

 

「ほぁ〜…」

 

「ほぁ〜…」

 

二人はCDを流し始めた途端、急に大人しくなった

 

「えいしゃんのとこいく」

 

「ひとみもいく」

 

ひとみといよはフラフラと外に出ようとしている

 

「マーカス君は今お仕事中よ⁇」

 

「えいしゃんよんでうの」

 

「かえっておいれ〜って」

 

「…はっ‼︎」

 

貴子さんは急いで流していた音楽を切った

 

「…たかこしゃん⁇」

 

「…おやちゅ⁇」

 

「良かったぁ…」

 

意識の戻った二人を見て、貴子さんは二人を抱き締めた

 

貴子さんは覚えていた

 

俺はAIに対しての帰還命令を”音楽”で下す事が多い

 

Flak 1がそうだった

 

そして、しおいがモデルの二人も同じく、今流した音楽で俺の元に帰って来る様になっている

 

そしてそれは、俺の”造った”潜水艦にも設定されていた


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