艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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題名は変わりますが、前回の続きです

サラの言っていた通り、横須賀でダンスパーティーが始まります

レイは誰と踊るのかな⁇

そして、横須賀目線のお話もあります


154話 雷鳥は踊る(1)

横須賀に着くと、教会が騒がしい事に気が付いた

 

ひとみといよを肩に乗せたまま教会に入ると、椅子が退かされ、楽器が置かれていた

 

どうやらここでパーティーをするみたいだ

 

確かに教会の中ならだだっ広くて踊りやすい

 

「えいしゃん。これなんら⁇」

 

「これはバイオリンだ」

 

「ばいよいん⁇」

 

「こっちもいっしょ⁇」

 

「こっちはチェロだ」

 

「ちぇお⁇」

 

ひとみといよは見た事もない楽器に夢中になっていた

 

「そっ。とっても高いんだぞ⁇」

 

「えいしゃんできう⁇」

 

「どうだかな…」

 

「レイ。ちょっと引いてみなさいよ」

 

「高いモンだろ⁇壊したらヤバい」

 

「いいのよ。基地の備品なんだから。ホラッ」

 

たまたまそこに居合わせた横須賀に言われ、仕方なくチェロを手に取る

 

「下手でも知らんからな…」

 

ひとみといよを横須賀に預け、備えられていた椅子に座り、チェロを弾き始める

 

「おぉ〜…」

 

「えいしゃんすごいお…」

 

自分でもギリギリ覚えているかどうか怪しい、ロココの主題なんちゃらとか言う曲をチェロで奏でる

 

「あれ〜⁇何だろ⁇この曲…聞いた事ある…」

 

しおいが此方に寄り、一段だけある段差に肘をつき、ウットリしながら曲を聴き始める

 

「いよもあるお…」

 

「ひとみも…」

 

「あぁ、ちょっ…」

 

ひとみといよは握っていた横須賀の手を振り解き、しおいと同じ様に曲に聴き入る

 

そうこうしている内に、教会兼会場は軽くザワつき始めた

 

美しいドレスに着替えた艦娘と提督とが顔を見合わせ、踊って良いのか迷っている様子だ

 

よし、切り上げよう

 

チェロから手を離し、曲を終える

 

「どうしたお前ら⁇」

 

「ううん。レイって楽器弾くの上手いなぁ〜って思ってただけ〜」

 

「う〜ん…」

 

「おもいだせない…」

 

しおいの左右では、ひとみといよが腕を組みながら何か悩んでいる

 

「聞いた事あるのか⁇」

 

「かちこち…」

 

「しゃむいとこお…」

 

「…あっ‼︎」

 

ひとみといよが何か思い出しそうにしている横で、先にしおいが思い出した

 

「思い出した‼︎北極海の時だ‼︎」

 

「よく覚えてたな」

 

「ほっきょく⁇」

 

「ぴんげんしゃんいるとこお‼︎」

 

動物の名前は間違っているが、場所は覚えたみたいだ

 

「いよいったことない」

 

「ひとみもない」

 

「寒くて雪がいっぱいの所だ」

 

「ゆきってなんら⁇」

 

「わからん…」

 

ひとみといよと話すと、二人には分からない事が沢山出て来るな…

 

「さっ、貴方達はこっち。レイと私はあっち行くわよ」

 

横須賀はひとみといよの手を握りながら御馳走のある場所に連れて行こうとした

 

そこにはローマが居た

 

「めがねのとこいく‼︎」

 

「めがね〜‼︎」

 

別に嫌われてはいないが、二人にとってローマは自分達の面倒を見てくれたり、海へ放り込んでくれる為、横須賀より好感度は高い

 

「しおいもい〜こぉっ‼︎レイ、ありがと‼︎」

 

「しおい」

 

「ん⁉︎」

 

「北極海はもう無いから心配すんなよ⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

しおいも御馳走の所に行き、俺と横須賀は御馳走の所にいるみんなを眺めていた

 

「何でひとみちゃんといよちゃんは懐いてくれないのかしら…」

 

「ははは‼︎心配しなくてもちゃんと懐いてるさ。あの二人にとって、ローマは特別なんだよ」

 

「だと良いけどっ」

 

「あっ‼︎マーくんいたいた‼︎」

 

黒いドレスに着替えたサラが此方に来た

 

「ジェミニ、マーくん借りるね‼︎」

 

「傷付けないでよ⁉︎」

 

サラに手を引かれ、教会の中心に立つ

 

「さっ、マーくん…」

 

サラの手を取り、待っていたかの様に曲が始まる

 

各基地の提督と艦娘とがクルクルと踊る

 

俺達もクルクル踊る

 

「素敵よ、マーくん」

 

「サラもな」

 

こうして見ると、サラはお婆ちゃんに見えない

 

普通にストライクゾーンに入る女性だ…

 

サラの言うマーくんじゃないマーくんが惚れたのがよく分かる…


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