艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、148話が終わりました

今回のお話は題名にある通り、また新艦が出てきます

注※新艦のイメージを著しく悪くする恐れがあります

特に頭クリーム色のあのペドっ子

…何処かのハンマーと同じ匂いがしても、お口チャックでお願いします 笑


149話 ムッシュ・海防

朝、いつもの様に新聞と昨日の報告書が届く

 

隊長は新聞を読み、子供達はチラシをカーペットの上に置いて眺める

 

俺は報告書を見る

 

報告書とはいえ、面白おかしく書いてある新聞の様なものであり、毎日青葉がまとめているらしい

 

「えいしゃん‼︎」

 

「こえなんら⁉︎」

 

子供達が見せて来たチラシには”スカジャン&革ジャン専門店”ムッシュ・海防”‼︎横須賀に開店‼︎”と書いてある

 

「えいしゃんのおふくもあるお‼︎」

 

「ひとみはこのにょろにょろのおふくがしゅき‼︎」

 

いよとひとみがチラシに指差していると、隊長が新聞を置いた

 

「レイ。新しいの買ってやるよ。行こう」

 

「マジ⁉︎よっしゃ‼︎お前らも行くか⁉︎」

 

「いよはぐらーふのおふくでいい‼︎」

 

「ぐらーふまたつくって‼︎」

 

「んっ。分かった」

 

「子供達頼んだぞ」

 

「オトン。おんどりゃあの広島焼き買って来て。二つな」

 

「…分かったよ」

 

グラーフにお使いを頼まれ、俺と隊長は横須賀に向けて飛び立った

 

 

 

 

 

横須賀に着き、とりあえず気になったので、執務室に顔を出してみた

 

「うわぁ〜〜〜ん‼︎」

 

「ガン子ちゃん弱いね‼︎」

 

床に倒れたガングートの上に清霜が馬乗りになっている

 

「がっ、ガン子はつおいんだぞ⁉︎」

 

「き〜ちゃんにやられてるじゃん」

 

「うっ…うっ…」

 

清霜にごもっともな事を言われ、ガングートはポロポロと涙を流す

 

「ガン子つおい子だもん‼︎弱いとか言ったら粛清なんだぞ⁉︎」

 

ガングートは清霜に乗られながらも手足をバタバタさせて拗ね始めた

 

「お父様言ってた。ガン子ちゃんが粛清って言ったら、き〜ちゃんがガン子ちゃんを粛清しなきゃダメなんだよ」

 

「ひぃっ‼︎」

 

ガングートは殴られると思ったのか、目を閉じて身構えた

 

「うりうり〜」

 

「あっひゃひゃひゃひゃ‼︎」

 

清霜はガングートの脇に手を入れ、くすぐり始める

 

「もう粛清とか言わない⁇」

 

「ウッ…ウッヒヒヒ‼︎言わない言わない‼︎」

 

「あっ‼︎お父様‼︎おじ様‼︎」

 

「ムギュッ‼︎」

 

俺達に気付いた清霜は、ガングートを踏み台にして飛び掛って来た

 

「よいしょっ‼︎」

 

清霜を抱き止め、いつもの様に腕に抱く

 

「いい子にしてたか⁇」

 

「うんっ‼︎あのね、ガン子ちゃんすぐに粛清とか言うの。酷いよね⁇」

 

「ガ〜ン〜グ〜ト〜⁇」

 

「ひぅっ‼︎」

 

「ほらっ」

 

ガングートの頭にお菓子の箱を置いた

 

「ガン子にくれるのか⁇」

 

「きーちゃんと一緒に食べるんだぞ⁇」

 

「う…うんっ‼︎」

 

「き〜ちゃんも食べる‼︎」

 

清霜は俺から飛び降り、ガングートと一緒にビスケットを食べ始めた

 

仲は良さそうだ

 

執務室に二人を残し、目当てである革ジャンの店に向かう

 

「いらっしゃいませ‼︎」

 

「うっは…」

 

「頑丈な革ジャン、如何ですか〜‼︎」

 

「ちっさいな…」

 

いざ店に着いてみると、たいほうレベルで小さい女の子が三人、呼び込みや店内の接客をしていた

 

「あっ‼︎お父さん‼︎」

 

「おじ様。ごきげんよう」

 

店内には、朝霜と磯風がいた

 

「革ジャン買いに来たのか⁇」

 

「い〜ちゃんはオトンみたいな服は着ない。こっちだ」

 

朝霜も磯風もスカジャンを見に来た様だ

 

どれもこれも美麗な刺繍が施されている割には値段は手頃だ

 

「ムッシュのスカジャンに興味がありますか⁇」

 

三人いる内の赤い髪の子が来た

 

「少しだけご説明しても宜しいですか⁇」

 

かなり幼い外見の割に、口調はしっかりしている少女は、胸のネームプレートに”えとろふ”と書いてある

 

「おっ。頼む‼︎」

 

「ありがとうございます‼︎当店のスカジャンは全て”ムッシュ・シムシュ”の手作りとなっています‼︎ご購入頂いた方には、お好きな文字を刺繍させて頂くサービスもしています‼︎それと、オーダーメイドも可能です‼︎是非ご検討下さいね⁉︎」

 

えとろふはグダグダ説明したり、客にくっ付いたりせず、要点だけ説明して何処かに行った

 

「オーダーメイド…か」

 

ふとえとろふの背中を見ると、文字が縫ってあった

 

”干支露怖”

 

「おぉ…」

 

店外で呼び込みをしている、ピンク色の髪の少女の背中も見る

 

”苦無死利”

 

二人共背中に当て字が縫われている

 

「オトン‼︎スカジャン買えば、い〜ちゃんもアレして貰えるのか⁉︎」

 

何故か磯風の目が輝いている

 

「や、やめとけ。お母さんに怒られるぞ⁇」

 

「むぅ…そうか…」

 

「アタイ、コレにしよっかな‼︎」

 

朝霜が手に取ったのは、背中に厳つい鷲の刺繍が入ったスカジャン

 

傍らにはカタカナで”スカ”と書いてある

 

「ふっ…」

 

「なっ、何で笑う‼︎」

 

「いんや…」

 

「よしっ‼︎買ってやろう‼︎今まで何にも買ってあげられなかったからな‼︎」

 

「やったぜ‼︎おじ様ありがとう‼︎」

 

隊長が朝霜のスカジャンを買うのを見て、更に笑みが零れる

 

なるほど…

 

未来はちゃんと動いてるんだな…

 

「い〜ちゃんは龍にするぞ」

 

「よしよし」

 

磯風は龍のスカジャンで、朝霜と同じ様に”スカ”と刺繍されたスカジャンを買って貰う

 

「レイはどうする⁇」

 

「俺は…そうだな」

 

「頑丈な革ジャンがあるっ呪」

 

「おぉ⁉︎」

 

いつの間にか背後にクリーム色の髪の少女が立っていた

 

ネームプレートには”ムッシュ・シムシュ”と書かれている

 

どうやらこの子が手作りで革ジャンやスカジャンを造っているみたいだ

 

「これっ呪」

 

「おっ」

 

口調が特徴的なその子の手には、頑丈そうな革ジャンが持たれていた

 

「軽くて頑丈な革を使ってるっ呪。ムッシュのお墨付きっ呪。着てみるっ呪」

 

「どれっ…」

 

ムッシュに革ジャンを着させて貰うと、これがまた中々着心地が良い

 

「お兄さん似合ってるっ呪。買うなら安くしとくっ呪」

 

「へぇ〜、気に入ったよ」

 

「それにするか⁇」

 

「あぁ‼︎これにする‼︎」

 

「3000円でいいっ呪」

 

「手頃だな…」

 

レジに戻って行くムッシュの背中を見ると”死無呪”と縫われていた

 

どうやらムッシュは当て字が好きらしい

 

「ムッシュシュシュ…ムッシュは良い素材しか使わないっ呪。安くて頑丈なのが、ムッシュの革ジャンの売りっ呪」

 

隊長は5000円札を出すと、どうやら丁度だったらしく、そのまま革ジャン達が入った袋を渡された

 

「また買いに来るよ」

 

「いつでも来るっ呪。待ってるっ呪」

 

店を出てすぐ、朝霜と磯風はスカジャンを着た

 

「似合ってんだろ⁇」

 

「朝霜らしいな」

 

「おじ様ありがとう。大事に着る」

 

「また買ってやるからな」

 

二人共嬉しそうだ

 

しかし、あのムッシュ・シムシュは特徴的な話し方だったなぁ…

 

俺達はその後、き〜ちゃんとガングートを呼び、間宮へと向かった


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